ウルトラマンZ(ゼット)【ネタバレ感想】第12話「叫ぶ命」
以下、ネタバレありです、独自解釈による偏見の酷いものとなっております(笑)どうか、ご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。
キャスト表
⚪︎ナツカワハルキ/ウルトラマンZ 平野 宏周(ひらの こうしゅう)/畠中 祐(はたなか たすく)
⚪︎ヘビクラショウタ 青柳 尊哉(あおやぎ たかや)
⚪︎ナカシマヨウコ 松田 リマ
⚪︎オオタユカ 黒木 ひかり
⚪︎イナバコジロー*バコさん 橋爪 淳
⚪︎クリヤマ長官 小倉 久寛(おぐら ひさひろ)
⚪︎カブラギシンヤ 野田 理人(のだ りひと)
⚪︎ウルトラマンゼロ 宮野 真守(みやの まもる)
⚪︎朝倉リク/ウルトラマンジード 濱田 龍臣(はまだ たつおみ)
⚪︎ベリアロク 小野 友樹(おの ゆうき)
*青字は声優さん。キャストの振り仮名は、ここで書いている人が一瞬でも読むのに悩んだ俳優さんに振らせていただきました。
怪獣設定にくすぐられます
今回の登場怪獣である、爆撃雷獣 グルジオライデン。
元ネタは(笑)今回の監督である武居正能がメインを務めた『ウルトラマンR/B』からという、とても自然な流れです。
R/Bにおいては「グルジオ」の名を冠した怪獣が3体も出てきております。番組を担ったグルジオです。
火炎骨獣 グルジオボーンときて、爆撃骨獣 グルジオキングを経て、ツルちゃんからアサヒが操作する超鎧装獣 グルジオレギーナでトドメを指します。
レギーナの時は、それはもうツルちゃん及びアサヒの行動には泣けるシーンが・・・という、個人勝手なウザい思い入れは長引くのでヤメておきます。
今回と繋がりを求めるは、2番目に出てきた爆撃骨獣 グルジオキングです。
使い回しは前回に担当していた監督に任せるが良いと判断されたのでしょう。
冠も「爆撃骨獣」から「爆撃雷獣 」と、一文字だけ入れ替える凝りようです。いやこれは、凝るとする表現はあまり正しくないかもしれない(笑)。
実は『ウルトラマンZ』において、R/Bに登場していた怪獣からといった例は多い。
初回のゴメスに始まり、ネロンガ・キングジョー・レッドキングと、まだ11話中に4体ときています。
もっともニュージェネのウルトラマンにおいて、怪獣の再登場は宿命みたいなものです。なにせ制作前に新怪獣は何体まで可能か判断されている、これこそ特撮の予算組みが為されています。
後にストレイジでカスタマイズされるキングジョー以外は、特に理由はなく、スーツの状態次第では別物へ変えられた余地が充分にあったと思われます。
そう考えれば、まだ今回の扱いは良かったほうかもしれません。
多少の手は加えられているようです。冠だけでなく名前もグルジオまでは同じでも、後半はライデンと新種めいています。
爆撃雷獣 グルジオライデン!ただ新怪獣であるものの、使い回しには違いありません。
しかしながら、グルジオの名を踏むだけあってR/Bの設定付けを取り込んでいます。
「遺伝子操作された怪獣」これこそがツルちゃん物語もといR/B超全集で語られた、元凶の根本であり全てであった設定です。
グルジオライデンの表皮から遺伝子操作の痕跡・宇宙人が作った生物兵器と解析から推測を述べるユカに、トレギアは元気だろうか、劇場版では倒されていたものの、あれで終わるとは思えない!と考えずにはいられませんでした。
ユカの変態性が発揮されれば、トレギアはある意味でとても真面目なヤツだったのでは、という思いが走ります。
悪い笑みも浮かべるヘビクラ隊長の正体であるジャグラス・ジャグラーさん。宇宙人だけに、天才と凶気は紙一重な女性科学者がいることで、悪事より前にその身を心配したくなります。
R/Bの感慨も、一瞬で吹き飛ばすストレイジの個性あるメンバーであります。
簡単にはいかない
冒頭から、グルジオライデンと戦闘です。
前回に華々しい活躍を見せた特空機3号 キングジョー ストレイジカスタム。しかしながらメンテナンスが追いつかないおかげで、特空機1号 セブンガーがお目見えしました。
下手すれば、もう出てこないんじゃないか、と危ぶまれたセブンガーの勇姿が見られて幸せです。いやそれは嘘です。贔屓目を持ってしても勇姿などございませんでした。硬芯鉄拳弾を撃とうとしたら、バッテリー切れです。
相変わらずのボケ役です。でもだからこそのセブンガーです。早くソフビを再販していただきたいです。
ここでも、トドメを刺せなかったウルトラマンZ。
いえハルキがレッドキング親子のトラウマで刺せなかったが正解です。
父親が亡くした自分が、相手が怪獣とはいえ父親を奪っている。
ハルキは1人で抱え込んでしまいます。
けれどもさすがに限界か。声をかけてくれるヨウコ先輩に胸の内を吐露します。
本当に怪獣を倒すことがいいのか?
これに答えるヨウコの言葉は、実に説得力があります。
レッドキングの卵が孵化して、街へ出てくる危険性。かわいそうでも、怪獣はこの世界に居場所がないこと。
「だからこそ誰かに押し付けちゃいけない。ちゃんと背負いたいんだ、命を奪う責任を」
悩むハルキに過ぎる、地球にいたと思われる怪獣たちとの戦い。コメディ色で快調に飛ばしてきたエピソードのなか、ゴモラなどで顕著だった人間側の都合や、ギガスは出現しただけで抹殺の様相を呈していた。
今になって振り返ると第3話『生中継!怪獣輸送大作戦』などは、ハルキがウルトラマンとしての疑問を持つ伏線であったかもしれない。
もしかして、ずっとコメディと見せかけたミスリードが既に随所に渡って放り込まれているかもしれない。
そして単なるミーハーだけでウルトラマンZを支持しているわけではなかったヨウコの説得力ある言葉を持ってしても、ハルキは踏ん切りがつけられない。
特空機3号の絶大なる威力は、ウルトラマンとして戦えなくなったハルキを救うこととなります。
ゼットとハルキは一心同体でなければ、ならない。
それを叶えられなかったため、ウルトラマンは敗北する。代わりに人類が怪獣を倒す、という最終回で見られるような展開が第12話で行われました。
中弛みなど無縁な『ウルトラマンZ』という作品です。
【次回】メダルいただきます!
前半はコメディを押し出し、後半からはシリアス度を深めて一気にいくか!
そう予想したいところですが、さすがのウルトラマンZで簡単にはいきません。
次回は、凶暴とは無縁な等身大怪獣のカネゴンが登場のようです。
ただこのカネゴン。カネ、カネ、カネ、といった経済社会を身を削る想いで泳ぐ者からすれば、凶悪以外のなにものでもない性質も持っています。食べ物がお金なんて、抹殺するしかない生物です(笑)。
それがウルトラメダルを飲み込むみたいです。
次回においてユカがカネゴンを解剖したがるであろう以外のことで、ハードな展開など思い浮かびません。
そしてゼットとハルキが、どういった答えを出すのか。
ウルトラマンと人間が対等な目線から感情を育んでいく。それはまだ見ぬ物語りです。次回もまた楽しみで仕方がありません。