【仮面ライダーゼロワン】第9話 ソノ生命、預かります

平成ライダーが始まった頃です。

始まった頃とは、クウガか言われそうですがアギトまで含むくらいの話しです。まだまだネットが普及し始めであり、意見を確認する術として書籍が力を持っていた時期です。

多少は経験を積んだ現在なら、どうした趣旨で編集者が載せていたか想像がつきます。様々な意見を掲載していくというより、盛り上げるために批判的な内容を取り上げていたように思えます。ただ非難の中身はというと、その場限りの感情が述べられている感じです。ネットでその場で上げる意見が安易だという指摘がありますが、さほど変わらなかったように思えます。

紙媒体の衰退が叫ばれますが、時代の推移による環境変化だけではなく、ネットと棲み分けできない作りがもたらしているのではないか。特に特撮関連雑誌においては危機を感じます。今後は資料的価値をもたらす書籍以外はなくなるのではないか、ぐらいに考えています。

すっかり逸れた話しを戻しまして、平成ライダーの初期においてです。
明らかにこれまでとは違う作風に向けられる非難の一つに「1話完結」ではないことがありました。敵の怪人が倒されず、よしんば倒されても話しは次回へ続く。エピソードの完結ベースが基本は前後編であり、状況によっては更に回を重ねていく。
これがいけない、というわけです。理由はいろいろありましたが記すまでもない内容です。でも敢えて一つ挙げるとしたら、複数回に渡るストーリーは子供に難解すぎるといった指摘です。この指摘をした方は一方で、子供を見くびるな、大人が思うほどおかしな点に気づいていないわけではない。そう主張していただけに記憶に残っております。

どうやら評価は場合によるようです。これは評価というより、ただ感情を正当化するため理屈をこねくり回すに属する例なのかもしれません。

令和となった現代において、仮面ライダーは1話完結でなければなないと声高に主張する人はほとんど見かけなくなったように思われます。いるかもしれませんが、ここで書いている人にまで届くほどではありません(笑)

むしろ令和という時代に入って、1話完結のスタイルが取り入れられたように思われます。

『騎士竜戦隊リュウソウジャー』は戦隊モノの伝統を踏まえた形で、『ウルトラマンタイガ』ははっきり今回はという形で、そして『仮面ライダーゼロワン』もまた1話ごとにゲストとエピソードが入れ替わる完結スタイルで始まりました。

中盤もすぎたリュウソウジャーに、タイガ。時に2話へ渡ることもありますが、基本は1話完結です。両作品ともこれまでにないモノといった意欲に内容が濃くなっていくようです。
この濃くしつつ1話で終わらせる状況が窮屈さを生んでしまっていないか。20分ちょっとしかない時間へ詰め込むだけ詰め込むため、あまりに余裕ない展開へ陥っていることが時にあるように思えるのです。
惜しいと思わされることが、ままあります。

ではゼロワンも同じ轍を踏んでいくか、といった懸念は第9話において不要と感じました。むしろ8・9話と渡るエピソードのために、「お仕事編」として1話完結にしてきたように映るからです。

第9話『ソノ生命、預かります』のっけから主人公は大ピンチです。共闘できる仮面ライダーバルカンこと不破 諫ふわ いさむは、仮面ライダー滅に破れて緊急オペを必要とするほど重症です。仮面ライダーバルキリーこと刃 唯阿(やいば ゆあ)も負傷中である。

たった一人で向かうしかない仮面ライダーゼロワンこと飛電インテリジェンスの社長である或人(あると)けれども孤軍奮闘では仮面ライダー滅たちに敵わず、またヒューマギアに寄せていた自身の想いも揺らいできています。

実に大きな展開を迎えた今話でした。

「信じたい」イズへ呟くように想いを吐露する或人。そこへやってきた唯阿がもたらすハッキングされてもなお変わらないヒューマギアの存在。ほんの一押しあれば或人は信念のまま行動できるということを示す見事な流れです。

「俺が止める」ずっこけ気味な普段の或人を知るからこそ、勝算立たずとも一人で敵へ向かう姿が、歴代ヒーローの中においてでも屈指の熱さを感じるのです。

今回は病院内におけるマギアを唯阿が担当する形になりましたが、変身の掛け声のみで仮面ライダー姿はなし。ここに今回において、或人が孤高で戦っている印象を強くしようとするスタッフの意図を感じます。

孤高で戦うヒーローを支えるヒロインはイズ。けれどもそれは別種といった次元でなく非生命体である。ただしヒトと密着し学び続けていく存在であります。
こんなヒロインは、少なくとも仮面ライダーにはいなかった。しかもただAIロボットとして在るだけでなく、或人のヒューマギアに対する篤い態度に、ふと感情が宿ったかのような表情を見せてくる。
「信じたい」使い古された、安っぽくなるかもしれないセリフが、今回イズから発せられれば、ヒーローが願う世界へ一歩近づく希望を以って響いてきます。

滅亡迅雷.netは相対する人間に向かって「倒す」や「潰す」などとは言わない。はっきり「殺す」とくる。

たった1人で向かっていくゼロワン滅亡迅雷.netの猛攻に変身解除まで追い詰められる或人。それでもが口にする「アークの意志」に対して、「ぜーんのいし」と返したところでイズがやってきてギャグの解説をする。
こんな緊迫した場面でも、こんな可笑しみある場面を挟み込んで、シラけさせないどころか感動へ持っていける作品はそうそうにない。

仮面ライダーゼロワンは、今までにないことをやって見せてきています。その主人公たちの世界観に限らない。シリーズ当初を1話完結で積み上げてきて、ここへ来て従来の前後篇パターンで決めにかかってくる。平成ライダーでは試みられていないシリーズ構成を取りました。

スベる笑いばかりの社長とAIのヒロイン。従来にはない主人公コンビだけでなく、構成も実は大胆な形を取っていた。これがおもしろくないわけがない。

しかも、まだ9話!ワンクールを終える際のような盛り上がりが早くもここで披露された感があります。

意外といえば、唯阿がこれまでのクールな性格を覆す顔を見せた。重症の同僚のために激昂してまで救おうとする。相手を想う心情を見せる一方で、秘密裏に撮影していた証拠を突きつけられても否定で押し通す。
実は感情が豊かであり、嘘も吐く。これこそ人間として描かれるキャラクターが唯阿なのか、と鑑賞中は思っていたが、書いているうちに疑問が起きた。あくまでも妄想類いの推察になるが、あまりにも人間を意識した行動であり、またイズへの突っかかりから、本当に人間だろうか?飛躍すぎかもしれないが、何があるか仮面ライダーは分からない。

ところでストーリーとは関係ないが、副社長付きのヒューマギアであるシェスタ。出演当初の拙さから一転するかのような演技には、驚くと共に感想を覚えた。演じる成田 愛純(なりた あすみ)は特訓したと思える。
端役にまで至る熱意が窺えれば、今後の期待はさらに高まります。

しかしながら、次回は1週休止した後ときます。たかだか1週と思いつつ、今週末の喪失感は大きそうです。

次回のタイトルは『オレは俳優、大和田伸也』。
もうサブタイトルを真面目に考察することはやめました(笑)。ふざけているようで真意が隠されていたりするゼロワンのタイトルです。むしろ真面目な方がストレートに解釈しやすい。そして今度のタイトルから、いったい何が読み取れようというのか(笑)

ともかく目が離せないゼロワン。そして冬の映画も楽しみになっています。次回の放送まで、おさらいという名の或人イズのやりとりを堪能し続けようと思っています。