ネタバレ感想【仮面ライダーゼロワン】#27 ボクは命を諦めない

以下、ネタバレあります、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

炎のお仕事勝負

火と水は難しい。
特撮の神様である円谷英二の言葉であり、特撮に関わったスタッフの共通認識でした。

「でした」とするのは、ご存知の通りデジタル時代には一概に当てはまらないからです。

現在では、実景と見事に融合して街の破壊が描かれます。押し寄せる水流も、燃え盛る炎も説得力を以って画面に再現されます。
CGとされる技術が凄すぎて、何でも再現できるかのようです。

いずれ俳優も全てCGで表現されるようになる。
そんな話題も出てから幾星霜。そうはならなさそうです。
どうしても人間の感情まで計算し尽くすことは難しい。いや、やってやれないことはないのかもしれない。実は出来るのかもしれない。

それが実現すれば、下手な演技というものがなくせる可能性があります。

けれどもその弱点が完全な作り物より、人間をキャストする理由になるかもしれません。

番組当初に較べ最終回を迎える頃には、目を見張る成長を遂げています。特に新人を起用する特撮ヒーロー番組の、欠かせない醍醐味となっています。

もちろん成長だけはなく、ベテラン俳優が経てきたキャリアが反映されたります。この歳だからこそ出せる味というものも、確かに存在します。

こうしたCG問題は、ヒューマギアの存在について考えることと共通点が多くありそうです。
便利で欠かせないながら、場合によって使い方は難しい。

CGなき時代において、火災シーンは危険を伴うものでした。リスクが高い現場です。

もちろんリスクなどぶった斬って突き進んでいた昭和と平成前半の特撮界(笑)。スタッフの怪我は仕方がない。
けれどもキャストに怪我されては撮影が困難になります。
本編シーンの撮影において、火災現場の撮影はスケジュール上「最後」にする、ということで切り抜けていく措置もあったそうです。

危険なシーンは撮影ラストとして、事なきを得るとする。コワい話しだなぁ〜、と思いました。

現在は、画像加工の発展により「だいぶ」安全になりました。

けれども所詮は「だいぶ」です。未だ出演俳優にガソリンが降りかかってくることもあるそうです。スタントを必要とする現場に安全などあり得ないのかもしれません。

炎もまた、CGで表現されるようになりました。
けれども、全てではない。
メイキングなどを観てみれば、未だ焚く火の多さに感心します(特撮好きの感性)。あまり平気と思えない火中への突っ込みをしています。

例え、CGで彩りを加えたとしても、実際に燃やすシーンがあってこそのようです。

昨今において、どこまで本物の火で、どこからがCGを被せているか一見では判別し難くなりました。

今回のゼロワンは、どれくらいのCG割り合いで火災現場を演出したか、気になっております。これこそが特撮好きの性と申せます。

本来なら、CGで全てを賄えるが理想でしょう。
しかしながら、今回の監督である上堀内 佳寿也(かみほりうち かずや)。メインを張っていた『騎士竜戦隊リュウソウジャー』において、プロデューサーから予算オーバーするほどCGを使ったことで怒られていたようです。

この件をまだ引きずっていたため、つい「火を焚きすぎた」なんてウラ話になっていたら、おもしろいのに!と考えております。
個人的には「実はヤバかったウラ側」といったメイキング・エピソードが大好物なのです。

もしかして、これが特撮をやめられない大きな理由の一つなのかもしれません。完成作品よりも、完成に至るまでの悲惨な制作現場の話しが好き、というロクでもなさです。

ですから、火災現場だっただけで楽しめた今回です。

リュウソウジャーのウラ話しのおかげで「まだまだCGはお金がかかるもの」と知れたことで、ずいぶん楽しめました(笑)

今日の不破さん*ときめくぜ

或人の対比として、ますます悪役っぷりを披露してくる天津垓。もはや対等のお仕事勝負ではなく、汚い手を使ってでも勝ちにいくザイア社長です。
現実における企業トップの在り方です。

部下に命令しながら切り捨てる。部下の意見は封じ込める。不都合な事実は握り潰す。
現代と限った話しではない。
天津垓は悪役というより、人間の業を体現している存在のような気がします。単純に悪と切り捨てては、ゼロワンという作品だけではなく社会自体も見えなくなるようなキャラクターなのかもしれません。

作品中において「悪」と決めつけられても、実際社会に実在する人物であったら支持へ回る人は多いのではないか。正悪の判別が単純ではなくなったとはいえ、括りとして特撮ヒーロー番組です。つい二面性で割り切りがちになってしまいます。気をつけたいと考える今日この頃なのです。

社会的地位により断罪はされない立場にある天津垓。証拠隠滅も厭わない行動が現代を反映していれば、悪者として簡単に片付けないようにしたい。

表明する悪どさがまかり通る情勢だからこそ、不破さんのようなタイプを求めてしまうのかもしれない。

社長として、どうしても周囲を見て動きが取れなくなることがある或人です。

較べて、現場トップが最適であるような不破さん。真っ直ぐ向かっていく姿が、ゼロワンという作品の中で清涼剤の役目を果たします。

火事の現場へ、唯阿の手を引っ張って連れていきます。放っておけ、とする天津垓の指示で動けない唯阿の腕を引いていきます。

不破さんが唯阿と手を繋いでいる。絵面として、ときめいてしまいます。強引な男の子がためらう女の子の手を引っ張る。恋愛シーンの一場面を見るようなシチュエーションはおいしい限りでした。

もっとも不破さん。火事現場へ飛び込む前に、水を被るのはいい。この寒空において、頭からバケツで浴びる姿には「漢(オトコ)」を感じました。
ただそのまま唯阿の手を引いていくのは、いかがなものか。自分だけ濡らして火災現場へ。なんだかすごく「片手落ち」な気がしないでもない。イズに「ゴリラ」と罵られても(笑)、仕方がないような気がしないでもない。

しかも証拠品を、わざわざ現場まで持ってきます。当然ながら天津垓が見過ごすわけなく、ライダーへ変身しての戦いになります。
どう考えても引き立て役になりそうな展開です。
案の定でした。後からやってきたの強さを引き立てるためとしか思えない、前段の敗北です。不破さんの変身シーンがいつになくカッコ良かった分だけ、切なくなりました。

でも、だからこその不破さんです。不破さんを追わずに、もはやゼロワンを眺めることは出来ない……んじゃないかな、と少々自信なさげながらに申し立てます(笑)

ちょっとした所作

ゼロワンが令和の作品として、平成と違った制作の試みとして監督の担当話数にあります。

基本は前後編の2話づつですが、ゼロワンに至ってはちょくちょくといった調子で「3話」担当させます。
放送当初における杉原輝昭に始まり、キラメイジャーのメインとなった山口恭平、それから中澤祥次郎、そして今回の上堀内佳寿也。27話中12話が3話連続担当ときています。

平成ライダーにおいては滅多になかった3話連続の演出担当。

制作現場もまた、視聴者には見えないところで新しい状況へ挑んでおります。

そんな上堀内監督3作連続担当の最終話である今回です。
感動を序盤で展開するもまたゼロワンの特徴です。

消防ヒューマギアが身を挺して退路を作る。消火後において、瓦礫を支えたまま停止している119之助の姿は、ベタと言われようが、ベタだからこそ胸に迫ってきます。

そしてそれを背負って帰る或人。こうしたシチュエーションは個人的に弱い、弱すぎるくらいなのです。泪ぐんでしまいます。

また、救助に待つ飛電トリオもいい。
副社長の腰巾着である山下が語る夢が或人と一緒です。
熱によって機能停止へ追い込まれたシェスタへ叫ぶ福添副社長です。

派閥争いはしても、根にある社に対する想い、自社が賭ける理念。悪人として描かれやすい役員の間で会社に対する気持ちを見せます。社員で見せるではなく役員で、といった有りそうでない演出が、社長の或人が守るべきものとして奮闘していく理由をいっそう確かにしていきます。

盛り上がるだけ盛り上げてきた前半部分。そのせいというわけでもないでしょうが、ゼロワンが登場は序盤のみとなりました。

後半は、サウザーバルカンを破った後に、と交戦となります。
バーニングファルコンのは、あのサウザーと互角です。つまりゼロワンのメタルクラスタホッパーには敵わないのか、となります。

個人的に問題にしたいのは、アサルトウルフのバルカンが最も弱いのか!といったところです。同時に、戦いがすっかり減ったバルキリーもそうなるであろう。番組当初から活躍したこの2人のライダーが最弱の位置になっているところが、せつない。
けれどもである。メタルクラスタホッパーになると暴走してしまっていたゼロワンを、強さで劣りながらも止めていたのは不破さんか唯阿である。
能力に関係ない強さ、それこそがバルカンバルキリーにあると信じたい。ただの贔屓とも言えます(笑)

サウザーに戦いを挑んだ理由に、のプログライズキーを取り戻すことにありました。目的を果たせば、渡して立ち去ります。

アークの意志に従う。己れの意志に従う。人類を滅亡される、とヒューマギアを解放する。同じ結果を目指しているように思えますが、目的へ向かう行動の取り方に雲泥の差が生じそうです。

次回は『オレのラップが世界を変える!』。
お仕事勝負の最終戦になりますが、既にその先が気になってしょうがありません。ゼロワンを観ていると気が早くなって困ります。

或人のギャグも、今回は最後の最後で決めてきます。
新たな局面というべき、しぶ〜く決めてきます。とは言うものの、なんとなく或人がギャグをかましたというより、イズがギャグとして解釈したから、合わせた感があります。もし狙っていたとしたら、イズしか、多少緩めればヒューマギアでなければ理解できないギャグとなってまいりました。

だから、やっぱり或人はおもしろいのです(笑)