ネタバレ感想【警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-】手堅い作風が弱点にもなっている
アニメ作品をブログへすることに敷居の高さを感じています。扱うネタとしたら、一般映画の方が気楽かもしれない。
大きな影響を受けながら、追っかけきれていないという自覚からではないか。そんな風に分析したりします。
やっぱりヘタには書けないとしたプレッシャーも感じておりました。
けれど、ここに来て「やらないとずっと書けないな」と思うようになりました。観たものは全部ブログにしてやろうぐらいの勢いでいこうか。なんだか燃えていますが、でも実際は絶対に全てをブログにするのは無理です、断言します(笑)。
けれど出来るだけブログにしていきたい。それに凄い紹介記事などと気負わず、感想でいいじゃないかと自らへ言い聞かせます。
ハードルを下げておこう、というわけです。
そんな心がけなので独自解釈による偏見が強いかと思われます。未見の方にはネタバレにもなります。どうか、ご了承のほどをお願い致します。製作者などの敬称も略とさせていただきます。
トクナナ、その作品概要
2019年10月から12月まで全12話+特別編(8話と9話の間)が放送されました。
監督は小坂 春女(こさか はるめ)ですが、総監督として栗山貴行が就いております。
脚本は、東出 祐一郎(ひがしで ゆういちろう)が大半を担当しています。ラストエピソードへ向かう直前の2話だけヤスカワ ショウゴが書いています。
作品全体がきちんと統括されている体制が取られていたようです。それは鑑賞後において納得させられます。
全体を通して、きっちりしていた感があります。おかしな点がないように作成されていた設定にストーリーでした。
破錠がないよう作られた。それがある意味において弱点となった気がします。
トクナナ、その作風はキャラから
少年(中学生らしい)が炎が巻くなか、若い警官に助けられます。追手を引き受けている間に逃そうとします。君の行くべき道を真っ直ぐ進め、といった励ましの言葉を告げて。
この少年は助けられるまで、何が起きていたのか。追手を引き受けた若手警官は帰ってこなかったらしい。
冒頭部分で謎とストーリーラストまで繋がるシーンを提示してみせます。シリーズ全体がラストへ繋がるよう計算させた出だしです。
この助けられた少年が新米刑事をして「トクナナ」へ配属されてくる主人公七月(ななつき)コードネームは「ルーキー」熱血漢で新人らしく、ちょい無謀なところもあり。
そして早くも先に述べれば、冒頭において助けられるまでの間はドラゴンの力を得る儀式に参加させられており、ラストにその力を発動させて事件を終息へ導く役目を負います。
七月とよく組む、準主人公と言える一ノ瀬(いちのせ)コードネームは「カリスマ」癖のある雰囲気であるが「トクナナ」の頭脳を担うだけあって明晰な判断を下す現場のリーダー的存在である。しかしながら射撃の腕はド下手らしく、体力もない。
七月を助けて消息不明になった刑事三潴 ルカ(みずま るか)はかつての相棒で、冒頭のシーンにおいて一人で救出へ行かせたことをずっと悔いている。
ルカの弟で「トクナナ」の情報分析担当である二条(にじょう)コードネームは「アナライザー」とくれば言葉の意味である「分析器・分析者」より宇宙戦艦ヤマトの「分析もするマスコットロボ」のほうが馴染み深い、と思う(笑)。
けれど二条は鋭い形をしたフレームのメガネをかけた、いかにも秀才タイプのハンサム。刑事としての本分よりも亡くなったと思われている兄の復讐を第一としており、兄の相棒だった一ノ瀬には不信感を抱いている。
他に「トクナナ」へ所属するのは、ガタイいいおっちゃんで射撃名手の遠藤(えんどう)コードネームは「スナイパー」。剣の達人で美人の四季彩(しきさい)コードネームは「サムライ」。ドローンを飛ばしたりとみんなのバックアップをするメカ担当は、かわいい少女であるベルちゃん(ベルメール・サンク)コードネームは「ニンジャ」。
そして、ちょっと頼りない感じで部下たちからの口答えされるのが当たり前となっている年配男性のコードネーム「ボス」けれども「トクナナ」の創設者であり、底知れなさはある。
その正体はドラゴンのそのものである。つまりシリーズ通しての陰謀については、ほぼ見当がついていた人の姿をした龍である。
この「トクナナ」に所属する7人のキャラ。このキャラが動かすことが作品の主となっている、と思われるので紹介に割いてみました。
トクナナ、刑事ドラマの堅さ
「トクナナ」は、ファンタジーの住人と言える種族と暮らしを共にする世界です。
主人公たちは人間でありますが、他はエルフにドワーフ、ヴァンパイアにホムンクルス、上述したがトップはドラゴンときます。
ファンタジー種族として検索したら、最も簡単に出てきそうなくらい有名どころです。しかも全員は特別に身体的能力や特徴を示しているわけではありません。ちょっと耳の形がそれっぽかったり、目の色が変わったりです。
いずれも専門的能力が高い人間だ、とも言われれば納得してしまうメンバーです。
そうしたメンツのなかで七月と一ノ瀬のコンビを中心に事件へ当たっていきます。
敵はウォーロックというドラゴンの化身が首謀しているテロ組織「ナイン」そしてそれを支援する行動を取る謎の男は、 三潴ルカであることが判明してくる。
いかにもさもあらん、といった展開です。
他のレギュラーキャラとしては、二条とつるむ情報屋の黒真珠(くろしんじゅ)見た目は女性だが、島崎信長が低くいい男性ボイスで演じてくる。男性か女性か性別不明な妖しい雰囲気満載です。
二条に最後まで協力しています。裏切る真似はしません。あくまで端役であり、物語の鍵にまで躍り出てはきません。
ファンタジー的世界であっても、起こっていることは事件。公安部との兼ね合いに気を使いながらの捜査もあります。
刑事としての本分を、新人刑事を助け、時に乗せられる形で「トクナナ」の連中は果たしていく。事件を経ていくなかで絆を深めていきます。
「刑事もの」テレビドラマがベースにあるような世界観であります。
トクナナ、アニメファンとして
作品としては、実写ドラマでも出来ないこともないような気がします。
ドラゴンや魔法陣といったビジュアルは出てくるものの、基本は人間コンビが現場へ赴く。サポートは射撃に剣術とくる。他にはドローンが飛んでくる、裏で情報戦を繰り広げる。
特別にアニメでなければ、といったシーンは少ない。実写にしたら予算が相当かかるだろうが、出来ないことはない。
展開もまた飛び抜けることもない。
敵の手先となった三潴ルカが正気に返るのは、弟である二条の訴えが届いたからである。引っ張ってきたわりには、あっさりな印象が拭えない。
その二条は一ノ瀬に不審を抱いているが「トクナナ」を窮地へ追いやる真似などしない。
二条の裏の情報屋も裏切る真似などせず、付き従う形だ。利害が一致するからだとするが、妖しい雰囲気から言葉だけでなく多少の過程が欲しかったところである。
敵のドラゴンも世界征服であり、その力を有することは七月ばかりでなくボスもそうであることはいち早く想像がつく。
ストーリーにシーン構成に意外性は乏しく、アニメならばの振り切った要素が希薄なのである。
そう考えていけば、キャラもお手本みたいな棲み分けかもしれない。
きつい言い方をすれば、教科書通りに制作された作品のようだ。だからドラマティック性に欠けてしまう。アニメにする必要があったのか、などと考えたこともありました。
けれども見返せば、この弱点と思えた点が却って利点になっているかもしれない。
トクナナ、続きがあれば観る
類型的と感じたことも、捉え方を変えれば、それは「王道」刑事が事件へ当たり揉まれ成長していくことが、本筋である。
あっと驚くようなミステリーではなく、況してや超常能力合戦を展開するのはラストのドラゴン同士の戦いぐらいか。それでさえアニメファンからすれば目眩くようなシーンでもないだろう。
ごく普通の刑事ドラマ。ただし実写ドラマは日常的世界(現実的とは言わない)から逸脱不能から、ファンタジー要素を加えるにはアニメしかない。
アニメとしての期待より、刑事ドラマにおけるある種のパターンと切り換えて観れば、素直に入ってくるようになった気がします。
全体を通して無理ない内容を以って、新人刑事に限らず「トクナナ」所属する刑事たち全体の成長を描いた。
手放しで良かったとするまでにはいかないけれど、「また」があるなら、やはり観てしまうと思います。