ネタバレ感想【仮面ライダーゼロワン】#19 カノジョは家売るヒューマギア

石田秀範監督といえば、平成ゴジラシリーズにおける川北紘一監督を思い出す。

なぜ思い出すかと言えば、石田監督がメイキングのインタビューで「水が好き」といった感じで答えていたからであります。

水が好き、といっても飲むほうではありません。
シーンとして、水を絡めたシーンが好むことを言います。
CGや合成を使用しての画作りではなく、本物の水を使用したがる傾向のことを指します。

巨大特撮において、火や水といった自然現象はリアル指向においては不向きです。けれどもシーンとして新たな領域になるとして、平成期の川北ゴジラシリーズは巨大プールを使用した、直に水につかる撮影を多用します。
着ぐるみのゴジラを、防水は施しているとはいえ十数本の電線を挿したままプールに浸からせます。これで事故の報告はなかったのですから、安全対策の高さを感心しつつも、無茶がすぎます。
だからと、常にきちんと安全面が配慮されていたかどうかは、モスラ2の敵怪獣が撮影のため14時間以上プールに浸からせていところから、素直に首肯はできません。このスーツアクターが「最もきつかった」と申しておりますので、シャレになっていなかったと推測します。

いきなりライダー以外のネタを振らせていただいたかというと、特撮は全てが素晴らしいことの再認識(笑)と、「水のシーンを好む」とする演出家はたいてい無茶振りしてくる傾向にあることを喩えたかったわけです。

巨匠、とのあだ名を持つ石田監督です。もし自分が撮影スタッフで、その下に就いたらいかに大変か容易に想像が付くカットが満載です。しかしながら平成ライダーの礎を築いた監督であり、現在の監督たちはその下で鍛えられております。
平成ライダー以降、雨や水上でやたら戦うようになった気がするとしたら、発端は石田監督でしょう。断言はしませんが(笑)

そんな平成期の「巨匠」を、令和第1弾作品において復活させられる東映に懐の深さを感じます。新しい人材を生みながらも、ベテランも起用していく。絶妙なバランスを以って撮影していく体制には楽しみしかありません。
鑑賞前から盛り上がっている今回なのです。

以下、ネタバレあります、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

エピソード19『カノジョは家売るヒューマギア』を観た後に言えることは、ますます感想さえ述べる自信がなくなりました。いきなりブログ続行の危機に面しております(笑えない)

平成の巨匠石田監督の演出に注目としていましたが、それ以上に内容について考えさせられたからです。ここで、ポンッと表明していいものか。観返せば、さらに理解より混迷が増してきます。
この時点で回答など、とうてい出せるものではありません。この仮面ライダーゼロワンは、ただ作品の出来について言及するだけでは済まないテーマの深さを感じます。

これからの自分たちにおける世界へ、どう向き合っていくかを問うストーリーになっているように思います。

或人の情熱に押されつつも、考えには違和感を抱いておりました。

その違和感の正体について、天津垓がある程度はっきりさせてきます。
人間はヒューマギアにはない能力の可能性がある。けれどもし劣るようなことが示されれば、あっという間に人間は衰退していく。
ヒューマギアに劣ることが公けになれば、本来ある能力を伸ばすことを放棄する可能性が高いのが人間というものかもしれない。

天津垓が述べるヒューマギアの台頭が人間を衰退させるとする論説は本心ではないかもしれない。
或人へ、会社へ利益をもたらせられない社長に価値はない、といった趣旨で言い放つほどです。 
単純に自社への収益を得るためのヒューマギア潰し、もしくはヒューマギアという技術を掌中に収めるためだけの布石かもしれせん。

しかしながら声優ヒューマギアから始まった違和感の正体の一端を担う、その本心は「飛電」潰しが根底にあるものの天津垓の言葉に説得力を感じてしまうのです。

ただし社長は会社に利益を上げてこそ、といった言葉はどうでしょう。確かに利益は会社にとって第一ですが、誰でも理解できる考えを盲目的に唱えるほど危険なことはない。行き過ぎた建前はどこかで不幸を呼び、新しい領域へ踏み込む弊害になる、と酔っ払ったように言うここで書いている人です(笑)

だから一時期あった或人に強かった疑念に対して、まだまだであっても受容できる部分は大きくなっています。
感情を持ったヒューマギア。それを道具として処分など出来る人間のほうが、より恐ろしい存在です。人間とヒューマギアを共存させたいとは、とても勇気ある考えである気がしてきています。

まだ解答には程遠いかもしれませんが、解答など無い題材なのかもしれません。ともかくいろいろ考えさせてくれる作品は早々にない、これだけははっきり答えられます。

内容には毎回のようにテンション高くさせていただいております!のゼロワンですが、魅力は当然そこだけではありません。

今回登場の家を売るヒューマギア「住田スマイル」名に恥じない笑顔の披露に、よくぞ見つけたきたと言いたくなるどのハマり役でした。
本当に素敵な笑顔。だからこそ対戦相手である人間の悪意に触れて笑顔が消えた際のギャップの迫り方は怖いほどです。

「悪意は伝染する」ヒューマギアを変貌させるアークの意志は生きており、また女性声のフード人物は滅亡迅雷.netの仲間らしい。
ヒューマギアはマギアへ、人間はレイダーへ。敵はどちらとも着かず、事態はますます混迷を来しています。

そっちはそっちの仕事をしろ、俺は俺の仕事をする、とカッコいい不破さんですが、或人同様に全く敵にかなうことがありません。依然として、天津垓の仮面ライダーサウザーのみが活躍といった状態が続いています。本年度に入ってから、まだゼロワンとバルカンにバルキリーといったこれまでのライダーが敵を倒させていない。

ゼロワンという作品は攻めております。

攻めているといえば、石田監督。水上におけるアクションといった具合は以前通り面倒さ求める傾向は変わらないようで、嬉しくなります。テロップも必殺技よろしく紹介のシーンで使用してきます。カット割りも明らかに違う細かさや移動を取り、照明もテラスにおける天津垓や滅と不破さんのシーンなど、この監督らしい、けれどもこれまでにない当て方をしてきます。

石田監督を持ってきた意図。良し悪しよりも前に、他の監督を刺激していきたい。そうであれば、このタイミングで演出を任せたことは良い判断だったと思われます。

そして固いことを抜きにすれば、自らギャグを言うようになったイズ。家を売る場面で或人のギャグを「おもしろいジョークです」と解説するところに、これからが不安視されます(笑)

不安といえば、或人がOP直前の「受けて立ちまーす」といって立ち上がるところで笑っている自分に怯えております(笑えないな)