ネタバレあり感想【RIDER TIME 】仮面ライダー龍騎&仮面ライダーシノビ

仮面ライダージオウのスピンオフ

平成仮面ライダーの20作目にして、開始から20周年を迎える集大成として製作された『仮面ライダージオウ』2018年9月2日から2019年8月25日まで放映されました。

平成最後の仮面ライダーとしての役割が大きく、レジェンドライダーの客演が続く展開はジオウのキャストにとって、なかなか厄介です。演技や雰囲気といった俳優の能力以前に、視聴者の思い入れゆえにレジェンドライダーへ目が向きます。
物語本来の立ち回りを演じるジオウの俳優たちはハンディを背負うにも似た出演が続きます。

スタッフ側もその点を考慮したのでしょう。レジェンドばかりでなく、新しいライダーを登場させてきます。

毎回のように仮面ライダーが客演するジオウは、レジェンドと新規を良い具合に混ぜ合わせようとしています。それが上手くいっていたかどうかは、視聴者の判断次第といったところかもしれません(笑)

でも真面目な話し、過去のエピソードを取り入れながら、これまでの作品を崩さないようにする。以上の旨を堅持しようとしたら、どうしても視聴者に判断を委ねるしかない結末へ至る要素が増えることは致し方がないと思われます。

集大成、と視聴者からすれば簡単に言えるものの、製作陣は錯綜甚しかったでしょう。そうした中で企画されたスピンオフが、レジェンドと新規、続きと始まりとした対照的な2作品であったことはジオウ製作における姿勢を垣間見せた作品群でした。

以下、ネタバレあります、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

RIDER TIME 仮面ライダー龍騎

あらすじみたいなもの

2019年3月31日より3週に渡ってビデオパスで独占配信された『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』仮面ライダージオウのスピンオフPART2です。まずこちらを先に取り上げさせていただきます。

ミラーワールドという現実の向こうにある空間へ閉じ込められた多数の男たち。囲む鏡の中から姿を見せる女性は、戦って生き残ったただ1人が現実へ帰れると告げてくる。

連れて来られた男たちに記憶がないようだ。

主人公である仮面ライダー龍騎こと城戸真司は、会わなければいけない男がいる。そのためにもミラーワールドから脱出したい。
もう1人の主人公というべき仮面ライダーナイトこと秋山蓮は内面から突き上がってくる、戦いを止めるという意識をもとに行動をしている。

複数のライダーが思惑を絡ませ合うなか、手を組むことで当面を乗り切ろうと各陣営が発生している。けれどもやはりというか背信が横行し、ライダーは減っていく。

ただ仮面ライダー王蛇こと浅倉威は記憶があり、それに付き従うは仮面ライダーゾルダこと由良吾郎。かつて浅倉と最も敵対関係にあった北岡秀一の秘書が、なぜか服従の道を選ぶ。

真司は龍騎であると同時に、鏡像中において黒い意思と言える仮面ライダーリュウガにもなる。真司は拒否はしているものの、鏡像中の黒い意思は実体化するためにはどうしても必要であり、乗っ取ることに成功してみせる。

王蛇の暴れっぷりとリュウガの容赦ない攻撃ぶりで、ライダーは残り僅かとしていく。

実は北岡の未練を果たすため近づいていただけだった吾郎ちゃん。浅倉の不意を突いて、同士討ちへ至らせる。

一方、リュウガとナイトも正面から激突。両者とも変身が解けたところへ、消える寸前のあがきとばかりに乱入してきた浅倉の攻撃から真司を庇っては命を落とす。

を突き動かしていた「戦いを止める」はかつて真司が抱いていた想いであり、真司が会わなければと思っていた相手は「」その人だった。

ただ1人の生き残りとなった真司のもとへ、鏡の中の女が姿を現します。恋人が自分を助けるためアナザー龍騎となって、現実世界で生命を奪っている。それを止めて欲しいと頼みながら、女は自分の生命を差し出し消滅していきます。

仮面ライダージオウと仮面ライダーゲイツはアナザー龍騎に苦戦していたが、真司のおかげで得たライドウオッチで撃破する。
裏で操っていた思しき正体不明の男は、仮面ライダーオーディン。しかしながらサバイブの力まで得たジオウとゲイツに破れ去る。

真司の頼みを聞いて、現在は看護師になっている小川恵里の様子を確認する。彼女の薬指には、が渡した指輪が嵌まっていた。

見たかったものが見れた幸せ

正直に申しまして、細かい点を突き詰めてはいけないと思います。

それでも龍騎本編を最大限に尊重して、出来る限りのことをしてくれています。16年ぶりなため半端でない期待値で膨らんでいたとしても、時間にして80分に満たない中です。ぶん投げるところはぶん投げる。そこで発生する「?」へ目を向けてはいけない、と己れへ言い聞かせます(笑)

あれほど儚くも忘れられない結末で終えた『仮面ライダー龍騎』その続編です。作って欲しい!と熱望しながらも、製作されたらどんな形でも完全な満足など得られるわけがないのです。

では、ここで書いている人にとって、あれほど完璧と思える作品において、なお望むことは何なのか?それは演出の都合やストーリーの流れから観ることが叶わなかったシチュエーションにあります。

今回のスピンオフは長年観たかったシーンが3つも叶えられていました。
以下が、個人的に熱望していたシーンです。

1.吾郎ちゃん、変身!
本編では、王蛇である浅倉とゾルダこと北岡先生は互いに決着を望んでおりました。機動隊に包囲された倉庫にいる浅倉の許へ、ミラー越しに覗くゾルダの姿。王蛇に変身して相まみえた両者は、これまでの死闘からしては意外なほどあっさり決着します。

王蛇のファイナルベントが決まり、倒されるゾルダ。しかしながら変身が解けた姿は、北岡ではなく吾郎だった!

この場面を観るたびに目が潤みます。

北岡先生の遺体が事務所のソファに横たわっている。サッチモの素晴らしき世界が流れると龍騎の最終回がよぎる者としては、北岡が亡くなったか亡くなる寸前だったかは分からないが、ソファへ横たえたのは吾郎ちゃんであり、デッキを手にして決意を込めて変身したはずなのです。ストーリーの展開上、変身する場面は退かれましたが、北岡と同じポーズでゾルダへなっていたはずだ!

そう確信していた妄想が、今回のスピンオフで実現したのです。
吾郎ちゃんの変身する姿に、マジで背中が震えました。もうこれだけで『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』が製作された意義があったようなものです。

潜る月日が長ければ長いほど、押し寄せる感動の波が大きいことを実感させられたスピンオフでした。けれども出来れば多少波は小さくなってもいいから、早く実現して欲しいな、と贅沢なことも訴えたりします(笑)

2.リュウガとナイトの激突
龍騎の劇場公開作品『仮面ライダー龍騎EPISODE FINAL』は、絶対にディレクターズカット版と言い切ってしまいます。でなければ、ざっくり切られたエピソードが真司の魅力を奪っております。龍騎でありながら、リュウガにもなる一面をより深く知るためには完全版でなければいけない。

そう言いながらも、劇場公開版で良いからと観てくれと言う(笑)龍騎とリュウガの激突!両者のファイナルベントによる、ライダーキック同士でぶつかっていくさまは痺れずにはいられません。

もしこれが、ナイトだったら?なんて思っていたことが、今回のスピンオフで果たされました。自分の想いが汲まれたシーンは何度も見返してしまいます。

3.オーディンのファイナルベント
ナイト以外のライダーが消えていき、最後に立ちはだかるはオーディンのみ。一方的な戦闘状態のなか、ついにオーディンからファイナルベントの音声が響く。それに向かっていくナイト・・・といったところで、CMです。次の場面は、すっかりヨレヨレのナイトといった具合でした。
オーディンのファイナルベントは、まるまる省略されてしまいました。

けれども我が意を汲んでくれる今回のスピンオフ。しっかりオーディンのファイナルベントを視覚化してくれました。
ただ相手がジオウとゲイツであり、粉砕もされれば、感動というより「そんな感じだよね」といった具合です。確認できて良かった、とする自分に我ながらちょっと冷たい感じがします(笑)

ただオーディンが消滅間際に「……ゆい」と洩らすシーンは刺さってきます。まだ妹の再生を願って足掻き続ける神崎士郎の姿が浮かんでくるからです。

メイキングは楽しい

龍騎役須賀貴匡は周囲が驚くくらい当時に寄せての演技だったそうです。でもおかげで真司の「しんちゃん」ぶりが、空気を「以前と変わりない」へ運んだと思います。

ナイト役松田悟志の方は、むしろ現在を意識した作りとしたみたいです。トレードマークだったロングコートの丈が、当時のものより短くなっていたとは分かりませんでした。本人が今では合わないと判断した変更は、その通りでした。俳優とはセンスもなければならないようです。

違和感といえば、王蛇役の萩野崇が今回はインナーを身に付けた。これには気づいたな(笑)やはり時間は経過して年齢を重ねれば、昔のままでいろ、とするのは酷というくらいは承知しております。

とても感銘を受けたこととして、柴﨑貴行監督のお話しです。
当時は、助監督として現場に入っていたということ。真司が亡くなるシーンは、石田秀範監督が細かいカット割りをせず、演技を見せる長回しにしていた。スピンオフにおいて、が亡くなる場面はそのシーンを意識したとのことです。
スタッフの中に脈々と受け続けられる演出陣の血に、まだまだ東映特撮はいけるな!と嬉しくなる次第なのです。

RIDER TIME 仮面ライダーシノビ

2019年3月31日より、こちらは「東映特撮ファンクラブ」で配信となった『仮面ライダーシノビ』3週連続の全3話であり、こちらが龍騎より先んじた仮面ライダージオウのスピンオフPART1であります。

ただしPART2と違って、製作の扱いが違うように見受けられます。はっきり申しまして、シノビの方がどう考えても悪い!PART1のくせに(笑)

こちらも監督は柴崎貴行で変わりがないのですが、企画から撮影まで1ヶ月しかなかった、という情報が流れています。龍騎の脚本を書くに当たって井上敏樹は全話見返すだけでなく設定集もまた見直したということです。それなりの時間が与えられていたに違いありません。

シノビの脚本は、金子香緒里。ルパパトやリュウソウジャーといった戦隊モノで散見する名です。まだ新しい脚本家さんです。だからムリグリな短期間でも応じられた、と推測します。せっかくの「初」仮面ライダーへの参加でありますが、苦労を偲ばせます。

さてこの『仮面ライダーシノビ』上映時間は、48分ときます。Vシネと考えれば妥当な長さではあります。しかしながら、これは3回に分けられています。1回分は、16分です。名が売れる前のローカルヒーロー放送時間に近い感じです。

けれども、そこは東映が製作しているだけあってレベルは高いです。そうは言っても他の東映作品と比べれば、お金がかかっていない感じが画面越しに伝わってはきます。

内容は、プロローグもいいところ。ここからが観たい、と鑑賞後ながらじれったい想いへ駆られます。

勢いが凄かった、とも言い換えられるかもしれません。

日本国民全員がエコのため忍術を身に付けなければならないとする、なんてー設定だ!なのです。
そんな世界で、神蔵蓮太郎かぐら れんたろうは仮面ライダーシノビである正体を隠しつつ、姫君でもある出自を知らない妹の紅芭(いろは)を守りつつ、闇忍なる敵と戦っている。

蓮太郎の親友で仮面ライダーハッタリでもある今生 勇道こんじょう いさみち紅芭に恋しているが、肝心の当人は仮面ライダーシノビに熱を上げている。

注目したのは、この3人の関係性であります。
蓮太郎紅芭は血の繋がった兄妹なのか?もし義理ならば、そこへ勇道が絡むことで、これまでにない傾向のライダーになるような気がするのです。

ずばり予想すれば「ラブコメ」する仮面ライダーとして、2022年(令和何弾目かな?)に新風を吹き込むか。設定もトリッキーながらも、敵組織の全容やシノビを導いてきたガマノ師匠の本当の狙いは?といった謎もまた興味をかき立てます。

今までにない仮面ライダーになりそうなシノビの世界です。
しかしながら、仮面ライダーにはなくても戦隊モノにはあった雰囲気を感じずにはいられない(笑)。これを新規とするかどうかは、まさしく東映製作陣の判断次第でありましょう。

個人的には続きが観てみたいです、是非!シノビのデザインもこれきりにするにはもったいないほど、カッコいい。

けれども『仮面ライダーシノビ』ほど、今後があるとしたらどう製作していくか想像が付かないものはない。まさか本当に2022年まで待っての製作は絶対にないとは言いませんが、普通に考えたら・・・ですよね。

レアな仮面仮面ライダーとして、名を残しそうな気がしています。