GARO -VERSUS ROAD-【感想*ネタバレあり】Final episode#12「VERSUS ROAD」

以下、ネタバレありの、独自解釈による偏見もありです。どうか、ご了承のほどをよろしくお願いします。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

人物表

空遠世那(クオンセナ): 松大航也
天羽涼介(アモウリョウスケ):勇翔(BOYS AND MEN)
南雲太輔(ナグモタイスケ):時人
香月貴音(コウヅキタカネ):とまん
星合翔李(ホシアイショウリ):清水尚弥
奏風大(カナタダイ):門下秀太郎
日向蓮(ヒュウガレン):Reiji(TOK¥O TRICKING MOB)
朱伽(シュカ):桃月なしこ
伽堂アザミ(カドウアザミ):日南響子
葉霧宵刹(ハギリショウセツ):丸山智己

残りは、2人となりました。
ある意味において順当と言えそうです。けれど消滅していったキャストたちは、もしやと思わせる濃さがありました。
ゲームの体裁を取った殺し合いに参加した7人。そのうち、はっきり描かれた過去は、空遠星合の幼き日の思い出くらい。

香月も過去を匂わせておきながら、実はミスリードを誘うような意外さでした。

これまで、どういった人生を歩んできたのか。いずれのキャストも創作したくなるくらいに語られていません(笑)

特に奏風日向など、一歩間違えれば単なる「やべーヤツ」で終わっていてもおかしくない。
けれど奏風には天羽がいますから、何とか理解が得られるキャラへ昇華できたでしょう。
問題は日向で、シリアルキラーのままで通しきりました。デス・ゲームを押し進めるためだけに充てがわれた役柄ながら、圧倒的なパフォーマンスと相まって強烈な印象を残しました。

30分放送の12話というタイトな時間のなかで、逸話を与えられないながら主要登場人物のキャラを浮き立たせる。肝心な点をきちんと押さえたストーリー構成に、当作品へ関わったスタッフに「次回」を期待したいです。

最終回を観る前から、こんな調子です(笑)

メイキング

最後のメイキングは、主人公の空遠を演じた松大航也です。
ごく真っ当な主人公らしく、特筆はありません(笑)
ただ改めて気づかされたことは、普段から感情を表にするキャラとしては唯一でした。逆を返せば、いかに周囲がくせ者揃いであったか。主人公こそ埋没しそうな設定な中で、よく演じ切ってくれました。

VERSUS ROAD

冒頭

最後の勝者となった空遠が振り上げる剣。覚悟したように目を閉じる天羽

けれども空遠は、天羽へ振り降ろしはしない。
かつて十三として、殺しはしなかったものの斬ってしまった葉霧が出来なかったことをしました。

この様子に葉霧が黙っていられなくなったことは、自らの手を握りしめるところから分かります。

本編

殺し合いからは降りた空遠
当然のごとく朱伽は現れて、殺し合えと迫ります。拒否する空遠に笑い声を立てながらも、一転して真摯な面持ちで「ガロの資格」について話し出します。

全ては間違っていた、と始めた朱伽なれど、途中で遮られる。腹に突き立てられた剣から、真っ二つに切り裂かれて消えていく。

朱伽もまた解明とは言えないまま姿を消していきました。

切り裂かれた朱伽から現れるは、葉霧。このデス・ゲームの発起人で仕掛け人でもあった人物が、ついに場へ出てくる。

バトルエリアは解除され、かつて葉霧十三だった時代にガロを決するため戦った場所か?と思わせるところへ移動します。

葉霧はまず天羽を蹴り飛ばし、剣を持って向かってくる空遠には相手にならないほどの強さを示します。

「わたしは誰よりも優れる魔戒騎士」

葉霧が歯向かってくる空遠へ言う、ここが「全て」を語っているような気がします。

果たせなかった夢、けれども捨てられない矜恃。

世を完璧に作り替える、とした大義を振りかざすも、虚しくにしか聞こえない。
醜い世界、と断じるのは、多くの人間の犠牲によって得ることに対しての言い訳にすぎないのではないか。

葉霧の人生は、ただただ辻褄合わせにしかすぎなかった。
けれどもそれだけ純粋な想いと才能があり、守りし者を生み出すためには人の命など鑑みない歪なシステムに翻弄されなければ、こうまで踏み外すことはなかった。

「VERSUS ROAD」という殺し合いが生まれた起因を考える時、許されざる葉霧ではあるけれど、ただ1人に原因を求めれば負の連鎖は途切れなく続くように思われます。

対決となった空遠葉霧がアクションシーン。激しい剣戟と、地面に身体を引きずっての攻防は凄まじい。牙狼シリーズは、出演者自らにアクションを強いります。
アクション俳優もまた視野に入れている空遠役の松大航也だから出来たシーンの連続です。

実力差が歴然とした戦いに、空遠は追い詰められます。

空遠へ迫る葉霧が言います。

「愚かなほどに、お前は私に似ている」

しかしながら空遠天羽に剣を振り降ろさなかった時点で、決定的に葉霧とは異なっています。
でも、似ているとしたかったのかもしれません。葉霧が果たせなかった夢の1つを見せられた想いがします。

トドメに入った葉霧。それを止めようと縋り付くは、天羽です。

空遠は勝者だから、と天羽が我が身を差し出すわけです。

首をかき切られる天羽。それを見つめる空遠は、まさに涙と鼻水で濡れ、ぐしゃぐしゃの顔。迫真の別れのシーンです。

「泣くな、生きろ」

最後に生き残った空遠へ手向けた天羽の言葉。もしこの先に時間があったならば、天羽にとって空遠はゲーム関係なく奏風と違った形で良き関係を結べたかもしれない。

天羽の死去によって空遠が吐き出す陰我によって、ついに葉霧の目的は完遂します。

陰我を満たしたガロは黒き鎧のような体裁で登場します。

ベイル」と呼ばれる、ガロを越えた鎧だそうです。
事態の推移を見守っていたアザミが「世界が変わる」と評するほど凄い鎧のようです。

ベイルを召喚できた自分が、史上最強の守りし者となる!とする葉霧の人生は、ガロになるための剣が抜けなかった時点から、一歩も動けていないようです。
かつて士導院が抱えていた形骸化された理念を、そのまま引き継いでしまっています。

葉霧自身から生まれていない理念ゆえに、空遠の真っ当な指摘にはあっさり揺るがされます。

「人の痛みに気づかないお前が、誰を守るんだ」

葉霧が動揺するところへ、空遠の「ガロなんていない」世界と返されては動くしかなくなります。ガロの存在を否定されることは、葉霧の存在否定にもなります。

ベイルの鎧を召喚する葉霧

空遠がこれまで生まれた争いや悲劇の全てを「断ち切る」それは牙狼として黄金の鎧を身に着ける者が口にする言葉が発せられた時に、上空から降ってきたガロの剣。突き刺さったそれを抜いた時に、空遠は黄金の鎧に包まれます。

最後の最後で、ガロ牙狼のシーンが描かれました。
予期していた方も多かったかもしれません。しかしながら最終回まで、その変身を取っておくなど特撮ヒーロー作品において野心的としか言いようがありません。

長き特撮ファンでありますが原理主義者ではない者の身からすれば、最終回に変身させたらおもしろいかも、と考えたことはあります。けれども、特に現代において、売り上げを考慮すれば、まずないだろうと考えていました。

GAROVRは、それを本当にやってくれました。この辺りは後日にまとめて書きたいです。

鎧を身に付ける=変身した状態でのバトル。ガロです、紛れもなく牙狼であることを確認させられます。

ピンチに陥るガロ空遠ですが、これまでの仲間や命をぶつけ合った同士の想いがあります。星合奏風南雲香月、そして天羽。いないのは日向だけ(笑)。みんなの所作や動きを取り込み、ベイルを圧倒していく。

ついにガロが勝つ。

鎧が解けた空遠葉霧の場所は、雪の積もった山中。

敗北の葉霧。それでも自分を斬ってこいと言っても斬らない空遠を不甲斐なく守りし者に値しないとし、自分がなれないことに慟哭します。守りし者になりたかった、と本心を漏らさずにはいられない。

そんな葉霧空遠が突きつける言葉。これまで何と戦ってきたのか、問い詰めた後に、

「自分の正義をふりかざし、守ったのは自分だけ」

今、世間に充満する考えを表すようなセリフ。これだけでもGAROVRは、ただの作品ではありません。

「救いのない世界、それではヒトは生きてしまう」

葉霧が絞り出すこのセリフが、絶望をもって響く。
意味のない生命讃歌などはしない、表層なる解釈など寄せ付けない内容で迫ってきます。

そのドラマ性は、最後の最後で凄さを見せてつけてきます。

現れるアザミ葉霧の集めた陰我さえ手に入れられれば、取り敢えずは良かった模様です。
役目を終えたとして葉霧を始末します。

残った空遠アザミ
ガロとして生きる道が空遠に示されたわけだが、それを選ぶことはないと言う。死んでいった者たちのために、ただ生きていくと言う。

アザミからすれば、自身が消されるとしたらガロによってであります。
しかしガロにならない、という結論には安堵以上に驚きをもって迎えたようです。もし身の安全を計るならば、ガロになりうる者は始末しておいたほうがいい。
けれども空遠へ最後へ告げたのは「また、会いましょう」そして何処ともなく消えていく。

1人残された空遠。皆の最後が脳裏をよぎります。
そして突き刺さるガロの剣へ背を向けて歩き出します。
まっさらな雪の中を1人で歩く姿は、これから進む世界を暗示しているかのようです。
凍えそうな孤独のなかで安寧には程遠い道、それでも空遠は皆の分を背負って生きていくしかない。

後書きみたいなもの

作品に対する感動は、まずは置いておきたい。置かなければ、キリがないからです(笑)

特撮ヒーローにおいて、こうした切り込み方は出来ないか、と積年考えていたことが見事なまでに具現化された作品でした。
いや考えていた以上に、切り込み方が鋭かった。

これから特撮ヒーロー番組を語るうえで『GARO -VERSUS ROAD-』は外せない作品となりました。

それもついに終了か・・・しかしながら、謎は謎として、うまく残されたような気がします。
GAROVRが宣伝文句で謳われるように「牙狼シリーズの新章」となるのか。なって欲しい。

その際には・・・と始めれば、これもまたキリがなくなりそうです。

番組は終了してしまいましたが、今後の動向はあると思いたい。
なぜなら、ここまでやってくれたのです。素直に期待したいです。