『映画大好きフランちゃん』発売【杉谷庄吾(人間プラモ)】#オススメしたい『猫村博士の宇宙旅行』

2020年10月14日

名作と謳われるものがあります。

では名作とされるのは、どんなものか?
万人にススメられる内容のある作品、これが教科書的な答え。個人的には、有名な過去作品か、売り文句(笑)といったところでしょうか。

映画に限って言えば、ひと昔は必ず観ておくべき作品などというものがありました。けれども、これだけの数が流布し、手軽にいくらでも鑑賞できる環境になっています。メディア・コンテンツはもの凄い勢いで流れてきています。
ガラケーを手にしているだけで時代を感じさせますが、それはまだ10年前のことです。正直に申せば、自分などは付いていけておらず、経験に頼る部分が多いことは否めません。ヲタクのなかで変な割れ方をしないように願っておる者ですが、やはり自己主張はしてしまいます。

名作とされるモノ、レジェンドの範疇に入れられる作品でも、やはり自分にきついものはキツい。世間の尺度とは変わっているところは自覚したい。特にここ最近「大ヒット映画」は悪いとは思わない、けれどハマれないこと甚だしい。

結局は、以前より己れの嗜好が強く出てくるようになった。だからブログで訴えるは「オススメ」といった個人的見解に基づくものにし、誰もが観るべき名作などという表現はしないでおこう。

そう思いながら、今回において取り上げる作品は「名作としたい」しかも対象は映画ではなくコミックとする、散々してきた前振りを無にすることを仕出かします。

おもしろいうえに含蓄ある作品ならば、やっぱり「名作」の呼称を使いたいじゃありませんか!といった具合です(笑)

以下、ネタバレ及び独自解釈による偏見(笑)が含まれますことをご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【映画大好きポンポさん】映画化です

現時点では最新作になる2019年8月26日発売コミック『映画大好きフランちゃん』において、『映画大好きポンポさん』アニメ映画製作中の帯が為されていました。

これが、どうやら映画化に対する最新の告知であるようです。新刊の帯で行うとは、まさしくポンポさんらしい。

制作を「CLAP」が手がけるだけとしか発表されていない。公開時期やキャストなど一切発表されていないことから、油断が出来ない。もしかしてペンディング状態という最近覚えた言葉の状況へ陥る可能性があるかもしれない。

ちなみに「ペンディング」とは、未決定のまま止まること。要は保留ということです。待ち望んでいた作品でもっともなって欲しくない状態を指す言葉です。
なんで、この言葉を知ったかというと・・・これを書き出すと別の内容で一本書きあがってしまいそうなので、止しておきます(笑)

何はともあれペンディングにしないためにも、杉谷庄吾の著作は応援していきたい今回のブログであります。

ただ著作者『杉谷庄吾』の情報はそれほどない。
アニメ制作会社プロダクション・グッドブックに在籍でデザイナーをしていること。『映画大好きポンポさん』最初は深夜枠5分のアニメとして企画製作を依頼されたものの頓挫に至る。ならば漫画で、と『人間プラモ』名義でWEB公開したら注目され出したことくらいでしょうか。

しかしながら杉谷庄吾自身はツイッターをやっており、まるきり闇の向こうという感じではありません(笑)

『映画大好きポンポさん』自体が「pixivコミック」で公開されていますから、無料で読破できます。けれども出来れば書籍としての購入をススメたい。理由はWEB連載にはない、おまけや解説も充分に価値あるからです。

もしまだ知らない人がいるならば、ともあれ「ジーンピクシブ」内にて無料掲載されていますから、ぜひ触れて欲しいところであります。
https://comic.pixiv.net/works/3728

映画が公開となれば、より広く知られることとなるでしょう。だから問題は「ペンディング」にだけはならないよう、怯えるここで書いている人なのです。

【 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES】1・2とスピンオフ

『映画大好きポンポさん』タイトルが示す通り、映画紹介してくれます。ただしよくある映画紹介するコミックではありません。最初は映画を紹介してくれるコミックだと思って、レンタルしました。

そうなのです。自分はWEB掲載など露知らず、コミックレンタルから入った人なのです。スマホ片手に育った世代からすれば、旧世代であることをしっかり認識しなければいけません。

レンタルで読んで激しく後悔します。なんで買わなかったんだろう、ああ60円(税抜き)がもったいない(笑)

ハリウッドを見立てた映画の都「ニャリウッド」にて、敏腕プロデューサーの「ポンポさん」少女の姿ながら映画制作におけるマネジメント力や慧眼の鋭さは申し分のない。

どんな映画でも制作できる力を持つポンポさん。けれども作る映画ときたら、B級映画ばかり。世間の賞賛や賞レースには引っかからないくだらないとされる分野の作品を量産している。けれどいずれの作品も面白さのツボはきちんと押さえていて、娯楽作品としての出来を外さない。
まさしく自分が理想とする製作者の姿がここにあります。もしくは自分が考えていた映画に対する捉え方を、自分では及びもつかないほど深く突っ込んでくれた。それが当作品です。

「泣かせ映画で感動させるより、おバカ映画で感動される方がかっこいいでしょう」ポンポさんが語る一節は、まさしく自分のなかで渦巻いていたものを形にしてくれた嬉しさを感じました。他にも「宝石のようなセリフ」が目白押し。考えが合うから、勉強させていただいてます!へなります。

敏腕プロデューサーポンポさんの下で働くジーンくん。第1巻では、このジーンくんが監督として成功するまでが描かれます。映画を撮るか、死ぬかしかない青年の物語でもあります。
他にも見出された新人女優ナタリーや、ポンポさんお気に入りの女優ミスティアに、監督コルベット。いずれも良い人たちではありますが、映画に対しては異常な面が見受けられます。

コミックの裏表紙にも書かれていますが、柔らかい絵柄と雰囲気で「創作の狂気」を描き読者を唸らせる作品なのです。

発売当時は「まさかの2」といわれた『映画大好きポンポさん2』においては、創作の深さへ踏み込んだ内容へなります。前回登場したキャラたちの造詣を掘り下げていったことも非常に良かった点です。
映画の続編に対する認識や大作現場の実際など、ほんわかした雰囲気の下における冷厳な視点も相変わらずです。

この「2」と途中から同時進行で繋がりを持つことなった、今回の最新作『映画大好きフランちゃん』ポンポさんが「2」において撮った映画の主役を任じられたキャラです。映画の主役に抜擢されるまで、女優ととして悪戦苦闘する女の子のお話しであります。

この『映画大好きフランちゃん』を読んでいたら、『グラゼニ』が浮かびました。野球ファンではあるが関係者ではない、作者のあくまで想像でありながら、内情を的確に突いている。むしろ関係者でないゆえに、冷静な分析が出来ているのかもしれません。
フランちゃんにおける役者の心情描写も、これに相通じる感じです。デキる創作者とは、他を把握する能力が凄いのです。

【猫村博士の宇宙旅行】こっちの方が好みという人もいるんじゃないか、と

「NYALLYWOOD STUDIOS SERIES」と銘打たれほどシリーズ化し、杉谷庄吾の発売ラインナップをほぼ占めています。

唯一の別系統である長編が『猫村博士の宇宙旅行』宇宙の果てと美女を求める、まことに夢のあるお話しです。完全に現実から離れた舞台設定で、まさにSFロマンに溢れた作品です。

けれども、この作者でなければ出ない作風は相も変わらずです。蘊蓄が映画も凄いが宇宙に対しても凄いことが分かります。
そして何より唸らせられるのが、その緻密さ。開始2コマ目にして、ラストへの布石を打ってくるくらいです。出来事には起きる理由付けがなされています。一例を挙げれば、男だから美女を求めて旅に出ただけではないのです。

「誰に気づかれなくてもこだわる」という作者の意向が随所に反映されています。自分もまだまだ気づけていないところも多いと思います。その点は、猫村博士だけはなくポンポさんのシリーズにも当てはまります。

手強い作者なのです、杉村庄吾【人間プラモ】とは。
名作だ!としたくらい個人的にオススメな作者なので、ともかく多くの人に手にしてもらいたい。どこからでもいい、ポンポさんの2からでも構わないと思っているくらいです。
あっ、でも短編集である『リトルラボ』は後回しにして欲しいかも(笑)