ゴジラVSスペースゴジラ コンプリーション【読書感想文と思い出】#橋爪淳のおかげ?#観客を選ぶところが素敵な作品(笑)

以下、ネタバレありです、独自解釈による偏見の酷いものとなっております(笑)どうか、ご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【前段】愛すべき理由

まさかこれほど出版を重ねるとは思わなかった「平成VSシリーズ」の『コンプリーション』。

第1弾の出版は『ゴジラVSビオランテ』いや、そもそも出版当時「第1弾」などと考えてもいませんでした。

「平成ゴジラ」の総括本として『クロニクル』に『パーフェクション』の後塵を拝すばかりでなく、「平成VSシリーズ」と言えばこの人抜きには語れない「川北紘一」は鬼籍に入っております。

けれども『VSビオランテ』は、平成という時代が「怪獣・ウルトラマン・仮面ライダー」といった特撮人気コンテンツ再稼働の観点から立てば、まさに先陣を切った作品です。

思い入れの強い方が多くいらっしゃるでしょう。

『コンプリーション』シリーズは、思い入れ順で出版が決まっているのかもしれません。

『シン・ゴジラ』が平成以降の興収及び動員数の記録を塗り替えるまで君臨していたのは『VSモスラ』しかし未だコンプリーションにはなっておりません。個人的には『VSメカゴジラ』もうあれはカッコ良かった、まずこれだろう!
普通に考えて『超星神シリーズ』が先なんておかしい(笑)

おかしいと言えば、もう1つ挙げたい『VSスペースゴジラ』今回取り上げる当書であります。

「平成VSシリーズ」は熱心なファンを生む一方、相当な辛口にも晒されました。
当時は憤慨しましたが、SNS時代に比べれば可愛いもんだった、と今になって思います。

自分が批評と感情の折り合いが出来ているとは申しませんが、少しは考えるようになった契機へなった気が致します。
もし当時の経験がなければ、誰もが認める名作を自分のステイタスのごとく持ち出しては、他人の趣味に干渉する真似を仕出かしていたかもしれません。いい経験をさせていただきました、感謝などはしませんが。

と、「平成VSシリーズ」特撮監督である川北紘一のサインを取り出して眺めたため、感情的になっているわけです。

けれど、そんな川北監督に「スペースゴジラが好きなんです」と言えば、ええっ!と驚かれてしまう逸話がちらほらあります。
一番に有名人物ならば『ウルトラマンZ』のメイン監督である田口清隆が挙げられるでしょうか。

好きだ!と伝えたら、作った本人に驚かれる作品『ゴジラVSスペースゴジラ』愛すべき理由が、ここにもあります(笑)

三枝と新城

愛すべき作品『VSスペースゴジラ』ではありますが、オススメするかと言えば、間違ってもしません。
初めての方へオススメするならば、なおのこと。ゴジラシリーズどころか平成VSシリーズに限っても、これはまずい(笑)

シリーズ中、イロモノ扱いが正しい気がしてならない作風です。

逆を返せば『VSスペースゴジラ』をいきなり気に入られると(いるのかな、こんな人w)、他ゴジラ作品に部分的に似ている箇所はあっても、同様な作風はない現状が、まずい事態を生みかねません。

この作品は、非常にロマンスが強いです。
本当に強いのは、冗長と言われるほど長い特撮シーン(個人的には足りない)ですが、本編に目を向ければヒロインと主人公の恋愛です。

ヒロインは「平成VSシリーズ」全て出演の小高恵美演じる三枝未希
主人公は、MOGERA搭乗で武器使用時におけるセリフがいちいちカッコいいバコさんではなく新城功二。演じるはもちろん橋爪淳です。

公開当時においては、三枝新城のドラマには何とも感じない怪獣目当てでしかなかった頃であります(笑)

ところがある日、ぽんっと見返したらです。
三枝新城の二人が、むず痒い。

ゴジラの専門対策員であり、超能力という一般人とは隔離されるような人生を送ってきた三枝
一方は、ゴジラ災害専門対応の防衛軍である「Gフォース」に野心を秘めて入隊したものの、出世には向かない相棒を組んだため干されてしまった新城

人生に対して歩み方や考えが全く違う二人が「ゴジラ」を通じて惹かれあっていく。

今、書いていたらこの作品は名作じゃないか、という気になってくる、ここで書いている者であります。
いけません、名作じゃないからこそ「俺のための作品」と思える部分があります。愛は複雑なのです。

ちょっと不器用さがにじむ感じがいい、三枝新城の恋愛模様。
『コンプリーション』で、演じた2人の対談に、どうやら本当にお互いに照れていたことが分かります。

これまで『VSスペースゴジラ』の書籍関連は収集してきていますから、2人が事務所の先輩後輩で、けっこう恥ずかしかったみたいなことは知っています。

いますが、改めて四半世紀を経ての対談に、きゅんっとくる瞬間は、演じていた2人からにじみ出てきていたものであったことを確認します。

三枝がこの作品に当たって、髪を切ってショートにしたせいか、ぐっと大人っぽくなっております。自分は恋愛ごとにはやっぱり疎いのか、ここで三枝が見せた恋愛は「初恋」だったと考えもしなかった。

ゴジラがトドメとばかりに吐いた熱戦が赤かった理由は、前作で融合したファイヤーラドンの名残であり、次作で暴走となる過程を見せたものだ!という考察は致しますが、初恋には全く気が廻りません。

やはりマニアックな気質だけでなく、人間としてのバランスが取れなければ、作品に対する本当の理解は至らないようです。けれどもここで書いている者には、何もかも手遅れな気がして残念でなりません(笑)

怪獣ばっかり見てしまっていますが、今回の対談によって恋愛モノの視点で眺めたくなりました。

夕陽の海岸における2人は、画としても素晴らしい。
それに何といってもラストで、2人揃って歩くシーン。小指から始まって手をつなぐ流れは音楽と相まって、胸に迫ってくるほど素敵です。

エンディングに流れた主題歌『ECHOES OF LOVE』は、三枝の心情を表したものだと、後になってようやく気づく次第です。

そして、このインタビューの白眉といえばです。

たぶんこの「コンプリーション」発売に踏み切る大きな要因となった『ウルトラマンZ』における橋爪淳が演じたバコさん

最終回でセブンガーに乗って颯爽と窮地の仲間たちを救いに来た際のセリフ、

「間に合ったならいいじゃねぇか」

橋爪淳からすれば「いらないセリフ」と判断していたようです。
それに対して、田口監督の説得理由が「VSスペースゴジラ」から引用、つまりオマージュ(笑)だそうです。

現在だからこその内容が、購入して良かったと思わせてくれます。

それにしても作品としての評価はイマイチな『ゴジラVSスペースゴジラ』を観た少年が成長し、感化されたまま製作したウルトラ作品が高評価を得る。

やはり作品は作り続けられなければいけない、とする気持ちが、より強くなったインタビュー記事でした。

故人

キャストインタビューは、主人公カップルだけではありません。

この作品においては、もう一つのカップルが誕生しており、柄本明が演じる結城晃と、親友の妹で優秀な科学者でもある権藤 千夏。演じるは君島十和子で、当時は吉川十和子でした。

公開当時から、イイ女じゃないか、と生意気に思っていました。その後、吉川から君島へなった際に、ゴシップネタで賑わしていたことを憶えています。

賑わせていた当時はイヤな気分になったものですが、現在となればです。
少々派手な行動がマスコミの格好のネタになっていただけで、別に悪いことをしていたわけではない。多少の迷惑をかけていたかもしれないけれど、犯罪などでは全然ない。

むしろ現在でも当時のままを思わせる雰囲気で、こうしてインタビューに答えてくれる。

なんだ、やっぱりイイ女じゃないか!あくまで特撮ヲタからの視点からでしかないけれど(笑)

スタッフのインタビューも、今ならば!といった内容で、非常に良い。中には普段と違う本書の趣旨に合わせたような答えもなきにしてあらずです。

それでも美術さんの1人が「VSスペースゴジラ」の撮影においては怒り心頭で立ち尽くした、なんてお話しには、つくづく買って良かった!となります(笑)
こう忌憚ない意見が言えるほど、この美術さん。ずっと川北監督作品に参加した数少ないスタッフの1人だったそうです。

物分かりがいい顔をしているが、実は何も理解していない者よりは、真剣に物事に当たっている中で感情を爆発させる者のほうが、少々厄介でも相手するならこちらがいい。

高額とも言える『コンプリーション』シリーズですが、やはりそれだけの価値が見出せるから、買わずにはいられず困ってます(笑)

ただ言っても詮ないことを1000%承知で繰り返し述べさせていただければです。

作品の本当の主役というべき、監督。
特撮監督の川北紘一は言うに至らず、本編監督の山下賢章も故人となってしまっていることが残念でなりません。

山下賢章監督ほど、今だから話せることがいっぱいありそうで惜しい限りです。

個人的にも、この山下監督の音楽の入れ方が好きで、カット割りも、これはイイ!があったりします。作品全体へ行き渡らず、手強い特撮監督に翻弄され(笑)、ちょっと不遇な気がしてならない監督です。

もう少し映画を、特に特撮を撮らせてあげれば化けたかもしれないなんて考えることもあります。

ただ残した作品を愛する者が、それなりにいる。悪い意味ではなくてです。

『ゴジラVSスペースゴジラ』は7割に評判が悪くても、残りの3割が理由も分からず熱狂してしまう不思議な作品です。
そしてこうしてまた大型本が出版される。当時は散々に言われておりましたが、またこうして気持ちを昂らせてくれれば、良しとする気分です。

嫌いに拘泥するより、好きを持ち続けられることがいかに大事か。特撮作品は、人生を教えてくれます。