ネタバレ感想【騎士竜戦隊リュウソウジャー】最終回 地球の意思
個人的な話しながら、観る前から感無量でした。
まだブログを始めて間もない頃において、特撮の新番組はリュウソウジャーが最初でした。
まだ作品の総評を主眼に置いておりました。リアルで追っかけなど考えだにしていない時期です。
数話を鑑賞して、自分なかにある戦隊のイメージを崩す試みが見えます。ルパパトの後発として、すっかり王道路線へ回帰かと思いきや、ハズされたようです。
決して成功しているとは言い難かったですが、心意気を感じてしまいました。仮面ライダーを取り上げてもスーパー戦隊の方は少ないという計算もあったことは、正直な気持ちです。
けれども何の気無しに始めたブログです。戦略も参考もないまま、ともかくストーリーを頭から押さえる形で書くしか思いつきません。途中、何回かスタイル変えを考えましたが、結局は最後まで押し通すことにしました。
たぶん、こうした書き方は当分もしくは二度とやらなそうです。
曲がりなりにも1年間ずっと書き続けて解ったこととして、これは知らないまま始めた勢いがなければ出来ないスタイルです。少なくとも自分には、そうです。
『騎士竜戦隊リュウソウジャー』ブログ運営も含めて、個人的にも忘れられない作品となりました。
ネタバレ及び独自解釈による偏見が含まれる内容であることをご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。
地球の意思
冒頭
オープニング曲のメロディーに乗せてエラスに向かう、3体の合体したキシリュウロボ。なにがどれがどう合体したか解らないけれど、遠景で見せる爆発の数々。タイミングやら場所やら、とても大変だったと思います。
巨大戦において何もない場所を上からの遠景撮影は、本来なら邪道です。巨大感を出せないだけならまだしも、着ぐるみの等身大が丸わかりしてしまうからです。カット割りとしては、眉を顰める方も多いのではないか、と。
それでも、やりきる!爆発の凄さを見せることこそ重視すべき「特撮の遊び心」これが出来ることが、東映特撮が生き残ってきた要因の一つであります。
どかん、とかましてきた最終回の出だし。
総力戦であり、コンビネーションも決めていくものの、合体が解けるほどの反撃と大地が黒く染まるほどの猛攻をエラスから受けます。
前半
「争い、地を荒らすことでしか存在証明ができない害虫」エラスが歴史をやり直したい理由が、リュウソウ族やドルイドンばかりでなく人類も抹殺へかかっているのが解ります。
もしかして真実の狙いは、人類かもしれません。争いは三者に共通しているものの、地を荒らすとした行為は断然に人類が行ってきたことです。
リュウソウジャー、特に山岡脚本は、リュウソウ族やドルイドンに人間の過ちを代弁させるのが得意です。
バラバラになった騎士竜たちが自らの封印と引き換えにエラスを捉える。戦いの忙しいなかで、ふとといったティラミーゴのコウへ別れの言葉が、大袈裟でないだけに沁みてきます。1回目より2回目を観ている時のほうが、悲しく感じた自分です。
コウがトドメとばかりに、リュウソウカリバーを突き立てる。しかしながら最後まで力は及ばず、折れてしまう。
騎士竜たちの身を捨てた行為が無駄になったばかりではない。
完全なる封印なせいか、リュウソウチェンジも叶わなくなったところで、コウがエラスに刺し抜かれる。生命を取られてしまう。
コウの亡骸を抱えるメルトに、周囲を取り囲む他のメンバーたち。悲嘆が胸に迫ってくるさまは、出演者たちの成長を実感させます。
年間通してきた番組のクライマックスへ突入していることを感じます。
立ち上がるアスナにトワ、そしてバンバにカナロ。
「コウ、ちょっと待っててくれ」亡骸に声をかえるメルトに、目頭が熱くなります。
最後のリュウソウチェンジ。微弱ながら折れたリュウソウカリバーから力を得て変身です。
ポーズも取らず、ゆっくり歩いていくままに名乗ってリュウソウジャーへ。揃う5人の立ち位置は、1人分だけ空けている。
レッドを除いて、しかもアイテムを使用せずにチェンジ!
これぞ、リュウソウジャーが他の戦隊にない挑戦を試みた象徴といえるシチュエーションである。
ついに、ここへ来たか。一年間通して観続けてきた感慨が結晶された場面でありました。
後半
どうやらコウの生命はエラスの中へ取り込まれた模様。
外ではリュウソウジャーの面々が苦戦中。そんななかトワが力量を発揮する。なぜトワが?と思うが、ここは他のメンバーにない成長を遂げていたとしよう。
ちなみにメルトの二刀流がカッコいいぞ。
「ワタシはもう過ちを犯さない」エラスが宣言する。
そんなエラスに、取り込まれたコウの言葉がいい。
ずっと1人で生きてきたんだな。笑ったことは?泣いたことは?失敗しても立ち上がって最後に笑顔でいられるよう未来を目指して生きていく。未来に笑顔を繋いでいく。
結局、エラスは頭でっかちなのである。「概念のみ」から導き出した結論でしかなかったわけである。実際の物事を行うなかで発生する人間関係から、時に寛容さも必要であり、今現在だけで決めつけず、将来へ繋がることとは何か、と考えることこそ大事だ。
このシーンは現代日本に突きつけた警鐘だ、と最終回だから大きく出ます(笑)。社会問題としての解釈は無理があるような気がしないでもないですが、凄かったんだぞと強調したくて大袈裟に打って出てみました。
でも、生命と笑顔を未来へ繋いでいく。そんな気持ちを誰もが持てたら、世の中は良くなります。
今だけしか考えない、他の生命はおざなりで、誰が悲しもうが構わないとするから、不幸が招かれる。いくら美辞麗句で横行しても、人間社会の本質とは後者へ傾いていると思わざる得ません。
それでも大事な本質を真っ向から声を上げてくれる作品というのは、いつまでも忘れず大事にしていきたいです。
エラスのリュウソウカリバーによって損壊された部分へ剣を突き立てたリュウソウジャーの5人。ついに粉砕すれば、メルトがエラスの中に落としてきたリュウソウルを通じて、コウを現世へ引き戻す。
前回の設定が思いっきり活きておりました。
結び
ドルイドンは宇宙へ帰るようです。
クレオンがいた惑星へ、ワイズルーは行きたそう。
そこへボロボロながら無事だったプリシャスが登場。まだ「終わってない」と気概は高いですが、弱った身体ではワイズルーとクレオンのコンビに敵うはずもなくです。
3人で一緒にクレオンの星で暮らそう、となりました。ただプリシャスが、どこまで付き従うかは不明です。
騎士竜封印の跡へ訪れたリュウソウジャー。
ここからは、みんながそれぞれの道へ向かう意志を確認です。
トワが旅立つようです。しかし何処とはっきりは申さないところに、続きを匂わせていると感じました。もちろんこの推察は希望が多分に含まれています。
弟の独立に焦るバンバの姿はお約束ながら笑えます。
意外にも最後まで無事だったマスターブラックは最終回も登場です。せっかくここまで出番があったのですから、またのお越しをお待ちしたいところです。
アスナはマスターピンクの意志を継ぐように、後進の育成に務めるようです。できない子だったからこそ、良い先生になれる、そんな気がします。
みんなが帰って来られる場所を作りたい、という言葉にも泣かされます。
カナロは相変わらずの婚活に精を出すそうです。が、実はこいつが一番の問題だった(笑)なんと、アスナ狙いときます!アスナの許へずっといるようです。もちろん気持ちは、気配すら伝わっておりません。
メルトは龍井の父ちゃんの考古学の手伝いをしているようです。発掘現場へ、オトちゃんも付いてきているという、こちらの仲は順調ぶりを見せています。
コウはあちこちへ行っているようです。
村へ戻った長老との掛け合いはおもしろかったです。「生き物は往々にして失敗する」といったいい話しのオチは、事業拡大による失敗へ結びつけられました。社会情勢を踏まえた含蓄あるエピソード満載の最終回です(笑)。
でもやっぱりほろりとさせられたのが、ナダの墓参りです。
ラストシーンは、ういの帰国に合わせて、龍井家で全員集合です。
結局は、龍井の父ちゃんがバナナの皮で滑るギャグに持っていかれますが(笑)それを全員で笑い合う光景が写真を飾る壁の中央へ収まれば、それが本当の最後のシーンでした。
今後が気になる
完璧だったとも、名作だとも言いません。
けれども深く印象に残してくれた作品でした。その辺りについては、また別の機会に譲るとして、問題は今後です。
テレビ放送が最終回を迎えたからといって、終了とならないのが昨今の特撮番組です。少なくとも映画かVシネかは分かりませんが、今後が1本はあります。でもどうせなら、スピンオフを幾つか来て欲しいと願っております。
今後どうなるんだろう、といったシチュエーションが多かったような気がします。
騎士竜戦隊リュウソウジャー、最後まですんなりと落ち着いた気分にはさせてくれないものです。