映画【俺物語!!】#心置きなくススメられます

少女漫画となれば、誰にでもススメられるものではない。けっこういい年齢の男からならば、なおさらだろう。妙齢の女性ならともかく「おっちゃん」がいきなり何を語りだすんだ状態は、作品に偏見を植え付けてしまうかもしれない。

以前よりは低くなったとはいえ、存在はする垣根である。やはり少女と付く漫画の紹介は慎重を要する。

しかしながら、これが映画となるとハードルがぐっと下がる。地面すれすれくらいになると言っていい(個人比)

「あの映画、けっこう良かったよ。原作は少女コミックなんだけどさ」これだけでいい。映画で観たとすると、なぜ偏見の目が向けられないのか謎だが、ともかく作品自体を傷つけずに勧められる。

映像化すると原作のイメージがあーだこーだ!といった意見が飛び交うことは大抵の人が知る現象である。しかしながら語るとなると、映画やドラマの感想とすれば好意的に聞いてもらえる。なのに、少女の「漫画」になると若干引き気味の目つきを送ってくるから難しい。

ここで書いている人は、原作である少女コミックから入っています。もちろん読んでいた事実は知らせていませんが、作品に対する複雑ながら「好きだー」の想いから入ってます。

以下、ネタバレ及び独自解釈による偏見(笑)が含まれますことをご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【原作】最初は

原作は河原和音・作画はアルコとして、別冊マーガレット2011年11月増刊号にて掲載されました。別冊マーガレット、通称「別マ」長きに至る少女漫画の代名詞と言っていい雑誌です。つまり男子にも辛いが、成年男性には立ち読みがほぼ不能な雑誌となります。

単行本待ちでございます。だから掲載雑誌から情報を得られることがありません。ネット等に挙げられて初めて知る、といった環境下にあります。

『俺物語!!』は読み切りであり、好評を受けての連載となりました。最初のエピソードにおいて、主人公とヒロインが両想いになっている。漫画連載において読み切りから連載へ、よく見かけるパターンであります。
特に少女漫画において、実績のない作者が出てくるパターンとして、最初で両想いになる。それから苦難が待ち受ける。主人公とヒロインがくっつくまでを引っ張れるのは、ある程度の名が売れた作者でなければやらせてもらえない。

ひと昔の少女漫画ならば、両想いになるところがクライマックスといった印象がありました。実際がどうだったかは、自信をもって言いますが、分かりません。あくまで少女漫画を読むことに恥ずかしがりながらも、時々手を出していた者の印象であります。

この『俺物語!!』ゴリラと呼ばれるほど人間離れしたがたい良いの高校生猛男が、かわいい女の子と恋をしてカップルになる。最初の話しでそこまでいってしまいます。それからは、少女漫画では有り得ない主人公「イケメンから程遠いマッチョな昭和の漢」が、ヒロインの周囲にどう溶け込んでいくか、もてないと思われていた猛男に実は想いを寄せている女性もいる。ラブ・コメディですから、そこは楽しく展開していきます。

読み出しの頃は、本当に夢中になっていました。ただ基本が恋愛です。個人的には、恋愛は必要要素です。必要ですが、メインに据えられたストーリーの長尺は保たないらしい。少女漫画ほど途中で投げ出してしまう分野はない。

少女漫画の読者としては感心できない者なのです。だから『俺物語!!』も途中から失速感を覚えましたが、それはここで書いている人の傾向です。最後まで楽しんで読めなかったのは個人的趣向だと思っています。

少女漫画にカテゴライズされる作品は不向きなのか。けれども途中で飽きるだろうことは承知で、時々無性に手を出したくなるのは、なぜだろう?我ながら謎なのです。

抗えぬ魅力が、やはり「少女漫画」白泉社系列のファンタジー路線に限らず、現実を舞台にした恋愛王道路線「別マ」にもある。なぜか分からないけれども、読みたくなるのだからどうしようもない(笑)

『俺物語!!』の単行本が7巻ぐらい数えたところで、アニメ化の話しを聞きました。人気があるのだな、と思いつつ、個人的には少々熱が冷めてきた頃です。まぁ放送されれば観るだろう、ぐらいの気持ちです。

しかし、その後「実写化」の報には、たまげた!
えっ、主人公である猛男は、どうするの?日本人では無理だろうとされるくらい体格がいい高校生という設定である。イメージはともかくイケメン俳優を当ておけばいいや、ではすまない今回の配役。いや元々が一般的なイケメンでない。

俄然、興味が湧いてきた。

【奇跡のキャスティング】もう実現は無理だろう

【キャスト】
剛田猛男(ごうだたけお)役/鈴木亮平
大和凜子(やまとりんこ)役/永野芽郁
砂川誠(すなかわまこと)役/坂口健太郎
剛田ゆり子(ごうだゆりこ)役/鈴木砂羽
剛田豊(ごうだゆたか)役/寺脇康文
【監督】
河合 勇人(かわい はやと)

映画公開は、2015年10月31日。それに先駆ける特報が7月から流されたということなので、自分も実写化を知ったのは初夏だったに違いない。

確信を持てる理由の一つに、鈴木亮平があります。
鈴木亮平という役者がいると認識したのは『天皇の料理番』TBSドラマとして2015年4月から7月の初旬まで放送をしておりました。そこで佐藤健演じる主人公の兄として登場しています。病魔に犯され、やせ細って亡くなっていく役柄でした。普段より20キロを落としたと身体つきは、鬼気迫る役者魂として賞賛されていたものです。

その次回作が、2メートル120キロの体格とされる剛田猛男ときます。もう少し仕事を選べないのか、と思うくらいの極端さです。今度は通常より体重を30キロ増やしたそうです。身体つきを落とさないため、プロティンは無論のこと、食事も休まず採ったそうです。
撮影中は、夜中に起きて食事をしたそうです。
天皇の料理番』における痩せた体型よりも、『俺物語!!』における、がたい維持のほうが「鬼気迫る」ものを感じます。
普段の鈴木亮平からは想像も付かない剛田猛男の姿。役者だから、という人もいますが、実際に出来る俳優はそういません。誰とは申しませんが、限られた期間では出来ないとする役者は実に多いのです。

主人公の猛男をカッコいいとする女性は少数です。
当作品の絶妙さが窺えるのは、親友にイケメンを据えたことです。そして読者の間において、主人公に匹敵するほどの人気を博すのが「すな」こと砂川誠。演じるのは、坂口健太郎。こちらも映画を観るまで意識していなかった俳優です。よくいるイケメン俳優だろう、その程度の認識でした。現在ではイケメン俳優の枠に留めておけないことを充分に認識しております。
『俺物語!!』より一つ前に出演した映画『ヒロイン失格』後から観ましたが、主人公クラスを完全に喰う演技を披露しています。端役で良い味を・・・と思っていましたが、その後は主役ばかりやるようになります。納得できます。
クールなくせに気遣いが出来る、そして実はけっこう不器用な性格の「すな」を、難しいと自覚していた坂口健太郎が演じてくれて本当に良かったです。

ビジュラル・イメージを一目にした際に、もっとも不安だったヒロイン大和凜子の永野芽郁。まったく知らない若手女優であり、ポスター等の姿を拝見する感じでは、かわいいのかな?くらいに思っておりました。
映画のなかで動き出した永野芽郁が演じる「やまとぉー」「やまとさん」は・・・・・・・、

かわいい、チョーかわいい!すげぇ、かわいいじゃん!!

もう、演じるのは永野芽郁以外にいない。いやいやこの作品に関わらず、もっと観ていたいぞ!と思うくらいに、ドキュンでした。取って付ければ、これぞ少女コミックの醍醐味です。
撮影後のインタビューにおいても、共演者並びスタッフも「この娘はこれから売れる」と評判になったそうです。

それから瞬く間でした。鈴木亮平は大河ドラマの主役に、永野芽郁は朝ドラ女優に、坂口健太郎は主演のみとなっております。
この3人が肩を並べて出演するなど、困難の極みとなってしまいました。

ところで猛男の両親役として、寺脇康文鈴木砂羽というドラマ『相棒』の初代相棒の夫婦をそのまま配役するという遊び心もたまりません。というか、濃すぎるキャラである息子に対抗するキャスティングの妙を感じます。
もし原作のイメージに添う見た目にしようと考えたら、寺脇康文はともかく鈴木砂羽の母ちゃんは美人すぎる。けれども笑わせてくれる上手さを求めるならば、よくオファーしてくれました。

作品をいかに際立たせてくれるか。キャストはイメージを吞み込める役者がいいです。

【監督】一緒に観られる作品です

当作品の監督である、河合 勇人。この映画を観にいく気になった決め手は、この監督です。少し前に演出した『鈴木先生』で注目しました。

この河合監督。ちょっと動かすカメラワークが個人的にツボへきます。
いきなり対象物に迫るではない。例えば、窓の外を主観で撮る場合にも壁を映してからといく。がっつりではなく、ほんのちょこっとだけ移動するカメラのカットが、非常に好みなのです。
カット割りに意識がいってしまうことは、特撮好きの弊害かもしれません(笑)

上手だなぁ〜と感じたのが、映画冒頭の中学卒業シーン。女子にはフラれてばかりだが男子に絶大な人望を誇る猛男。惜しんで群がる男子は実際に中学生くらいの子役を集めたのだろう。ゴリラと共に「おっさん」と呼称される猛男の特徴を際立たせている。
いきなり砂川と絡ませるより、猛男が男子高校生には見えない「おっさんとした姿」を印象づける、気の利いた演出である。

猛男が男子高校生に見えないと評価を下げる意見は、さすがに見当違いも甚だしい。気軽に意見を表明できる恐ろしさをつくづく感じる。


原作コミックが終了してから、けっこう経ちます。映画には出てきませんでしたが、砂川のお姉さんがお気に入りでした。
公開当時、映画が当たってくれれば続編もあるかな、と期待しておりました。ぜひ砂川のお姉さんが出して欲しいと願っておりました。

役者だけでなく監督まで『俺物語!!』以降は忙しくなっております。時代設定が高校生であれば、時間が経過しては不可能になります。主役3人と監督の忙しさがひと段落するなど、まだ当分あり得ないでしょう。

売れ始めの監督と俳優、そいて無名に近かった女優。奇跡的に時期が合致して出来上がった映画『俺物語!!』みんなで囲んで観るには、これは良い作品です。

ただ「人類の存亡がかかった」作品を求めている者がいる場合は、やめておきましょう(笑)