【企画もの】仮面ライダーにおける主人公とヒロインの関係性を考察する(昭和篇)#仮面ライダーSPIRITSも絡めてイチャイチャ度を計る
ヒロインは大事であります。
物語上ではなく、素敵な女性が作品を彩ってくれないと味気ない。単なる個人的な感想から、そう述べています(笑)。
ちょい真面目な話しですが、ヒロインの重要度が作品の思い入れにおける重要なファクターになり得ることがある。ただし、必ずではない。
こうした微妙さが、深く考えるまでは至らなかった理由かもしれません。
おかげさまでブログを始めたことと、やはり現在放映中の『仮面ライダーゼロワン』における主人公に付き添うヒロインがAIロボといった特殊な存在感が考えるキッカケを、もっと世俗的な表現をすればネタを与えてくれたようです。
今回はかなり独自解釈による偏見が強いかと思われます。未見の方にはネタバレにもなります。どうか、ご了承のほどをお願い致します。製作者などの敬称も略とさせていただきます。
仮面ライダー主人公とヒロインのイチャイチャ度
本郷猛
昭和の仮面ライダーの世界は同一線上にあります。
まず昭和のライダーといえば「漢」であります。強く逞しく、弱音などは吐かずに人知れず努力して立ち向かっていく。
そして何より「改造人間」であります。
「改造人間」そう、戦うために作られた兵器としての身体です。けれど人間でもある。ただ、その人間としての部分は主に「心」によるところから悲哀があります。
ヒトであって、人ではない。
存在自体が悲しみで満ちた仮面ライダーとなった主人公。ならば、拠り所としてヒロインの存在は大きい。
改造人間という自覚があるから普通の女性など愛すわけにはいかない。戦いしか存在意義がない仮面ライダーの傍に女性など置いておけるわけがない。
けれども改造人間になったゆえに人間としての気持ちが大きくなった仮面ライダーにとって、ヒロインこそが人間側へ繋ぎ止めてくれる唯一の存在なのかもしれません。
特に仮面ライダー1号であり人間側に付く改造人間は一人きりといった状況を体験した本郷猛にとって、ヒロイン緑川ルリ子の存在は大きかったはずです。ヒロインから恋心を滲ませてくるところから、大人な展開を期待させますが、劇中からは伝わってくることはありません。やはりそこはどうしても「子供番組」とする意識が強かったようです。
村枝賢一著コミック『仮面ライダーSPIRITS』では、1号とルリ子の再現シーンにおいて改変を施しています。1号の活躍にルリ子が複雑な心境を覗かせる表情であるシーンは、テレビにおいては笑顔です。仮面ライダーとして番組構成上仕方がないのですが、主人公の苦悩を分かち合うヒロインとして見た場合は物足りないものがあります。
本郷猛と緑川ルリ子の関係性は特撮ヒーローにおける見本になり得る設定だっただけに、結局はあまり描かれず終わってしまったことは残念といえば残念ではあります。
とはいえ、それはヒロイン絡みとして見た場合のお話し。現代からすればストーリーは低年齢層向きかもしれませんが、憧れの特撮ヒーローが躍動する作品として輝いています。
何より昭和の特撮アクションは、大人になったからこそ解る「ヤバさ」笑っちゃいけないが、笑いつつ寒気も同時に走る尊敬しかない身体の張り方なのです。
それに昭和の仮面ライダーファンなら欠かせないコミック『仮面ライダーSPIRITS』において「猛とルリ子さん」の関係性は濃密に描かれています。
『仮面ライダーSPIRITS』は本放送の設定やエピソードを埋めるだけではなく、ヒロインと向き合う仮面ライダーにもまた力が入っています。
個人的には、なくてはならない著書となっております。
一文字隼人
仮面ライダー2号こと一文字隼人。飄々としていて、プレイボーイな雰囲気を漂わせています。ライダーガールズとの掛け合いからしても女性の扱いは手慣れたものを見せてきます。しかしフリーカメラマンとしてカメラを手にしていても「女性は撮らない」特定の女性を持つことはありませんでした。
『仮面ライダーSPIRITS』においても、いちおう2号篇にヒロインになりそうな女医さんが出てきますが、その後において特には、といった感じです。
隼人にヒロインという特定の女性が介在することはなさそうです。
風見志郎
仮面ライダーV3こと風見志郎とくれば、反射的に出てくるヒロイン珠純子。昭和仮面ライダーにおいて、ヒロインの見本といえる存在です。
珠純子は「志郎さん」に惚れています。ただ経緯が志郎さんに助けてもらったことで、彼の家族が惨殺されると一因を作ります。出会いからして、とても複雑なのです。
もちろん志郎さんはそのことで責めたりはしません。ただ志郎さん、家族の惨殺を目の当たりにしたせいか、周囲を巻き込みたくない気持ちが働きます。他人とは距離を置く態度も見せます。
だから傍にいようとする純子には冷たく当たります。責任を感じて欲しくなくて仮面ライダーV3であることを伏せているくらいです。
むしろ志郎さん、純子のことをかなり気にかけています。
第12話『純子が怪人の花嫁に!?』タイトルからして、純子が狙われていることが分かります。正直に申せば、初めてタイトルを見た時はちょっと笑ってしまいました。ところが観終われば、描かれた大人の男女関係に少し背伸びした気分になります。
純子をストーカーのごとく追いかけてくる男が怪人になります。一方的な想いによって花嫁にしようと画策します。大人になって振り返れば、かなりヤバいストーリーです。現代では頻発する事例として知見を得れば、笑えません。
もちろん仮面ライダーV3こと風見志郎によって救われます。
ただ救出の際に、志郎は純子に自分が仮面ライダーV3であることを知られないよう腐心します。
自分が仮面ライダーV3と知ったら、純子が自分の責任だと考えてしまう。そんな想いはさせたくない。自分のことで気に病ませたくない、ただその一心で正体が知られないよう一芝居を打つのです。
『純子が怪人の花嫁に!?』の締め括りとして、志郎が「オスッ!」とかけた声に、純子も「オスッ!」と返す表にならない心象のやりとりこそ、大人な関係を感じます。
このまま番組終了まで純子は、サポートかつ人質役(笑)を真当します。昭和の第1期とされるストロンガーまでにおいて、番組当初から最終回まで出ずっぱりのヒロインは純子とアマゾンのりつ子しかいない。けれどもアマゾンよりV3の放送回数が倍近くだったところから印象の残り方が違ったのかもしれません。
『仮面ライダーSPIRITS』において、確立されたヒロインの純子ですから相変わらずです。周囲から「志郎が好き」な点を突っ込まれるくらいです。
ただ遂に志郎さんが仮面ライダーV3であることを知ります。
しかしながらデストロンを倒し何処かへ去っていった仮面ライダーV3と歩調を合わせるように消えた志郎さんですから、うすうす気づいています。知った際は、ショックよりやっぱりといった感じです。むしろ助けるため怪人に飛びついていくほどです。
純子は変わらずです。
むしろ久々の再会で純子に胸へ飛び込まれた時の志郎の表情が味わい深い。真に『仮面ライダーSPIRITS』は素晴らしい。
結城 丈二
ライダーマンであります。右腕のみ改造の結城 丈二です。本放送における登場も、たった9回しかありません。9回とは思えないインパクトを残した仮面ライダー4号です。
特異な仮面ライダーとしてタイトに描かれたのが幸いした部分もあります。そのためヒロインなど当てる余裕などありません。
なにせ本放送では破壊ミサイルに等しいロケットと共に散ったと思ったら、次作のXライダーで「タヒチ」に流れ着いたことを自己申告です。
エピソードが少なすぎるよ、といったところを『仮面ライダーSPIRITS』は突いてくるわけです。
タヒチへ流れ着いた時のエピソードに、結城のヒロインというべき女性が現れます。インターポール特別捜査官のアンリエッタ・バーキンという(たぶん)金髪の気の強い美人です。
このアンリエッタ。デストロンに家族を奪われた者として、その科学者であった結城を当初は憎んでいながら、彼の言動に心が揺らいでいく。両親を幼くして亡くした現地の少女から、結城がパパ、アンリエッタがママ、と呼ばれる経緯もあります。
アンリエッタはすっかり結城に入れ込んでおります。
『仮面ライダーSPIRITS』は結城にヒロインを当てるだけでなく、内面もかなり踏み込んでおり、ライダーマンの物語を積極的に補完していることが窺えます。
神敬介
仮面ライダーXこと神敬介。仮面ライダーになる以前から、恋人がいるといった設定です。その恋人は敵組織を探る諜報員であり、恋人そっくりの妹もまた同様の活動としていました。
カノジョとその妹は、敵組織によって命を奪われてしまいます。
こうした流れを受けて、敬介にヒロインと呼べる女性は存在しなくなります。知り合いくらいはいますが、特定の女性としては影も形も見えません。
『仮面ライダーSPIRITS』でさえ、親子の絆を強調されるだけで女性が関わってくることがない敬介です。
しかしです。劇中では全くですが、プライベートにおいては敬介を演じた俳優と命を落とした恋人と妹の二役をこなした女優は結婚しております。芸能ネタ部分としては、まさしく主人公とヒロインしていたわけであります。
アマゾン
仮面ライダーアマゾンの本名は「山本大介」でありますが、変身前から「アマゾン」と呼ばれています。やはり大介よりアマゾンがしっくりきます。
野生児であるアマゾン。小学2年生の子供「まさひこ」と友情を結び、敵怪人であったモグラ獣人とも心を通わせる。
思惑なしに誰とでも接することが出来るアマゾンです。
そんなアマゾンのヒロインといえば、まさひこの姉岡村りつ子。初めは弟を危険に巻き込む相手として冷たい態度を取っていたものの、段々に認めていくようになり、助けられたことによって完全に心を開く。
普通ここでヒーローとヒロインが!といくところですが、相手はアマゾンです。無垢というか、男女の機微には全く無頓着です。オスとしての野生は発源しないようなので進展しようがありません。
『仮面ライダーSPIRITS』においてりつ子は、まさひこに付いてくることもあれば気に止めているようですが、なにかがあるようには今のところ見受けられません。相手がアマゾンですからね(笑)。
城 茂
仮面ライダーストロンガーである城 茂のヒロインといえば、 電波人間タックルこと岬ユリ子。文字通り改造人間同士のヒーローとヒロインであり、仮面ライダー史上においてこれほどドラマティックなカップルはありません。
子供向けの演出を試みていた昭和の仮面ライダーでしたが、余命いくばくもないユリ子が茂にコーヒーを煎れるシーンは視聴者が心情を読み取らねばなりません。どれだけ汲み取れたかによって、揺さぶられ方が変わります。
『仮面ライダーSPIRITS』においても、茂は亡きユリ子を想うままです。つまり茂を中心とする話しにおいては、泣かせにかかってくるわけです。そしてそれを望む読者が、ここで書いている人なのです。
筑波洋
スカイライダーと呼称される仮面ライダーは、筑波洋。キャスティングの段階から、製作陣の女性から強い推挙を受けた経緯があります。
これまで男の子が憧れるお兄さんから、女性が熱狂するスマートな青年といった方向を見せてきたわけです。
甘いマスクで女性を虜にする出で立ちが、むしろ裏目に出たか。全くと言っていいほど、近くに女性が置かれることはありません。
ヒロイン不在といっていいと思います。
『仮面ライダーSPIRITS』においても、女性なしを徹底されている感があります。モテそうな主人公なのに、なかなか難しいものです。
沖 一也
もしかして前作のスカイライダーにおける反省からなのか、仮面ライダースーパー1こと沖一也には、べったりなヒロイン草波ハルミが登場します。
ハルミは一也が大好き、隠そうともしません。他の作品ではよく見受けられるヒロイン像も、仮面ライダーとなると唯一無二となります。
あまりにもあからさまなせいでしょうか『仮面ライダーSPIRITS』においては、ハルミにとっておもしろくない女性キャラを登場させたりします。
明るい性格で一直線に主人公を想い支えるヒロイン。一番安心して見ていられるヒロインとはハルミを指すのかもしれません。
村雨良
雑誌媒体を中心に、映像はスペシャル版として1回限りの登場しかない仮面ライダーゼクロスこと村雨良。ヒロインの存在ははっきりしていて、一条ルミです。健気な女性・・・としたいところですが、登場してきたのは幼さを強く残す少女と言えそうな女性です。
セリフの語り口がルミの容姿と今一つそぐわない感じを覚える方は多いと思います。当時のスタッフの証言によれば、現場にやってきたキャストが想定していた年齢よりずっと若くて途惑ったそうです。うまく連絡が出来ていなかったようです。
苦しい制作現場の弱点がもろに出てしまったヒロインのキャスティングです。
しかしながら仮面ライダーゼクロスが本当に始まるのはコミック『仮面ライダーSPIRITS』においてです。そこではあどけない容貌ながら芯の強い女性としての一条ルミがいます。
究極の改造人間にされた良が支えとするヒロインがそこにいます。
あとがき
おもしろ企画として、簡単に考えておりました。
主人公とヒロインの関係性を元号が変わったいいタイミングとして、平成ライダーまで一気にいくつもりだった頃が懐かしい。
「いちゃいちゃ」と使った時点で平成までやる気満々だったことはお分かりいただけるかと思います。
相変わらず読みが甘いここで書いている人です。
昭和だけでも、いつの間にかこんなところまで書いていた(笑)。もちろん続きはやります。投げ出す真似はしません、なんてカッコつけてますが、本音はけっこう楽しい(笑)。
平成ライダー篇も、1期と2期に分けていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。