歌舞伎町シャーロック【感想*ネタバレあり】シャーロキアンぶりを披露する時がきましたw

コロナ厄災も、いつか懐かしい思い出になるでしょう。

なんだか、ずいぶん前向きになっております。
この頃のブログにおける動揺ぶりは、どうした?という感じです。

ええ、気づいてしまったのです。
ここで書いている人は外出しないことが、まったく苦にならない。
経済的な問題がクリアになるならば、閉じ込められても構わない。ただ室内では自由にさせてくれ!だけなのです。

こんなヤツでも現代なら受容してしまう人(笑)も多いでしょうが、相手によっては「変人」と言われてしまいます。

ここで書いている人は、子供の頃から読書好きでありました。しかしながら、荒ぶる肉体系の仕事に就いていた父親や同僚の方々から、本好きな男子など「変わっている」と言われたものです。

大人になった今、ある意味で正しかったかな、と思います(笑)

そんな読書好きのキッカケにもなった体験談を、ドサクサで語れる題材を視聴し終えました。

暇になれば、きっとつまらないブログでも目を通してくれそう、と甘い思惑を抱くほどテンション上げて書いております(笑)

以下、ネタバレが含まれます。独自解釈も酷いかもしれません。どうか平にご容赦のほどをよろしくお願いします。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

シャーロックの映像化

歌舞伎町シャーロック』は、2019年10月から2020年3月まで全24話が放送されました。

2クールという長さだけあって、一気に観るは難しかろうと見立てていましたが、簡単でした。
やはり原典『シャーロック・ホームズ』からくすぐるようにネタを差し込んでこられては、止まりません。

しかも『歌舞伎町シャーロック』は、Production I.GとKADOKAWAのオリジナル。結末は解らない、とするはミステリーの醍醐味です。

これまで『シャーロック・ホームズ』の映像化は数多にあります。

最も有名な映像化作品といえば、イギリスのグラナダテレビ製作した「ジェレミー・ブレッド」がホームズを演じた作品群でしょう。
原作小説を忠実に再現化を目指しており、シャーロック・ホームズ好きなら逃せません。それゆえに、もうこの人以外にホームズは考えられない「ジェレミー・ブレッド」が帰らぬ人となり、全話が映像化しきれなかったことが残念無念であります。

ただし原作に忠実であるため、小説を熟読した身にはミステリーの醍醐味はありません。時にはオリジナル部分も盛られますが、そうするとずいぶん批難を受けたそうで気の毒な限りです。

まったく、熱狂的なファンを抱えた作品は難しいものであります。

そうは言っても「小説の世界が飛び出てきた」ような感覚を味合わせてくれるホームズ譚は『ジェレミー・ブレット版』を越えるものはありません。

もはや決定版といえるホームズの映像化作品が90年代半ばまでに製作されてしまいました。

おかげで、以後映像化されても大したものは出てこないだろう、と思っておりました。

けれども所詮は、外出自粛などいらない内向的なここで書いている人は浅はかな一ファンでした。

2010年にイギリスのBBCが制作『SHERLOCK(シャーロック)』現代を舞台にして活躍させる。シャーロック・ホームズはベネディクト・カンバーバッチが演じます。

これが、良かった。ファイナルシーズンは、ちょっと弱かった気がしないでもないが、シャーロック・ホームズの映像化はまだ制作する余地が充分にあることを知らしめてくれた作品でした。

この作品以降、他でも製作されるようになり、2010年代は何気に「ホームズ映像化」時代を迎えていたような気が、今になってしています。

歌舞伎町の第1話

シャーロック・ホームズにおいて、抜かせないキャラがあります。

まず主人公であり名探偵のホームズと相棒のワトソン

ホームズの兄であるマイクロフトと家主のハドソン夫人も外されることがないキャラであります。

警視は微妙です。レストレードが有名かと思いますが、グレグソンジョーンズなど、外せない警察の方は特にいないような気がします。

むしろ頻繁に出てくるわけではない、原作においては登場回数が僅かながら、絶対に外せないキャラは2人います。
ホームズが心惹かれた女性である、アイリーン・アドラー
ホームズの宿敵であり最大のライバルの、ジェームズ・モリアーティ

ホームズ譚に基づいて作品を制作するならば、以上の2人をどう扱うかが鍵になる、と言っていいと思います。
主人公クラスの肉付けはある程度で止めなければならない分、アイリーンモリアーティは大胆な設定が可能なキャラであります。

ネタバレになってしまうので作品は明かしませんが、あるホームズ映像化作品においては、アイリーンモリアーティが同一人物だったとする設定もあったくらいです。

愛した女性が宿敵。考えられる線であっても、実際に盛り込まれれば、なかなか衝撃です。

歌舞伎町シャーロック』において、原作に対するリスペクト度は設定からだけでも高そうです。キャラクターの名前が、まんま採用されていたりしているからです。

歌舞伎町というからには、場所は日本。けれども架空の街とするべく「新宿區」環境良好なウェストサイドと悪徳がはびこる歌舞伎町を含むイーストサイド。両者を隔てるゲートがあり、同じ「區内」でも自由な行き来とはなっていない。

シャーロック・ホームズに基づいた既存の作品群にはなかった舞台設定です。これぞ日本のアニメだからこそ、といったアイディアです。
良い発想だと思います。

落語好きという設定が与えられた、当アニメ作品のホームズ。しかしながら、明晰があるゆえの奇人という鉄板の人物像は変わりません。変えては、ホームズでなくなってしまいますね。

ワトソンは、実は聡明だったとする解釈へ傾いていました。ホームズを引き立たせるため、わざと愚純を装っていたとするここ近年の傾向です。
当アニメ作品では、医者になれるほど頭は良い。けれども本来がお人好しすぎのおっとりした性格ゆえに、物事を見抜く目は弱い。もっとも原作小説に近いイメージだったのが、ワトソンであったように思われます。

そんなワトソンは、原作小説において何度か結婚しているのでは、という諸説があります。そんな中において、はっきり明文された結婚があります。
お相手は、メアリー・モースタン

そして『歌舞伎町シャーロック』において、競争相手の探偵のうちにいるメアリ・モーンスタン
ギャル系であり、朴訥な医者であるワトソンとは住む世界が違う感じですが、モースタン姓のメアリであります。

ワトソンメアリは、きっと良い雰囲気になるだろう。名前を知った時点で、予想しました。名前だけで判断したにすぎないことでしたが、的中です。
シャーロキアンもどきからすれば、こうでなくてはいけません(笑)

原作を踏まえて、どう料理してくるか。
個人的に『歌舞伎町シャーロック』の最大焦点は、そこにありました。

だから第1話の締めにおいて、ホームズの事務所に出入りしているような若者が「ジェームズ・モリアーティ」と名乗れば、驚きと期待が入り混じるシーンとなりました。

原作を踏む

自分にもあった小学3年生という時期。その夏休みに読んだ『シャーロック・ホームズの叡智』文庫を手にする行為が背伸びしている感覚だった子供の頃。課題の感想文を書くためが、第一の理由だったはず。

本当に、おもしろかった。
ここから乱歩や海外ミステリにハマっていけば、文学まで手が伸びるようになりました。

シャーロック・ホームズは、我が読書の原初体験なのです。

しかも一発目が『シャーロック・ホームズの叡智』これほどの不幸はない(笑)
なにせ原典にこんな短編集はない、とくる。実は各短編集から割愛された寄せ集めだった、と知る衝撃の後書き。しかしミステリなればこそ後書きを先に目を通すわけにいかない。出版社めー、と子供心へ商売事情をいきなり叩きつけられたわけであります。

でも、まぁ、図書館で全て借りて読めたんですけどね。

それから『ガス灯浮かぶその生涯』という、シャーロック・ホームズは実在していたして書かれた架空伝記で、一気に深みへハマります。

こうなると訳者違いにも手を出すようになります。
新潮・創元・ちくま・河出と揃えますが、シャーロキアンとしてはまだまだな、たかだか4バーションです。一般よりは凄いが、マニア間では甘いヤツなのです。

それでももう原典においては限界まできており、新規の楽しみは研究書くらいか。

いやそれよりもシャーロック・ホームズという原型を、どう拡げた創作がなされるか。むしろ、そちらに期待を寄せています。

歌舞伎町シャーロック』は、決して傑作と呼べるほどではありません。
けれどもアニメならばの舞台設定にして挑んだところに「クールジャパン」と呼ばれるだけあるジャンルの矜恃を感じます。

アニメならばのシャーロック・ホームズの世界でした。

そして内容としては、ホームズモリアーティ。変人の名探偵とソシオパスな悪漢は、お互いが「一歩間違えば」の類似性を持っているが、達した年齢の違いとワトソンの存在が、両者に大きく隔たりを生む原因となる。

歳の離れた親友同士みたいなホームズモリアーティ。だからこそ至る悲劇が、ホームズ譚の別側面を見せてくれた感じがします。

原作ネタを知っている。もしくはもっとホームズ譚に触れたいと願っている。それだけで、だいぶ印象が変わってしまう『歌舞伎町シャーロック』というアニメ作品であった、と思います。