ウルトラマンZ(ゼット)最終回【ネタバレ感想】第25話「遥かに輝く戦士たち」#緻密に作られたサイコーのストレート
以下、ネタバレありです、独自解釈による偏見の酷いものとなっております(笑)どうか、ご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。
キャスト
⚪︎ナツカワハルキ/ウルトラマンZ 平野 宏周(ひらの こうしゅう)/畠中 祐(はたなか たすく)
⚪︎ヘビクラショウタ 青柳 尊哉(あおやぎ たかや)
⚪︎ナカシマヨウコ 松田 リマ
⚪︎オオタユカ 黒木 ひかり
⚪︎イナバコジロー*バコさん 橋爪 淳
⚪︎クリヤマ長官 小倉 久寛(おぐら ひさひろ)
⚪︎カブラギシンヤ 野田 理人(のだ りひと)
⚪︎ウルトラマンゼロ 宮野 真守(みやの まもる)
⚪︎朝倉リク/ウルトラマンジード 濱田 龍臣(はまだ たつおみ)
⚪︎ベリアロク 小野 友樹(おの ゆうき)
*青字は声優さん。キャストの振り仮名は、ここで書いている人が一瞬でも読むのに悩んだ俳優さんに振らせていただきました。
遥かに輝く戦士たち
サイコーの隊長
田口監督が番組開始後のインタビューで、もし青柳 尊哉(あおやぎ たかや)が引き受けなければ、ヘビクラ隊長そのものを設定やり直しをしなければならなかったそうです。
ストレイジ隊長であるヘビクラショウタ、その正体はジャグラス・ジャグラー。
『ウルトラマンオーブ』で登場した欠かせない宿敵は、まさか後年の作品でまた存在感を発揮することとなるなど、誰が予想しましょう。
『ウルトラマンZ』で、ジャグラーさんがストレイジの隊長に収まっていなかったら?
全く考えられません。
全く考えられないと言いながら、もしジャグラーさん設定がなくなっていたら、どんな代案にしたか気になります(笑)。

本部へ向かうストレイジ隊員たちは、両手を掲げた無抵抗の姿勢を示します。
もはやウルトロイドゼロの計画は失敗というには、あまり致命的な事態を引き起こしています。
数々の怪獣やメダルといった能力を吸収し、最悪の怪獣デストルドスを生み出す契機となっています。
いくら寄生生物セレブロのゲームに踊らされていたとはいえ、責任を問われずに済まされません。
憑依されていたため全く当人の預かり知らぬクリヤマ長官は、休養は命じられても、結局は不問に近い形で収まるかもしれません。デストルドス誕生のキッカケはストレイジ、と糾弾する声も上がるでしょうが、結局は怪獣災害に対応できる組織で収まりそうです。
むしろ地球防衛軍本部に預けるほうがリスクがあると判断される可能性が高いです。これはストレイジにとっては、災い転じて福と為す結果へ落ち着きそうな気がします。
危機や苦難を乗り越えて、より強固となれそうです。
代わりにウルトロイドゼロの開発を進めていた中心人物であったユウキ マイが責任を取らされそうです。
騙されていたとはいえ、世界中に厄災をもたらす起因です。どうして気づけなかった、という糾弾はされそうです。どこかで責任と、となります。
今回の件の生贄みたいで、ある意味においては気の毒な扱いをされるかもしれません。
ただどうせ責任を取らされるならば、いっそのことストレイジと形振り構わず協力体制を取るしか打開策はありませんでした。頭は良いに違いないのですが、組織や立場に拘泥して考えることを止めてしまった悲劇があります。
無抵抗で来たストレイジに発砲を命じた件も不利に働くかもしれません。
もし唯一、情状酌量の点があるとしたら、相手の先頭がギザギザ星人であったことでしょうか。
ジャグラーさんが丸腰で来るわけがない。

「罪な男」ぶりのポーズは、ジャグラーさんお得意です。オーブの頃から変わりません。
同性から見ても、セクシーです。ここから女性をさらに呼び込みたい、と特撮ヲタなれば画策したいほどです(笑)。
ところでまだユカは、隊長の正体を知らなかったのですね。
ヘビクラ隊長はジャグラーさんだったことを、たまたまユカの方にまで届かなかったか、それとも通知はしていなかったか。通知していないであったら、状況的に秘匿の判断はよろしくない、という結論へなりそうな気がします。
ユウキ マイさん、ますます不利な立場へ追い込まれそうです。
しかもこの後に、ヘビクラ隊長として活躍を見せます。
世界の防衛組織は壊滅。それを含めた敵の気質を見極めて、敢えてストレイジ本部へ誘き寄せる作戦を取ります。
ストレイジの隊員たち前で、ここはジャグラーさんではなくヘビクラ隊長で、最後の言葉とばかり話すシーンがサイコーです。
最強の怪獣はやってくる、地球防衛軍本部も事態より体裁を守る行動を優先してやってくるかもしれない。
厳しいとしか言いようがないストレイジの状況。けれども成功させるためには「死守しかない」なんて、体調は言いません。
「危険を感じたら、すぐ逃げろ」
「逃げていい」
ここが、たまらない。情感のこもった語りかけが、うるっときます。
最後はヘビクラ隊長の号令で、ハルキ以下ストレイジ全員が叫けぶ「Go、STORAGE!」
なんだか泣いてしまいました、の第1弾です。
今回の件で、問題の指摘はあっても功績は認めざる得ないヘビクラ隊長です。周囲も声を挙げるでしょう。
すると、ますますユウキ マイさんに不利へ働くこととなります。
ジャグラーさん、つくづく罪な男です。
青柳さん、今回のオファーを受けてくれて、本当にありがとうです。
やはりジャグラーさん抜きの番組成立など、考え及びもつきません。

ところで盆栽趣味は、ヘビクラ隊長としてでなはなく、すっかりジャグラーさんの趣味みたいです。
また何かの折りには、盆栽を見せてくれるかもしれません。
サイコーのマッドサイエンティスト
ユカの宇宙人なら解剖したいというエピソードが、まるまる活きた最終回です。
全てのエピソードを繋げてくる素晴らしさは以前から解っているものの、それを笑いへ落としてくるところが「凄い」の一言です。
隊長が宇宙人とすれば、せめて髪の毛とばかりに欲しがったり、セレブロを嬉々として捕まえる姿にはブラックながら笑いが浮かびます。
最終回の笑いどころは、ユカが全部さらっていったような感じです。
「さぁ、解剖の時間だよー」
とても悪いヤツであるはずのセレブロですが、なぜか気の毒に思えてなりません。
普通なら嫌がることを、むしろ楽しみでしょうがないとするユカは、現代の天才的頭脳の持ち主で良かったです。
時代や状況が違えば、変質的な拷問執行人になってしまう可能性を感じるからです。
天才と狂人は紙一重としたくなるユカのはしゃぎぶりは、最後までコメディしていました。
もっともはしゃぎながら、
「隊長、こいつと戦ってたんですねー」
これまでの本質を突いてくるところが、さすがのユカです。
そんなユカだからこそ、いずこかへ去っていくヘビクラ隊長ことジャグラーさんに、真面目な顔で聞きます。
「隊長、また会えますよね」
最初に観た時は胸を突かれる思いで、観返した時には泣けました。
またジャグラーさんが、ちょっとした表情を見せてから「じゃぁな」です。決まる時は決める星人です。
ギャップの差が魅力的すぎて、ユカは忘れられないヒロインとなりました。
タイガのオーディションで落ちたけれど、田口監督がZで的役だと出演オファーです。
巡り合わせとは、不思議というか、何が幸いするか本当に分からないものです。
ウルトラマンZの出演者中において、今後において最もゲスト出演しそうなのがユカと睨んでいますが、さてどうでしょう?
今後もまた機会があることを願っております。
ところで忘れちゃいけない、カブラギシンヤ。
セレブロから解かれた姿は、ただの好青年にしか見えません(笑)。その裏返しとして、セレブロに憑依されていた際の役作りは大したものだったと言えます。
最後の最後に出演させてくる手抜かりなさを感じつつ、好演だったと改めて思います。

サイコーの女先輩
腕相撲です。
当初から素敵な男性を求めているものの、少々一般的基準からズレているため結果が得られないヨウコです。
底辺に強いファザコンがあるかもしれない、といったあくまで個人的推察をしております。
クライマックスへ臨むに当たって、ヨウコの腕相撲ネタがフィーチャーされるようになってきました。
腕相撲のエピソードが、ハルキとの距離を絶妙に仕立てあげます。
ウルトラマンZという番組なりの、男女の間柄を構築してみせてくれます。
セレブロに憑依されたヨウコはウルトロイドゼロに搭乗したままです。そのままデストルドスとして破壊の限りを尽くしています。
ハルキはキングジョー ストレイジカスタムでヨウコの搭乗している部分を掴み上空へ舞い上がっていく。
「先輩、絶対に助け出しまーす!」
ハルキの想いが、ヨウコの意識にまで届いたか。
けれどもハルキは、まだ自身の認識すら出来ないヨウコに持ちかけるとしたら腕相撲しかない。

ハルキの訴えから、徐々にヨウコが自分を取り戻していく、ここまでのやり取り。
「ずっと特訓していたんですから」ハルキの懸命な言葉に、デストルドスに取り込まれたヨウコをずっと救えずにいた悔しさを感じずにはいられません。
ハルキとヨウコの回想である腕相撲シーンが挟まれます。
自意識を取り戻し、ハルキを見つめるまでのヨウコの表情。
腕相撲に勝ったら結婚のネタが、とんでもなくイイ所へ落ちていきます。
ここの一連のシーン、泣かずにはいられません。
宇宙へ旅立ったハルキの帰る拠り所は、ヨウコが大きくなりそうです。当人たちが、どれほど自覚できているか不明ではありますが。
主人公とヒロインの間柄は、その性格上派手ではなかったもののドラマティックに展開しました。
ここまでハルキとヨウコが昇華されるとは、意表を突かれました。上手すぎです。
サイコーの特空機
いつもの部署に戻ったストレイジは総力戦です。
ハルキは初めて「特空機3号 キングジョー ストレイジカスタム」に乗り込み、巨大化する力が残っていないジャグラーさんはヘビクラ隊長として「特空機2号 ウインダム」へ初搭乗となります。
のっけからの空中戦がカッコ良すぎ!
2体の特空機が力を合わせて、デストルドスを地上へ叩き落とす。けれどもヨウコ救出という足枷もあり、ついに行動不能にまで追い詰められ、最悪の武器デストルドスD4が発射されそうになれば、ユカも悲痛に叫ばすにはいられなかったその時!

確かに、最終回にイイところで「特空機1号 セブンガー」の登場は予想はしていました。
しかしながらです。
硬芯鉄拳弾(こうしんてっけんだん)を飛ばしてくる!
カッコいい、カッコ良すぎる!!
ここまでハートを燃やす登場の仕方があるか!!!
操縦するは、なんとバコさん。
バコさんなら何でも、というキャラを見せられてきただけではなく、ここでセブンガー展示の博物館エピソードが活きてきます。
無意味な回が、まるでありません。

見よ、3機の勇姿を!
と、行きたいところですが、アイテム収集に走る者としては気になる点があります。
3機の中央に立つセブンガーの右腕が、ドリル装着となりました。
ドリル・・・これほどロボもので魅力的なアイテムはありません。ありませんから、必須となります。
ところで発売された、もしくは予約状況にあるセブンガーに、この魅力的な新規パーツは商品に追加されるのであろうか?
とても重大な懸念が発生しております(笑)。
少々金額がかかって当たり前だと思っておりますから、追加で商品化して欲しいと強く思っております。
それとも後続作品に再登場し、その都度バージョンアップするという思惑ならば乗っても構わないと思っております。
サイコーの相棒
現在のボロボロ状態でゼットさんになれるは、あと1回が限度。
けれどもセレブロを追い出したヨウコがデストルドス内部から上空から吹っ飛ばされれば、共にキングジョー ストレイジカスタムから出て落下していくハルキ。
「みんなを守りたいだー」のハルキの叫び。
ヨウコの手に戻ったベリアルメダル。
落下していくなか懸命に腕を伸ばすハルキ。
そんな2人を見上げるストレイジの面々。
ゼットライザーにヨウコがベリアルメダルを差し込む。

ゼットさんがまず現れて、言う
「ご唱和ください、我の名を!」
こんなところまで、きちんと意味がある設定がなされています。
ちょっと地球語=日本語が怪しいゼットさんだからこその言葉のチョイス。
そんな問いに相当する言葉が、皆の気持ちを具体的に込める行為となる重大かつ感動的な掛け合いになります。
「ウルトラマンゼーット!」
皆が声を一つに叫べば、ハルキはゼットさんのカラータイマーへ吸い込まれていく。
ヨウコを地面に降ろして佇む姿が最高にカッコいい、最終フォームウルトラマンゼット デルタライズクローであります。

けれども、本当にカッコいいのはこれからです。
デストルドスD4と共に散っていったベリアロクさん。
同時に解けるデルタライズクロー、けれどもデストルドスはまだ倒せてはいない。
そして最後の決戦は、何の強化フォームではないオリジナルのゼットさんで挑む!
この流れは、最高としか言いようがない。立ち向かうウルトラマンZと、共にあるハルキに被さる主題歌「ご唱和ください 我の名を!」
最後の最後がゼスティウム光線を全て出し切るように撃つ。
痺れます。

エンディングは、ハルキがゼットさんと共に宇宙へ旅立つこととなります。
ここに無理を押して戦ったため傷ついた姿を見ています。
前回でゼットさんが、ハルキの身を案じている姿は示されています。
常にどこに危険が潜んでいるか分からない宇宙警備の任に、ハルキ連れでの復帰は考え難い。
ゼットさんとハルキ、今回の戦いで離れてしまったら生存不能になるほどの消耗を負ったのではないか。
分離不能を承知したハルキは、守りたい意志を持つ人です。取り敢えず平和になった地球に止まらず、ゼットさんと共に宇宙のどこかへ誰かの救いに出ていこうと考えることは自然です。
それもハルキとゼットさんの間だからです。
もしかしてウルトラ族と地球人のコンビとして、最高の相性にあるのかもしれません。
なにせ復活のベリアロクさんが、一緒に旅したいといった感じの出戻りです。ベリアル因子でさえ、お気に入りとさせるハルキとゼットさんなのであります。
最後ではないでしょう
テレビ放送が終わったからといって、作品そのものが終わらないところが昨今の特撮ヒーロー番組の醍醐味であります。
取り敢えず次回がオリンピックやらコロナやらで振り回されたおかげで生まれたか?と思わせる総集編の『特別編3 リ:ストレイジ』があります。
次の新作を埋めるまでは『ウルトラマン クロニクルZ』ときます。
そして何より待たれる映画!いろいろ製作状況や公開スケジュールの調整などで、例年に比べ困難を極めているかもしれません。メインの脚本家も鬼籍に入っております
しかしながら『ウルトラマンZ』を映画化しないは、ちょっと考え難い。
観ていて燃える王道のパターンを踏みながらも、構築に当たっては細部に至るまで緻密です。設定にこだわりすぎればダイナミズムが失われてがちになりそうな点は、見事にクリアしています。
何より笑いの裏に忍ばせる深甚さが絶妙でした。
最後にストレイジから敬礼を向けられたゼットさんは、居住まいを正して頭を下げての返しです。ほんわりした仕草が、ゼットさんのキャラを全て表している気がします。
またの活躍を!期待して待ちたいです。