屍人荘の殺人【ミステリー観が刺激されました】映画の感想です。#仕事の心得w

2020年5月15日

以下、ネタバレあります、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

実写映画『屍人荘の殺人』

ここで書いている人の周囲がこぞって、といっていいくらい劇場へ足が運んだ『屍人荘の殺人(しじんそうのさつじん)』2019年12月に公開されました。

そして鑑賞した人たちが口を揃えて「なに、あれ?」といった感じです。さすがにネガな感想を二桁の人数まで聞き及ぶに連れ、興味が湧きます。

とことん悪い評価ばかりだと、却って観に行きたくなります。
評判が良すぎると期待値が上がりすぎてしまうから、間を置くようにしています。
これは、まさに逆パターン。これだけ評判が悪ければ、覚悟している分だけ優しく観られそうです。でも本音は、駄作とされるほど気に入る可能性は高いからです。

本当に好きになる作品とは、誰にでも評判が良い作品ではありません。
評価が、真っ二つに割れる!くらいのほうが、個人的に気に入ります。誰にでも評判が良いより、評判が芳しくないくらいのほうが「個人的には好きだ」となることは、経験上から分かっています。

そうはいえ、やっぱりツマラナイかもしれない。だから割り引きの利く時間を狙って観に行きました。

聞いていた話しより酷くはなかった。すらすらっと最後まで観られました。娯楽作品としての演出は出来ていたように思われます。

事前に観に行った人たちの酷評を聞いていたので、確かめるといった視点が冷静を生んでいたのかもしれません。

感想を聞いた人たちの大半が、女性からです。OLという、年齢は多少の広がりはあれど、世の経済を担う働き手です。

期待していた世界は、ミステリ。人と隔絶した場所に建つ館で起きる殺人事件。古典的な香りを漂わせながら、現代という時代感。
酷評していた人たちが期待を聞くと、新本格というワードが浮かんできます。

昭和から平成へ移ろうかという時期に発生したミステリムーブメントは、新本格と銘打たれていました。この後も、ミステリのムーブは幾度か訪れますが、最も世間へインパクトを与え、売り上げも高かったのは「新本格第一世代」であったように思われます。

少なくとも現役世代にとっては、知らないことはない書籍のジャンルだったのではないか。特に通勤の電車は読書するくらいしかなかった世代にとって懐かしい、けれど終わったジャンルではない。

「新本格第一世代」の特徴としては、古典的ミステリの復興もさることながら、「青春」というキーワードも外せません。社会へ出る寸前に揺らぐ将来の不安や好きな異性など、学生時代でなければ感じ取れない感傷の断片が散りばめられた作品が多くありました。

ミステリの最高の舞台装置が「密室」であることは変わりがないようです。世間と隔絶した空間が設定されれば、密室の変化系として、本格ミステリとしての期待が高まります。

加えて、主要人物が学生とくれば、思い出を刺激してくるようなせつない青春期が描かれているかもしれない。

況してや原作小説は、講談社と共に新本格を担った東京創元社が主催する鮎川哲也賞受賞作品ときます。いかにもミステリの王道な気がします。

もっとも小説を読んでから映画へ行った人はいませんでした。自分もそれに該当します。

映画の『屍人荘の殺人』。
てらった奇が思い通りにハマらず、コメディは面白いというよりバタバタ感が強かったです。

ミステリにゾンビを絡めたという世界に、あまり斬新さは感じません。むしろ昨今のゾンビに支配された世界においての作品の方が、謎へ迫るストーリー仕立てになっているかもしれない。

キャラは立っているものの、それは等身大というより、ドラマの中にしかいないような人物といった感じです。

タイトルとキャストの年代から期待したものとは真逆だった。それが、この映画における1番の失敗部分ではなかったか。

味付けだったと思ったゾンビが、実は作品の大部分を締めていることを喧伝していたら、少しは評価も変わったかもしれない。
けれどもそれでは観に行かなかった人が多くなっただろう。

予想とは違っていたけど、面白い!となるほどであったら、それは傑作クラス。かなりな動員へなったと思われます。

けれども、そうは傑作など生まれるわけもない。
では駄作かと言われれば、そうも言い切れない。なにせエンタメ作品として重要な要因である「テンポ」は良く、出演者たちも好演しています。

興収としてヒット目安である10億は越えており、失敗とまでは言い切れない成績を残しました。
こだわりなく普通に観る分には悪くない作品であります。

アフィリを貼らせていただきましたが、画像としてと捉えてください。
なぜなら個人的に円盤の購入までいくか、と訊かれれば、言葉を濁します。

正直なところを申しますと、映画館で観るほどでもなかったかな、といったところです。
個人的な期待の目線が「酷評通り」のダメっぷりを求めておりました。ところが2時間観せるだけの流れの取り方は出来ている。かといって、ストーリーや設定を詰めきれないながら、それを凌駕するパワーみたいなものは感じない。

良くも悪くも「普通」ちょっと厳しい言い方をすれば、ミステリやらコメディやらゾンビ場面でさえ、印象に残らない弱さです。
好意的に捉えて「まぁ、良かったんじゃない」といった感じでしょうか。

後になって、また観たい、とまではならない。

さて映画批評というか感想しては、ここまでで充分かと思われます。

ただし、人にはそれぞれの立場があります。
映画で食っているわけでもない、戯言ばかりの個人ブログです。
聞いた感想の多くは、ここで書いている人の仕事先を主としています。後に繋がるとして交わした営業的雑談から得たものです。

同時期に公開されていた映画に『アナと雪の女王2』があります。
評価は様々かと思われますが、取り敢えず「良かった」という方々が多い。アナ雪は好きだ、という方もいらっしゃいます。

好き!これは評価と関係なしの感情的なものです。慎重にならなければなりません。居酒屋で友人たちと言い合う場とは、まったく異としなければいけません。

相手の思い入れある作品に、下手なコメントは以っての外です。
貶すことが頭のキレを示す、と勘違いした営業がいました。特に女性相手にすると、といったヤツがいました。
タイヘンでした。
決裁権はなくとも、口利きはしてくれます。直接やり取りをしている方々なのですから、なにを考えている!と最終的にはなったものです。

そんな経験をしておりましたから、思い入れの生まれない作品は仕事上とてもありがたい。しかも周囲に同調されるとはいえ、悪評は気分的にいいものではありません。

悪評のなかで良い点もあったとすることは、批評眼として不審は持たれても、得意先として付き合いしていくうえでは好感になります。もちろん相手の指摘した悪い部分に同調することを忘れてはいけません。

以上、『屍人荘の殺人』は仕事していくうえで理想的な評価を得てくれた映画なのです(笑)

作品もそれぞれに役割りがある、と考えております。出来だけで語れなくなったことで、個人的には却って楽しめています。
やっぱり観る・読む・聴くはやめられません。