映画『君に届け』→コミック『運命の人』【ネタバレ感想】#当時の感想やら#番外編にはまる

以下、ネタバレありの感想となります。独自解釈による偏見もございます。どうか、ご了承のほどを宜しくお願い致します。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

君に届け

おおまかな概要:きっかけ編

椎名 軽穂(しいな かるほ)を作者とする『君に届け』は、2006年1月号から2017年12月号まで連載された、少女コミックに分類される作品です。

掲載誌は『別冊マーガレット』通称『別マ』とくれば、男子目線だとまさしく「少女漫画」の王道と捉えます。

ここで書く人は気弱な体育会系男子出身なため、少女漫画の立ち読みなどする勇気がございません。しかし裏に秘めていたものの今や公然となっているヲタ気質から、実はけっこう気になっていたりします。

少女漫画は、女の兄妹(つまり妹という)の購入頼りです。
購読誌は『花とゆめ』系でありました。あまりコミックとまでいきません。しかもあろうことかヲタへ行かないどころか、兄の趣味に嘆く有り様を見せる成長を果たします。

購入の勇気もなければきっかけは、もちろんアニメです。
もう一人暮らしなれば、誰に気兼ねなくチェックできます。しかもヒロインの声は「能登 麻美子(のと まみこ)」ときては、観る理由としては充分です。

観たら、おもしろかった。続きが知りたい。
アニメ放送は、どうやら7巻ぐらいまでらしい。
しかも単行本の刊行ペースが4ヶ月、かかっても半年くらいらしい。

思わず『ベルセルク(BERSERK)』と比較してしまいます。
当時から、でねなぁ〜となっていた心情を振り返されるに充分な別マ作品の出版ペースです。

現在となればベルセルク、あれでもまだペースは早かったんだな、と振り返る令和の時代です。
比較自体が間違っている、と言い聞かす現在であります。

ともかく『君に届け』の刊行ペースに感動です。
もう素晴らしい、というか早いくらいではないか。
作者さん、大変そう〜、でも、がんばって!といった感じです(笑)

こうして読むこととなりました。

おおまかな概要:あらすじ&感想編

爽子ちゃんに対する仕打ちが酷すぎる。

主人公の女子高生である黒沼 爽子(くろぬま さわこ)以下「爽子ちゃん」が、幼少期から引きずるあだ名が残酷です。

ここで書いている者が自宅1人で観ていて最も後悔した、怖い、恐い、チョーコワカッタ映画『リング』の大魔王?「さだこー=貞子」になぞらえたあだ名を引きずるまま爽子ちゃんは、高校生活へ突入です。

ふざけんな、バッカヤロー、もう2度とホラー映画なんか観るかよ!となった元凶をモチーフとしてからかわれる爽子ちゃんならば、それだけで応援できます。

女子からすると「ドラえもん」とあだ名されると、どっちがいいんだろ?という疑念が浮かびはしたものの、ともかく酷いです。

なにせ爽子ちゃんは、黒髪ロングの透き通るような白い肌の持ち主です。そうたまたま人生上において、貞子ブームに出くわしてしまったために、被害を被っただけです。

爽子ちゃんは変な流行に呑まれなければ、美人とする要素を兼ね備えています。いや単なる美人であります。

ただ他人から誤解されやすい性格というか、雰囲気を持ってしまっています。

純真な生真面目さで物事に当たる努力家は、鈍臭いとなりがちです。けれども良い意味で鈍感なので他人を悪く捉えることがない。つまり不器用な性格であれば、自己アピールなど無縁な爽子ちゃんであります。

典型的な誤解されやすいタイプです。

だから誤解などせずに、本質を見られる人物たちも出てきます。
その1人に「風早くん」という、爽やかイケメンのくせに、融通が利かない不器用者がおります。

この不器用者同士が、どうくっ付くか!がストーリーの主軸となります。少女コミックにおける王道テーマ「恋愛」話しであります。

しかしながら、かく言うここで書く人が当作品にハマった要素は、恋愛と平行して進展する「友情」のエピソードが大きかったです。

爽子ちゃんは、なかなか友達ができませんでした。
すごく良い娘ですが、周囲の先入観による思い込みによって厳しい立場に置かれています。

そうした中で、学校でモテモテ男子である風早くんは、爽子ちゃんが気になってしょうがないといった行動へ移り出します。

特にずっと前から風早くんが好きだった梅ちゃん、もとい胡桃沢 梅(くるみざわ うめ)以下「くるみちゃん」はおもしろくないを通り越して、威嚇的暴力行為を画策するようになります。
当作品のヒール役といったところです。

けれども極悪な企みが、爽子ちゃんにようやく出来そうになった友人という間柄を確実なものとします。
初めは爽子ちゃんに、おっかなびっくりだったあやねちゃん千鶴。それが爽子を知っていけば却って、自分たちのほうこそ友人としての関係性を築けているか、悩むほどです。

恋愛ものとしてはもちろんのこと、同じくらい友情もまた「大変なこと」と描かれているところが、読ませる作品となっています。

実写版も良かった

『気に届け』は、2010年9月に実写映画化されています。

実写化・・・その響きには、まず期待より恐怖が先立ちます。その恐怖が時には「貞子級」にまで至る仕上がりなることも、しばしばです。

しかし原作を越える映像化とは、なかなか難しいもの。況してや2次元から3次元へ興すに当たり、各人が抱いているイメージもあります。
コミックの実写化において、全てを満たすは至難の技です。

今回ブログを起こすうえで、映画評などを覗きにいきました。
劇場で観る勇気などなく、レンタルで初めて観た時以来のチェックなので、一時代が経た感じです。

変わりました。もう高評価が続いております。
ただ、これはよくあることです。
後々まで印象を残す作品は、公開当時より評価が上がります。むしろ公開当時は、思い込みが先立って辛めの評価が噴出しやすい。
でもだからこそ観客の反応はおもしろい、とも言えます。

ただ個人的に1点だけ言わせてもらえば、

「こんなかわいくないヤツを主演にするなよ」と言う、けっこうな数の連中には、多部未華子に謝って欲しい限りです(笑)

確かに多部未華子は美少女、という感じではありません。けれども芯を感じさせる品のある女の子であります。良いキャスティングです。

桜が散る春の坂道で、風が髪を払い、素顔を見せるシーンで「かわいい」と思えないとしたら、ただそれは容姿の好みでしかない。

内から湧き出てくるものを感じ取れないのでは『君に届け」という作品の本質を理解なんて出来ないぞ!
と、当時は熱く想ったものです(笑)

お断りしておきますが、特に多部未華子のファンというわけではなく、作品に没入しすぎるとこうなるよ、という見本みたいなもの。そう捉えていただければ幸いです。

この映画を語るにおいて、何を差し置いても述べたい点は、多部未華子に限らずキャストが素晴らしい。

多部未華子が演じる爽子の親友2人が、夏菜(なつな)蓮佛 美沙子(れんぶつ みさこ)ときます。脇を固めるキャスティングにおいて、これ以上はそうそう叶わない。

そして物語りの出来を左右するといわれる悪役=カタキ役であるくるみちゃんを演じる桐谷 美玲(きりたに みれい)が、ぴったりすぎる!個人的には、最高すぎて他の役を演じている姿を観ても、今ひとつピンとこない有り様です。

特撮のヒロインを演じられるより、ずっと印象に残った実写版くるみちゃんでした。

最後に、風早くんを演じて三浦 春馬(みうら はるま)
熱心どころか、殊更その活躍を追いかけていたわけではありません。
だから訃報に際して、匿名性を利用して故人に特別な感情を抱いていたような顔をして惜別を送るような真似はしたくありません。

ただ風早という役が、ぴったりであり、好演してくれました。
手元に所持するほどの劇場版『君に届け』です。これからも思い出しては観返す作品であれば、残してくれた演技を、その好演ぶりから離れることはありません。

【コミック】運命の人

実写版を観た辺りが『君に届け』のピークであったことを、ここで正直に告白させていただきます。

それから、どこまで読んだっけな?といった感じです(笑)
あやねちゃんケントが付き合っているところまでは、間違いないです。

あれから10年か、といった感慨と、キャストの訃報がやはりどこか引っかかっていたのかもしれません。
コミックレンタルという制度も始まっております。

残りを読むか、と探していたら、あら続編となる番外編が!と発見です。
けっこう前に出ておりました。情報の主がネットになってから、却って逃しが多くなってきた気がします。自分が甘いこともありますが、自分の意向でしか物を探れない状況が招いている点もまた自覚したいです。

しかも主人公が、梅(くるみちゃんのこと)ときます。

とてもカワイイ顔の裏腹は真っ黒な女子。初読では典型的なイヤなオンナと捉えておりましたが、こちらが歳を重ねればです。

くるみちゃんこそ人間そのものだな、と壮大な感覚で捉え直しています(笑)
いくら純粋でも感情は、量によって変質します。受け止める相手の状況も、大事な要素です。
綺麗で済ませられない感情のほうが、人生上において圧倒的に多い。

くるみちゃんの黒さは、現実にすごす者の感情へ近いものがあるような気がします。少なくとも、以前よりずっと受容できる身近なキャラとなっています。

いえ、そんな小難しいことは、どうでもいいんです。

『君に届け 番外編~運命の人~ 1』は、サイコーだ!

もしかして『君に届け』は、ここへ至るための作品ではなかったか!と思う今現在となっています。

1頁目から、くるみちゃんから、運命の人は「爽子ちゃん」ではないか、ときます。

いきなり飛び込んでくる想いは、一筋縄ではいかない感情です。

くるみちゃんにとって友達と呼べるのは、爽子ちゃんしかいない。いないにも関わらず、気持ちを試さずにはいられない。好きな相手だからこそ、困らせて確かめる真似を止められない。

この辺りにおける心情の描かれ方が、静かに深く沁み入ります。
試してしまう行為は褒められたものではありません。しかし試すことすらしないということは、割り切りがすぎることでもあります。人間関係とは生活していくだけの一要素とすれば問題も発生しませんが、深い感情も生まれません。

くるみちゃんには、完全に失って欲しくない感情です。やりすぎなければいいだけの想いです。
けれども爽子ちゃんを目前にしてきたせいか、黒の面でしか解釈できません。
毅然としたヒール役が成長したら、自分に自信を失くしたコンプレックスにも似た想いで、いっぱいとなっておりました。

だからくるみちゃんではなく「」と呼ばれるようになる今作では、かわいくて仕方がない。

寄ってくる男どもは数知れずであったが、風早に一途で、今ではそのカノジョとなった女友達に「寄生」と喩えるほど常に傍へいます。

梅ちゃん、これまでデートしたことがなかったんだ!という事実の発覚に、読んでる方も驚愕してしまいました(笑)

くるみちゃんを改め「梅ちゃん」は、実にけったいな青春時代を過ごしてきてしまったようです。

加えて、爽子ちゃんは相変わらずなのが、とても良い味を出しています。

これが、おもしろくないわけがない!!!

『君に届け』のコミックを買い揃えなくても、『 番外編~運命の人~ 』は購入し続けることとなりました。
そういう男性ファンが、ここで書いている者であります(笑)

梅ちゃんの相手役「赤星 栄治(あかほし えいじ)」は、以前の作品で登場を果たしていたことを、今回ブログにする過程で知りました。
なんと、読むしかないじゃないか。