仮面ライダーゼロワン【感想*ネタバレあり】第35話「ヒューマギアはドンナ夢を見るか?」#雷は不憫だと思いました
以下、ネタバレあります、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。
滅のシンギュラリティ
心からの笑顔にしたい。
仮面ライダーゼロワンを視聴していくうえで、2019年末に公開された『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』は必須とまでは言いませんが、観ておいて良かったと改めて思う今回でした。
映画は或人と父親ヒューマギア飛電其雄の関係を正面から捉えています。お人好しなくらいヒューマギアを信じる或人の気持ちが確かに受け取れる内容でした。
ゼロワンの世界設定は、今さらながらですが挑戦的です。
AIロボ=ヒューマギアが日常のヒトと変わらないくらい高性能。ところが高性能とするだけでは済まされなくなっていく。
「シンギュラリティ」ゼロワンの放送がなければ、あまり知られていなかった用語と思われます。
当作品内における「シンギュラリティ」は、ヒューマギアがラーニングされた情報を越えて、独自で判断できるような意味で取り扱われています。
或人が父と慕う飛電其雄をベースに作製された滅。
或人が心中穏やかなはずはありません。ただ負の感情だけに支配されているというわけでもない。
雷のプログライズーキーが、信じていたヒューマギアの迅に奪われる手痛い裏切りに合います。
それでも迅の盾として、無防備なまま身を投げ出す滅に攻撃の手が止まる。或人の心情がどこにあるか、分かる行動です。
滅が「シンギュラリティ」に目覚めたとはっきり明言はされませんでした。
けれどもサウザーからの攻撃に、滅が迅にしたように或人が盾になれば、感じずにはいられない表情を見せます。
今回、自分の言葉で話す滅が見られたような気がします。
全てのメンバーが揃い滅亡迅雷.netは、これから本格的な活動を開始するでしょう。人類を滅ぼす、とした当初の目的を添う計画へ邁進するのか。
滅亡迅雷.netの活動に変質が見えるとしたら、最も忠実そうだった滅こそがポイントになりそうな予想をしています。
亡もまた今のところ滅の夢を応援する立場を取る、ということなので、中心の立場は変わらなそうです。
ヒューマギア解放の着地点をどこに見据えているか、まだはっきりしない迅に、ようやく再登場を果たす雷です。
滅亡迅雷.netがパワーアップな形で、物語の中核へ踊り出てきそうです。
しかし或人という人間を知った滅と迅。
不破さんと関わった亡。
昴という弟がいる雷。
ただ人類の敵という序盤の立ち位置とは違って、複雑な経緯を辿っています。
滅と迅だけだった頃より、ずっと目が離せない集団となっています。
番組当初に考えていた「Aiの活用」ではなかったゼロワンという作品。「Aiから生まれた新しい存在」と手を取り合っていくこと。主人公の或人が、現在において示すテーマです。
或人の想いは今後において曲線を描くかもしれません。
それでもゼロワンという作品は近未来の世界観が目立ちはするものの、テーマは実に普遍的なものを取り扱っている。或人と滅の関係から、そう感じた今回でした。
今日の不破さんと唯阿さん
唯阿さんが怖いです。
亡を甦らせたところまではいい。ただザイアスペックを暴走させているところを黙って見ているのは、どうなのでしょう?
ヤバい状態に入っているのはヒューマギアではなく人間なのです。
ああ、でもザイアに、天津垓に復讐したい気持ちは、個人的にもよく分かります。自分をさんざん利用するだけ利用した会社に、元凶であるそこの社長を貶めるためならば、多少の犠牲はむしろ好都合と考えてしまう。
その悪魔的発想は、個人的にも決して否定しきれません。
しかしここには不破さんがいます。唯阿さんに殴られ実験体も同様な扱いでふらふらながらも、暴走させる亡へ向かっていきます。必死に縋りついて暴走を止めるは、熱い漢の心意気です。
ただ亡が正気に還るような様相を見せたところで、不破さんは崩れ落ちます。どおっといった感じの勢いある倒れ方です。
その際に「不破ー」の声は、唯阿さんから出てきませんでした。むしろ倒れた不破さんには一瞥もくれず、亡を見つめるのみ。
不破さんを信じているというより、マッドな気質が上回っただけな気がしてなりません。
そんな倒れた不破さんが目覚めた時は病院のベッドのなか。なんだかんだ身体の心配はしてくれています。ちょっと安心しました。
ただ不破さんに付き添っていたのか、亡である模様。唯阿さんは後から入ってきた感じです。
唯阿さん、実はずっと病室の外にいた照れ隠しだな、と思いたいです。まさか病院へ連れてきたのは亡の提案で、仕方なくだったということはなかったと信じています。
マギアに襲われたという偽りの過去を埋め込まれていた不破さんです。
亡の復活により、真実の記憶が明らかになる時がきました。
真実の記憶を知らされることに、一旦はビビるかわいい不破さんです。しかしながら策略的としか思えない悪魔の微笑で揶揄する唯阿さんに、あっさり乗ってしまいます。
熱いが単純すぎる漢である不破諫のこれまでは「ツマラン人生」でありました。唯阿さんの作製するシステムをぶっちぎり、今や最強の形態にまで変身する人物は「ごくごく平凡だった」とようです。
つまり「つまらん」としか言いようのない普通をしっかり重ねたうえで個性を発揮すれば、面白い人生になる例。それが、不破さんです。苦しいは百も承知でそう解釈してます(笑)。
けれども、今や普通ではない普段の不破さんですが、亡からすればこの普通の男はおもしろい点がありました。
「あるとじゃーないと」のギャグを亡がやります。なんだかとても貴重なものを見た感じがします。
当然ながら、不破さん笑います。ベッドから転げ落ちます。
それを見降ろす、シンギュラリティには目覚めている亡の姿。もう冷たい限りであれば、今回で一番に笑わせてもらいました。
どうやら亡を演じている中山さん。あるとギャグをかますシーンは、これが正解なのか?といった具合で途惑っていたそう。
やっぱりギャグって難しいんだな、と思います。
比べて、イズの方はすっかり取得したというより、本家を越えた感すら漂わせています。
最後でゲスト出演の野菜工場の親子と「或人ギャグ」をするイズの腕を降ろすのは、或人その人が行うほどです。
ギャグは良いです、例え笑えなくても。まさしく、やったもん勝ちみたいなところがたまりません(笑)。
ところで或人社長にイズは、雇った用心棒が姿を見せていないはずなのですが、あまり気にしないのかな?
でもそこは観ているほうも気にしないことにします(笑)。
不憫は垓にあらず、雷だ
現時点における仮面ライダーの強さを考えます。
やはり最強は、ゼロワンのメタルクラスタホッパー。
これに匹敵するかもしれないランペイジバルカン。
こう考えると、飛電製作所は無敵な感じがしてきます。
一時期は圧倒的な強さを誇ったサウザーですが、身から出た錆で最強ではなくなりました。
ただバーニングファルコンとは、いい勝負できるくらいかも知れない。
そして強化が一切ない滅に対しては、勝てそうでした。しかしながら、乱戦の中を突かれて敗北してしまいます。
けれども、サウザー。ザイアが生んだエイムズを利用できます。巨大兵器ギーガーの大量投入を可能できる状況が、垓の変身するサウザーが再び最強ライダーである称号を得そうでした。
残念ながら、またも「身から出た錆」操っていたはずの亡が相対する側へ廻れば、もうどうにもなりません。
「ぜったいにぃ〜、ゆるさんぞ〜」助け起こす手に「やめろ〜」
絶対に垓の小物ぶりは狙ってやっているとしか思えません(笑)。
或人としては、アークを生み出した悪しき根本として垓を捉えていますが、どうでしょう。高評価しすぎな気がして仕方がありません。
もちろんメインプロデューサーが大森ですから、やっぱり悪の総本山だったという可能性もあります。
けれども、天津垓。現況があまりにハマりすぎて、むしろずっとこのままでいて欲しいと願ってしまいそうです(笑)。
おもしろ敗北キャラ化している垓には気の毒でありますが。
ただ、もっと気の毒なのはです。
次回は『プレジデント・スペシャル』コロナ禍により撮影が思うままにならなかったため組まれたと思われる総集編的内容になります。
今回のラストにて、ついに復活した、雷!たった1回こっきりで終わる仮面ライダーなどではなかったことが、高らかに宣言される・・・はずが、不慮の事態で本格的登場が先延ばしです。
やっとの再登場だったはずなのに、この不運なタイミング!扱われ方も不運でないことを祈りたいです。
仮面ライダー雷には変身するでしょう。では、ライダーとしての強さはどれくらいに位置するのか。
いちおうバルキリーが形態的に最弱っぽいですが、一方的に負けるという感じはありません。何よりフリーになってからの唯阿さんは恐ろしい(笑)。
しばしの留め置きを喰らった雷がその雄姿を復活させた途端、サウザーに代わっての敗北キャラへ落とし込まれないか、ちょっと不安を感じる現在なのです(笑)。