1年間ありがとう企画【騎士竜戦隊リュウソウジャー】ルパレンをダシにした考察篇
すっかり自粛ムードであります。
なんて不自由な空気なんだ、という気にもなったものです。
しかしながらヲタである我が身を顧みればです。
社会に問題なく自由闊達な状況であったならば、何がしたいだろうと考えました。
できれば、たまっている録画(主にアニメに映画もちょいと)と、所有しているソフト(主に特撮、そしてアニメに映画)を観返したいです。
そういえば、積読もありました。かつては書籍ばかりでしたが、この頃はコミックもあります。
そういえば、レンタルしたいコミックに、そうそう映像作品もあります。
ともかく読んで観たい数々です。
もちろん場所は、気取ってカフェなどで読むメルトではないので、お家です。
己れの欲望を確認したら、外出抑制の状況に負担を感じる必要はない。少なくとも楽しみにしていたイベントはご愁傷様になってしまったものの、基本的に変わりない生活目標であります。
そんな根も深いインドアなくせに、「遊びにいくような雰囲気じゃなよな〜」と社会的体裁を気取って嘆く真似をする自分は本当に嘘つきだなと感じた、ここ2日ばかりなのです(笑)。
厄介な傑作の後続を受け継ぐ大変さ
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の最終回を観終えた時、ずしりとした感動を覚えていた。
ラスボス戦において、真っ向から立ち向かったのは、まさかのパトレンであった。ルパレンと力を合わせて、などではない。ルバレンから託されるままに、ボロボロになって退かないパトレンの、合体ではなく、圭一郎の背を咲也とつかさが支える文字通り3人のメンバーが気持ちと力を一つにして立ち向かっていき撃破する。
放映開始年おいては話しが進むにつれ、すっかりルパレンの影に隠れていくような扱い。玩具売り上げの事情が絡んでいたことは間違いなく、けれどもそれを逆手にとったことで、却ってこれ以上にないクライマックスを演出しみせてくれました。
お見事!としか言いようがない完成度で最後を終えたルパパトでありました。
切れ目ないシリーズの後続作品にとって何が辛いかと言えば、前作が好評だった場合です。評判が高ければ高いほど、やり辛いに違いありません。
好評ならば、比較されることは間違いない。しかもそれは決して好意的とはならない。どうしても前作を基準に観られるということは、内容もさることながら作風の違いといった点をマイナスとして捉えてくる目も多くなりやすい。
たぶんですが、新規に任されたプロデューサーの本音としては、前作が不評のほうがやりやすいと思われます。視聴者側の期待値が下がっている分だけ、プレッシャーも少ない。見る目も甘くなっている。
少なくとも、前作に較べてなどと放送開始当初から言われることはあまりないでしょう。
大好評と言っていいルパパトから受け継がなければならなかった『騎士竜戦隊リュウソウジャー』ただでさえ作品のレベルとして高い目線で待ち構えられているばかりではない。
問題はルパパトが作品として好評を博しながら、玩具の売り上げが「スーパー戦隊」として最悪だったとされています。あの『未来戦隊タイムレンジャー』を下回ったという噂まで流れるくらいです。はっきりした真偽は計り得ないと思われますが、噂が立つほど酷かったのは間違いありません。
最大手のスポンサーを無碍にして、良い作品を作っているからいいだろう、とするわけにはいかないのが経済社会です。
まず何より玩具の売り上げを上向きしなければならない。前作より下回ることだけはさせられないとする意向が、まずあったと思われます。
スポンサーの意向を例年以上に汲みつつ、大好評だった前作から引き継がねばならない。
企画の段階からして、なかなか頭が痛かったのでは、と想像するに難くはありません。
主人公の絞りは前作の呪いかな?
リュウソウジャーが途中で指摘されていたことに、レッドに力が集中しすぎではないか、ということがありました。
レッドが1人で巨大ロボに乗り込み倒している。ゴールドも1人で倒せています。他のメンバーが乗り込んで、という回が「たまに」あるといった具合です。
レッドもしくはゴールドという中心と定めた戦士に巨大ロボを委ねている。
この発想は、前作ルパパトにおいてVS体裁のうえに、それぞれが個性際立ち主人公を絞り切れなくなったため玩具売り上げ低迷に繋がった、と見たことから生まれたのではないか。
どんなにウケても大人は玩具を買わない。スーパー戦隊においてはその傾向が顕著な気がします。
今回は、つまりリュウソウジャーにおいては、前作の真逆で注目のヒーローを単純化して子供へ届けやすくするべく、レッドをフィーチャーすると企画段階で決定していたように思われます。
第1回からしてレッドが1人巨大ロボに乗り込み、敵を倒す。そうした意志ははっきり示されておりました。
そうなったのは、やはりルパパトの影響が大きかった、と推察しております。
前作が偉大ながら複雑な事情を抱えている(笑)と後続は大変だという典型的な例だったのかもしれません。
でも前作を踏襲している部分はあり
スーパー戦隊史上において、新たな試みをして今一つな結果であった場合「王道回帰」は、ある種のパターンとも言えます。
「VS」という戦隊シリーズ初の試みに玩具売り上げは結びつかず。ならば今度は「王道」だ、という感じで番組開始前は、そう喧伝されていように思われます。
王道。確かに前作は二つの戦隊が並び立ち、前々作のキュウレンジャーは12人というシリーズ最高の大所帯であったのに対し、リュウソウジャーは5人ときます。それに途中加入で最後まで共にあるメンバーも1人。戦隊メンバーのフォーマットとしては最もスタンダードな形に違いありません。
しかしながら番組が終了した今となれば誰もが分かる通り、開始前の王道と謳われていたことは騙しとしか言いようがない(笑)。むしろ王道破りばかりです。
もっとも顕著であったのは、等身大で倒した敵が巨大化してロボ戦に持ち込むパターンを踏まなかったことでしょうか。
等身大における勝利シーンの排除はカタルシスを損なう、といったような意見も挙がっておりました。
ただ自分としてはです。
歳を取って、なぜか作品に、特に特撮作品には寛容すぎるようになった?現在ではありますが、若き頃はそれなりに尖っておりました(笑)。
そんな若き頃、戦隊モノはきつかった時期がありました。特に怪人が倒され、それが巨大化していく展開に「ああ、またか」とうんざりしていた年頃も確かにあったのです。今となっては信じられません、若さとは怖ろしい(笑)。
そのパターンを打ち破るまでに至ったのはリュウソウジャーであると思えば、ようやく来たかという感慨が湧き上がります。
失敗しようが、新しい試みはまず受け止めたい。現在はそんなお年頃になっておりますので、「おう、やるか。とりあえずガンバレ」といった感じで観ております。
しかもリュウソウジャーは5人ではあるものの、幼馴染み3人組と兄弟2人で行動が違う。逸話をそれぞれで持っているとくるから、別の戦隊が合流した感を醸し出したりします。
また変身パターンも一定させない。
なんだかこう書いているうちに、ルパパトよりパターン崩しは酷かったんじゃないか、と思うようになってきております(笑)。
そんなリュウソウジャーですが、実は作品構成においてはルパパトを踏襲しているのではないか、と考えております。
それは最後を見据えたようにエピソードを重ねていったという点です。
ルパパトにおいては、レッド同士の関係性を中心に他のメンバーのエピソードにおいても、最後へ集約すべく練られていたことは確認できます。2つの戦隊が合体するロボの変形パターンも9話前の42話(全51話)が最後。それから後は、ロボ戦など不要とばかりな展開へ走っておりました。
現在になって言えますが、完全に玩具売り上げを捨ててます。ストーリーへ功を奏すようにしたスタッフに拍手ですが、決してスポンサーの前では口に出来ないことです。
全員が乗り込んでいたルパパトに対し、レッドが1人もしくはゴールドが1人でロボ戦に打って出るリュウソウジャー。怪人撃退の展開を踏まないため、他のメンバーはいるの?といった声が挙がるのも無理からぬことだと思います。
個人的には1人でロボに乗り込んでいるレッドに対して、他のメンバーが外でアドバイスを送るというシチュエーションは、なかなか楽しかったです。おかげで妹キャラ1人が乗り込み動かすロボは、それに合わせてかわいいファイトスタイルと取るという、おもしろい場面も生まれました。
ロボを1人だけで動かせることによってレッドだけでもいいんじゃないか、という意識づけされたリュウソウジャーです。
ところが最終回、その最後の変身「リュウソウチェンジ」において、レッド抜き!ときます。
このシリーズ初の試みは、確信犯だと思われます。
レッド抜きで最後の変身を決めよう。
レッドを持ち上げるだけ持ち上げることでクライマックスの衝撃をより与えたい目論見が当初からあったように思えてなりません。
もしくは玩具売り上げのため「レッド絞り」していたことで、もはや売り上げ関係なしの最後で梯子外すをしたかったのかもしれません。
ルパパトとリュウソウジャー。スポンサーの顔色を窺った部分を逆手に取ってストーリーへ落とし込む。そうした点が顕著だった両作品ではなかったかと思います。
苦闘ぶりは似通っていたように感じております。
そして何よりこの両作品は、自分の中に印象深く残ってくれました。ありがとう、としか言いようがないのです。