GARO-VERSUS ROAD-【感想*ネタバレあり】#10[ENCOUNT]

2020年6月18日

以下、ネタバレが含まれますことをご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

人物表

空遠世那(クオンセナ): 松大航也
天羽涼介(アモウリョウスケ):勇翔(BOYS AND MEN)
南雲太輔(ナグモタイスケ):時人
香月貴音(コウヅキタカネ):とまん
星合翔李(ホシアイショウリ):清水尚弥
奏風大(カナタダイ):門下秀太郎
日向蓮(ヒュウガレン):Reiji(TOK¥O TRICKING MOB)
朱伽(シュカ):桃月なしこ
伽堂アザミ(カドウアザミ):日南響子
葉霧宵刹(ハギリショウセツ):丸山智己

公式配信されたメイキング動画を興味深く拝見しました。

特にReijiがトリッキングパフォーマンスで空中回転しながら、勇翔を「直接」蹴る!といったメイキングに感動を覚えています。

個人的には当番組で知った勇翔ですが。普段は『BOYS AND MEN』というエンターティメント集団の一員として、歌手や舞台にタレント活動しています。

キャリアありのタレントと申せましょう。

特撮ヒーロー作品において、主人公クラスのたいていは、芸能活動をさほど経験していない若手を採用する傾向にあります。
1番の理由は、ギャラを抑えるためと言われています。
撮影にイベントと、拘束させてしまうためといった側面もあります。

他に活動の場を持つ俳優を抜擢すると、いかに大変か。それは仮面ライダーのみならずウルトラマンでも実証されています。

製作において、まず何よりも「無事」に終えられるかです。

特撮現場は、他とは比べものにならない危険さがあります。
未だガソリンが降りかかってくるスーパー戦隊の現場です。証言は得ていないものの、ライダーにおいてもあることだと思います。

他のジャンルとは比べものにならないリスクを背負う撮影ではありますが、主人公クラスの俳優に怪我で降板などさせるわけにはいきません。

しかしながら迫力ある場面を求めれば、いつまでもスタントだけでは済ませたくない、と考えるが監督という職業です。

仮面ライダーとスーパー戦隊といった「ニチアサ枠」1年間という長丁場です。だからか、出演俳優が本格的なアクションの始動は後半もしくは終盤にかかるくらいからです。

撮影早々にアクションしたというコメントにシーンを見れば、実はアクション的な段階で、自分を売り込むために発信したのか、それともまだよく分かっていないせいか。大変なのは、これからだぞ、と声をかけたくなる場合もあります(笑)

けれども昨今の傾向から、出演俳優にはアクションシーンは抑えられているように見受けられます。ストーリー展開も大きな要因でしょうが、それでも「アクションはなかった」ということも起きています。

今や特撮ヒーロー番組の出演は足掛かりになります。確かに俳優として番組終了後が、本当の勝負かと思います。何事もなく俳優を、これからに向けて送り出すことは「ニチアサ枠」において心していることなのかもしれません。

そうした中で、深夜帯の特撮番組としてシリーズ化出来た唯一の作品「牙狼」変身となる鎧を身に着けた姿は、アクションが取り辛いということです。「黄金の騎士・牙狼」として派手に動き回るシーンは、ほとんどCGで表現されます。
怪物を倒すその直前までは、俳優自身が過程を作るアクションをするとしたスタイルが取られています。

素顔のアクションという点において、GAROVRはシリーズの特性を引き継いでいます。ただ変身は、ない。それでも取材に来るは、特撮やホビー関連誌。ジャンル内に向けてだからこそ、いかに尖った企画であったか。記事を目にするたびに実感します。

しかも、無名でも新人でもない勇翔アクションの受けさせる!
公開できる映像は問題がない素材を選んでいるに違いありません。番組を観ていれば、アクションシーンは満載です。もっといろいろあるはずです。

俳優たちは撮影の時に気にならなくても、帰宅したら傷みがあちこち散見できる状況であったかもしれません。

初めて人に当てるパフォーマンスだったReijiが、勇翔相手だからこそいっそうの緊張を強いられた感じが動画コメントから窺えます。

そして勇翔のほうもまた、撮影期間中における所属グループのステージ上において、衣装の下に多々の傷があったとしても不思議ではありません。

GAROVRの緊張感は、深夜枠や作風といった要素以外にも、出演俳優の体当たりな熱演が非常に大きな役割を果たしています。

ENCOUNT

南雲

冒頭は、配信用の撮影で南雲が熱弁を奮います。
自身を縛る邪魔者を排除できた代償に、囚われてしまったことに気づいた南雲です。

参加者の中では、頭脳明晰な仕掛けの正体を唯一追う人物です。

ガロに関わらないように、と送られてきた警告メールの送信者を突き止めます。
花が埋め尽くす栽培温室の中で、南雲葉霧くらいの男性と相対します。男性のほうは、家族と暮らしているようで、何も話したくはない様子。しかしながら命懸けの南雲の剣幕に押されてか、いくつか答えます。

⚪︎戦っている場所は、仮想空間でもなんでもなく異世界である「マカイ(シリーズ用語がそのまま当てはまるなら魔戒)」。
⚪︎この男性は、回想シーンから「五五(ゴジュウゴ)」で間違いないよう。
⚪︎少女だったアザミを認識しており、元凶と指摘している。
⚪︎一方、十三ジュウサン)であり現在の葉霧については庇うような言い回しから、やはり助けられた模様。
⚪︎ヒトの憎悪から陰我は発せられ、ダークメタルを生むことは知っていた。

南雲が去った後、現れたアザミ。男性の幼い息子の前で、もいだ花を灰に還す無情な仕草が、見せ方としていい。いかにもダークファンタジーという感じです

そのアザミを突き止めることに成功した南雲であるが、結局は腕っぷしからしてどうにもならない。せっかく事の真相に迫り、その首謀者へ辿り着いても、どうにもならない。

南雲にとっては、結局は戦い生き残るしかないという従来通りの答えを確認しただけ。ゲームという名の策略に引っかかったまま踊るしかない結果となります。
もしかしてアザミにラストステージ前において、何かされてしまったかもしれません。

ただし、冒頭の撮影で南雲は最後かもしれないとカメラの前で語る内容は、空遠が相変わらず身も知らずの人間を助ける代わりにボコられるシーンへ重なります。

大きなお世話が世界を救う。悪と戦え、誰もがヒーローになれる。青いと片付けられそうなことを確信している、として訴えかけています。

頭の回転が際立つ南雲の性情が、正しくありたいであったことが知れれば、人物像がより掘り下げられました。

群像劇は個々の描き方が難しいですが、最後まで人物造形に尽くすところがGAROVRの魅力です。

遭遇

今回のタイトルは[ENCOUNT]意味を調べようとしたら、これは和製英語です。知りませんでした、勉強になります。

コンピュータゲームの言葉として生まれたそうです。世界観にマッチさせたタイトルであったようです。

意味としては「敵キャラクターとの遭遇」。

空遠が、まず会いに行ったのは香月

空遠は真っ当真っ直ぐです。だから、その行動以外では、況してや言葉では誰にも通じません。

対して、香月は残った中では1番に屈折しています。鏡の中の自分に語りかけ、自身内で問答を構築するほどです。イジメか何なのかはっきり判明していないものの、過去の血塗られているトラウマは深い。
それでも自身のブランドを築くほど、したたかさも発揮してきました。

きみが死んだら、何が残る?香月のこの問いに、空遠は言い返せないというより、叩きのめされた様子です。

空遠が次に訪れたのは、BAR「Meteor」仔犬を可愛がる天羽の元へ姿を見せます。

天羽が出してきた酒。それは奏風の酒ときます。チャージで置いていくなど、やはり顔の付き合せはよくしていたようです。

そして今、カウンター越しで向かい合う空遠天羽
天羽がなぜ兄貴分的な態度で、空遠へ接してきたか分かるやり取りでした。もし先が見える時と場所であったならば、良い友人関係が結べたかもしれない。
仔犬を可愛がる天羽の性分からして、空遠は面倒をみてやりたいタイプでしょう。

けれども、もうまともな対面はこれが最後と思わなければならないようです。

空遠は、天羽星合のためにも負けられないと言い残します。

ここのシーン。店内照明の暖色で照らされるカウンターの天羽に、ドア入り口近くで外から入る月光か、青白く浮かび上がる空遠。対照的な色合いでライティングを決めて、ワンカットに収めたところは、凄くいい。
画面作りにおける感性は、個人的にど真ん中を射たれました。
渋さが光る映像美が、さすがです。

南雲とは連絡が取れなかった空遠
戦うしかないと分かっていても、道端に座り込んでしまうほど精神的にまいっています。

そこへ周囲の時を止めて、現れる葉霧
全てを破壊して、再構築するために共に行こう、といった感じで語りかけくれば、やはり空遠を特別視しているようです。

これが、決勝戦とされるステージで何か作用するか?

タイトルの『ENCOUNT』の意味を考える時、どこまでを「敵の遭遇」と見立てていたか。こればかりは先を観なければ判断は付かない。

次回は[LAST STAGE]

今回のラストで、それぞれの想いを秘めて最後のステージへ向かいます。
天羽奏風の残した酒を飲み干し、空遠星合が残したペンダントを巻き付けます。
香月は、なぜか自分の名前を確認するかのようです。

そして集う4人に、葉霧が眺めるモニターにおいて、南雲だけが黒い気=陰我が出ていない。アザミは何かしたのであろうか。

クライマックスを迎えれば、もうただ待つのみ。この待つのみが非常に辛いです。早く観たい、もうそれしかありません。