GARO -VERSUS ROAD-【最終回を終えて】#特撮ファンだからこその衝撃

今回はかなり独自解釈による偏見が強いかと思われます。
未見の方にはネタバレにもなります。どうか、ご了承のほどをお願い致します。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

停滞を感じた映画

一度『牙狼』は自分の中で終わっています。

最初の『牙狼』が放送されたのは、2005年10月から全25話。基本的にのんびりしている性格なので、監督が雨宮 慶太(あめみや けいた)でなければ本放送は逃していたかもしれません。

仮面ライダーとスーパー戦隊といったニチアサ枠に、ウルトラマン。さらに東宝系列になる超星神シリーズもある、放送本数的には興盛を極めていた時期です。

ただし放送されていたのは『仮面ライダー響鬼』平成ライダー最も売り上げが低迷していた時期でもあります。
ウルトラマンといえば「N PROJECT」が失敗した直後となります。後で知ることになりますが、当時は負債増加に対して製作を行う。つまり自転車操業を行うことで、債権者にポーズを取るための製作が続いていたようです。
超星神も3作目。1・2作目が1年間を通した話数であったに対し、こちらは3クールへ短縮です。やはり売り上げとしては、微妙なところであったのでしょう。

雨宮監督へ最初に持ち込まれたのも、児童層をターゲットにした企画です。それが深夜の大人向けとして変化したことは、当時に特撮番組の情勢と無縁ではないように思われます。

昼間帯とは差別化が大きく働いて、エログロを織り交ぜるアダルト作品として放送された『牙狼〈GARO〉』好評をもって終了へ至ります。
個人的には、好評かどうかの実感は得られなかったのですが(笑)その後に出版されたマニアックなムック本が好調な売り上げたということと、続編が早々にアナウンスされたことです。

後日談となる『牙狼〈GARO〉スペシャル 白夜の魔獣』は、テレビ終了2006年の末に有料チャンネルにて放送されます。もちろんここで書いている人は、レンタル屋さんです(笑)

ここで一旦区切りかな、と思われましたが、どうやら雨宮監督はやる気満々といった感じでインタビューに答えています。

シリーズを続けられそうな手応えはあるようだ、と待つものの翌年、そして翌々年になっても音沙汰がありません。予算のかかる特撮作品です。企画で消え去ることは、よくあること。
今回も、その例に洩れなかったか。もう期待をかけることすら忘れた頃に、いきなり出てきた「牙狼」の単語。しかも出てきたのが、仕事先の職人さんたちからです。

特撮など無縁そうな現場で働く面倒な人たち(笑)が、なんで?と聞きたくなりますが、わざわざ質問するほどでもない。自ら「パチンコ」で出玉がいい(だっけな?)と騒いでおります。

すっかりパチンコを打つ人たちの間では、知らぬ者はいない状況へなっていたようです。賭け事はいっさい興味を持っていなかったため、まるきりの予想外です。もしかして情報発信はなされていたかもしれませんが、自分には引っかかっていなかった。

そんな中で、まる3年以上を経過してから発表された劇場版の報せ。テレビではなく映画公開とは大胆すぎないか。しかし2010年10月に封切りとなった『牙狼〈GARO〉〜RED REQUIEM〜』へ足を運べば、満員とはいかないものの、けっこう賑わっている感があります。

牙狼は名前だけ知っているという友人にも好評です。テレビシリーズを借りて観てみようと言い出します。
何より、職人さんたちの一部が実は観に行っていた!そして、けっこう良かったと言っております。

大人向けの特撮作品を目指した成果が奏したようです。
普段は特撮を観ないにしても、平成ライダーは10年を数えています。ヒーロー作品が日常的に展開している時代が幸いした面もあるようです。

それからは、続編が映画に止まらず、テレビにまで至ります。主人公を変更した新シリーズに、スピンオフもまた生まれれば途切れることはありません。物語が息子の世代へ及ぶばかりでなく、アニメ化といった策にも打って出てきます。

まさに破竹の勢いが続いていきますが、「3部作」の次にやってくる「10年スパン」のジンクスは破れなそうな雰囲気が、2010年代後半から漂ってきます。

さほどの悪評もない代わりに、熱が入ったような意見も上がりません。辛口は散見できるものの、どちらかというと「まぁまぁ良いんじゃない」的な評価で収まっていきます。

周囲も観なくなっていきます。パチンコするだけとなっていきます。

感心がどんどん薄れていくという感じです。

2019年10月公開となった『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』まだまだアイディアはあることを見せつける傑作と言いたいくらいの出来です。少なくとも個人的には、最も見返す牙狼作品となっています。

ただ難点を挙げれば、集大成であること。確かに牙狼を知らずでも楽しめるかもしれないが、知っていた方が面白いだろうといった作りになっています。
タイミング的にも、テレビ放送が途絶えていた時期でもあります。一般的に訴える機会は皆無に等しく、従来のファン頼りな状況です。

ファンでもなければ、10年近く経っても興味を保ち続けることは難しいです。しかも長年になれば、見方が厳しくなっていきます。作品の存在が当然となってくれば、ファンも己れの好みを押し出しくるようになります。

やはり動員には、新規の開拓が必要です。

『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』においては、10年近く前『牙狼〈GARO〉〜RED REQUIEM〜』を上映した映画館は取り扱わなくなっていました。それよりもショックだったのは、上映館が封切りから1週間を経た後に、1日の上映回数を1回きりにされてしまったことです。

都心の上映館は変わらずの回数であったようですが、少し離れた地域では目に見えた落ち方です。やっているだけマシだ、という状況です。

『牙狼〈GARO〉〜RED REQUIEM〜』の頃は熱気を感じていただけに、シリーズ終焉の気配が漂ってくるようです。作品の内容と相まって、これを有終の美とすべきか。

『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』作品自体には満足しながらも、寂しい気持ちで劇場を後にしたことを憶えています。

マーチャンダイジングがない作品の凄さ

牙狼はもうやらないか、間を開けるしかないと思っていたところへ「15周年記念作品」が製作されるという情報です。

VRによる仮想空間でサバイバルゲームを行う。どうやら牙狼は出てこなそうである。
前情報から、以上のように理解しました。

ここでいきなりですが『仮面ライダークウガ』という作品があります。
平成ライダーの第1作目であり、2000年放送です。平成ライダーにおいて、唯一の仮面ライダーが複数出てこない作品です。
単独ではありますが、さまざまなタイプチェンジをしますから、商品展開としては複数に渡れます。ただし最終形態を出すタイミングが最終回まぎわでありました。

時代は飛んで、令和ライダーの第1作であり現在放送中の『仮面ライダーゼロワン』コロナ禍によって撮影の一時中断を強いられ、ストーリーが先へ進まない総集編を流すしかなくなります。
しかしながら、今後の展開においての情報となる「新たな姿」のフィギアは滞りなく発売されます。

ともかく商品展開が第一!これは特撮という作品が製作するうえで、何によりも優先事項とされることです。

映画のゴジラさえ、ゴーストゴジラというアイディアが「玩具にしにくい」理由だけで新たに練り直しをさせられたほどです。

商品売り出しのために、新しいフォームをラスト付近に持ってくるなどスポンサーサイドからすれば、以っての外です。現に『仮面ライダークウガ』は揉めたようです。

これはテレビ放映となる特撮作品において、特に平成以降においては、ストーリーにおけるどんでん返しはあっても、商品となるヒーローそれ自体に何かが手を加えられることはない。クライマックスにおいては、ヒーローのスタイルは既出の状態を当然としています。

例外があるとしたら『ウルトラマンネクサス』くらいか(他に思いあったら追加します)ただ当作品は「N PROJECT」の挫折より、お蔵入りさせなかったというニュアンスで捉えていいかもしれません。

牙狼の場合は、玩具メーカーではないスポンサーであるためか。玩具の展開という点では、昼間の時間帯作品とは趣きを異とするところはあります。
ただし、商品展開が収入源となることは間違いなく、大人をくすぐるアクセサリーや本格的なフィギアは出してきます。細かなグッズ展開はしております。

放映開始された『GARO -VERSUS ROAD-』放映終了後に至っても、商品展開は何もないようです。
放映中に出たといえば、牙狼になれるアプリwとグラスが出ていましたか。GAROVRに関した商品はない、ときます。

空遠がずっと握りしめるペンダントくらいは商品化してもいいんじゃないか、と思うくらいです。

そのため最終回の手前まで、あくまでも中空に浮かぶ「ガロ」は見立て。牙狼の世界であることをビジュアル化して知らせるためだけの小道具としか思えません。

牙狼の鎧が装着されることはなく、変身されることはない。あくまでドラマで押し切るだろう、と思っておりました。

終了してからの考えですが、もしかしてGAROVRという作品は、商品化を前提していないというより、しないようにしていたのではないか。

特撮ヲタをやっていると、いかに玩具から事前情報を得ていたか。思い知らされたGAROVRという作品です。

最終回に、主人公が黄金の騎士になり活躍します。特に驚いたのは、敵もまた暗黒の騎士ベイルといった新しいキャラが登場です。これが、なかなかカッコいい。
最後の最後で、牙狼以外のなにものでもないシーンが観られるとは!

展開を読めていた人は多かったかもしれません。

ただ特撮作品に感性をこじらせた者からすれば、野心的な試みとしか捉えようのない展開のGAROVRでした。

逆算の作り

ここからは、あくまでここで書いている人の当て推量であることをお断りしておきます。

牙狼は「15周年記念」と銘打って形にしたいほどのコンテンツではあるのでしょう。

ただ近年の売り上げから鑑みて、従来ほど予算は組めないとなったか。真偽はどれほどかわかりませんが、特撮作品は通常ドラマの倍から3倍くらいの予算を要すと言われています。
本当に厳しかったか、それとも厳しい方を選んだかもしれない。

先の展開を一切読ませないため、あえて少ない予算の製作体制を選んだかもしれない。

ともかく最終回に、本来の牙狼らしいシーンを見せる。
そこへ至るまでを、どう持っていくか。作品の成功は偏に牙狼を、どう登場させるかにかかります。
ヒーローキャラが目的ではなく、ドラマだけで引っ張っていく。3ヶ月にも渡るなかで、特撮としてのカタルシスは最後の最後だけ。まるきりやらないではなく、本当にラストへ持ってくる。

たぶん、以後こうした作品は出て来ないように思われます。少なくともしばらくは製作されない特撮作品であるように思います。
仮に最後だけにヒーローを登場させる試みをした作品が出てきたとしても、GAROVRほどまでの熱気は得られないような気がします。

ただでさえコロナ禍の異常な情勢下で、これまでにない作りがもたらした興奮は二度とない時間を過ごした実感を強くしています。やっぱり現在を追いかける楽しさを、再認識させてくれました。
GARO -VERSUS ROAD-』個人的に、一生忘れられない作品であることに間違いありません。

だから、まだ言及は続きます。キャストについて、特に勇翔が特撮事情にもたらした点を書かずにはいられません。しかも個人的には、けっこう趣味が合っていますから書かずにはいられません(笑)

牙狼の新章となるか、期待を込めつつ、まだGAROVRを取り上げずにはいられません。