スペース・スクワッド誕生【ギャバンVSデカレンジャー】+ガールズ・イン・トラブル

ここ最近(2019年夏頃です)、スピンオフのほうがおもしろいような気がすることがある。気がすることがあるなので、確信が持てるほどではない。

特に東映のヒーロー作品に当てはまるような気がする。媒体としては「Vシネ」が当たる。

「Vシネ」テレビ放送と映画の中間に位置する製作作品といえば聞こえは良いが、おまけみたいなものである。お金がかけられない映画、テレビよりは多少長い時間。限定的な視聴者向けであれば仕方がない。

ファンにとっては嬉しい限りだ、ということで妥協している部分はあった。予算が落ちているから規模が小さくなれば、ストーリーもこじんまりした感が拭えない。でも作ってくれただけでも有難いことだ。

ところが、この頃はである。規模は限られているし、だいたい1時間を基準とした時間。Vシネの体裁に変化はないのだが、映像から闊達な雰囲気が伝わってくるような気がしている。
自由に作っている、もしくは鬱積したものを吐き出しているとでも言おうか。

コンプライアンスと言いがかりの区別が付かない状況下で、全年齢層を対象にした作品だからより厳しい。スイッチを入れれば「否応なく目に入ってくる」といった理屈で押し切られるテレビ放送である。映画となれば、ともかく集客であるから「受け」なければいけない。製作する側は、条件といったきつい縛りを受けている。

較べてVシネは潤沢な予算ではないが、視聴者は限定的である。しかも、その視聴者はコアなファンであり、本放送や映画と違った内容を秘かに願っている節がある(笑)。自由度が最も効く媒体なのである。

これは個人的邪推だが、東映における「Vシネ」とは、やりたいことよりやれなかったことをやっているように感じる。

2018年から正式に『Vシネクスト』として立ち上げられ『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』として始まった。ここでは内容も描写もより大胆にやってのけられる分野だと位置づけている。東映クリエーターひいては日本特撮の創造力を豊かにするためにも成功して欲しい。

今回は、その前哨に当たる作品について取り上げます。

以下、ネタバレあります、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【スペーススクワッド】観る順番

『ウルトラマン80』と銘打ちながら、80年代のウルトラマンとして始まりではなく終わりとなってしまった円谷プロダクション。一方、東映の仮面ライダーも再開したのも束の間、放映時間が変更されるなど80年代突入早々に消滅する。

戦後ゴジラが誕生してこのかた80年代ほど特撮が力ない時代はなかったと思われる。そんななか、唯一活況を呈した作品といえば「宇宙刑事もの」だった。ギャバン・シャリバン・シャイダーは世間にも知られた特撮ヒーローシリーズであった。

特にメタルに輝くギャバンの装着シーン、初めての変身した場面のカッコ良さは忘れられません。これまで観てきた仮面ライダーとは一線を画すスタイリッシュさが魅力的でした。そして三部作として、きっちり終了すれば後続作品に出演機会ないまま思い出として消えていく・・・。

まさか2代目として甦えるなど、誰が予想しよう。けれどもコンバットスーツだから継承できます、これが身体の改造だったらそうはいかない(笑)

2012年『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』から始まる2代目ギャバンの十文字 撃(じゅうもんじ げき)。翌年に『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z』さらに次の年には『宇宙刑事 NEXT GENERATION』3年連続で作品が発表されます。もうすっかり毎年恒例になると思いきや、音沙汰がなくなりました。

新世代宇宙刑事シリーズは終了か、と判断しかけた2017年7月に『スペースクワッド ギャバンVSデカレンジャー』復活!しかも翌月にはガールズ・イン・トラブル スペース・スクワッド EPISODE ZERO』も続けて発売ときました。

待たせた分、一気に2作立て続けできた!というわけではなかった。
ガールズ・イン・トラブル」のフレーズときたら、ジャスミンウメコである。つまり今回はギャバンというより10年振りに復活したデカレンジャーに焦点を当てたシリーズなのだろう。

と、いった油断もあり、あまり深く考えずに発売順に観たものです。

そして最近において観返せば、やはり時系列順がいい。前日譚ガールズ・イン・トラブル』から『ギャバンVSデカレンジャー』を連続で観たほうが幸せだった。
ついでに提案させてもらえればガールズ・イン・トラブル』の前に、『宇宙刑事 NEXT GENERATION』全2巻を視聴したほうが「より騙されやすくなって」楽しめます。種明かしは次のセクションで致しますので、騙されたい方は、ここで読むのを中断したほうが良いかと思われます(笑)

ガールズ・イン・トラブル スペース・スクワッド EPISODE ZERO

ガールズ・イン・トラブル』とのタイトルが示すように、出演するのはヒロインたちのみになります。デカレンジャーの2人に、2代目宇宙刑事たちの相棒たちが活躍します。上司も敵も出てくるのは女性のみという徹底ぶりです。

なんだ、ギャバンが出ないのかよ〜。シャリバンなりシャイダーでも、ちょっと客演してくれねーかな。

そう考えてしまうファンは、ちょっとがっかりです。つい後回しにしてしまいます。そして、後悔するのです。

これはストーリーが非常によく出来ている。

目を覚ますジャスミン。どこかの施設内みたいですが、なぜこんなところにいるのか分かりません。とりあえず動いてみれば、ウメコや宇宙刑事の相棒であるシェリータミー、他の女刑事と出くわします。
出くわすのは仲間だけではありません。
怪物も襲ってきます。そして全員が殺害されてしまいます。

死んでしまった・・・けれどもその記憶を残しながら再び元の場所で目を覚ますジャスミンを始めとするヒロインたち。お互い力を合わせて工夫をこらして立ち向かいますが、何度も全滅しては甦り、また殺されてしまう。

精神がまいってしまう陰惨な繰り返しのなか、インサートされる不気味な影。インコのような鳥頭をしていて、気味の悪い声を挙げる。これは『宇宙刑事 NENEXT GENERATION』において黒幕であった「ホラーガール」ではないか!人々を洗脳しては事件を起こさせて、それを眺めて楽しむ、一種の愉快犯である。つまりかなりタチが悪い。

ホラーガールがやりそうな手口である。ヒロインたちは、どう正気へ還り、この危機を脱するのか!と、思いきやである。
ミスリードに引っかかっておりました。
ボラーガールと思い込んでいたのは、ただの変な鳥系星人!もとい宇宙警察の刑事部長という、とても偉い方でした。新長官を救うためのメンバーを選抜するための仕掛けだったわけです。

怖いほどのSFホラーから、今度は救出戦といったアクションへ。しかし罠もあれば、サスペンス性も最後まであり、しかも女子だけ出演させた意味がある可愛らしいオチ。振れの大きい娯楽作として、よく仕上がっています。

ラストにマッドギャランが姿を見せれば次作が気になります。先に次作を見ていると、ちょっと残念な心持ちになるのが、ここで書いている人の個人的体験です。

スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー

観る前は、ギャバンデカレンジャーの引き立て役ぐらいなんだろうなぁ〜ぐらいに思っておりました。

とんでもない!これは、ギャバンの物語りでありました。むしろデカレンジャーは、2代目ギャバンである十文字撃というキャラクターを掘り下げるだめの配役でした。

この十文字撃。功名心逸り失敗を仕出かした挙句、規律違反を犯して地球署にいるデカデンジャーの面々を騙す形で事件に当たる。昔ならばよく見られたタイプでも、現代ではヒーローとして相応しくないと糾弾する意見が飛び交いそうです。
けれども肝心な刑事としての魂は失っていない。騙すことはしても犠牲にしていいとまでは考えない。重要な局面では冷静な判断をするし、ミスして仲間が傷つけば一切言い訳せず受け止める。

性による区別など時代錯誤なLGBTな空気なかで、敢えて言わせてもらえればである。十文字撃は「男の中の漢」である。だから先のマッドギャランとの戦いにおいて宇宙刑事の魂であるレーザーブレードが折られ失っても、再度立ち向かっていく姿には胸が熱くなる。

レーザーブレードないままの十文字撃はピンチに陥る。そこへ救うように現れる初代宇宙刑事ギャバンこと一条寺烈 。自分のレーザーブレードをに譲り渡すシーンの後ろで流れる歌は、かつてのエンディングテーマ『星空のメッセージ』うおおお、これはたまらん!まさかこれほどの名シーンが待っていようとは!

それから遂にマッドギャランとの決着をつける戦いでは、オープニングテーマ『宇宙刑事ギャバン』とファンの期待を外さない。

これぞ観なくてギャバンは語れない!それほどの作品になっていた。

だから今後の「Vシネ」は油断ならない。少なくとも観なければならない、と確信させた作品が『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』なのでありました。

と、いうわけでデカレンジャーの面々は良い味どころとしての活躍でした。最後も敵を圧倒的な力=あっさりに撃破です。もうちょい出番があっても良かったくらいです(笑)
けれども当作品の締めは、ウメコセンさんとの結婚式。そしてその後、ウメコと演じていた菊地美香本人も、グリーンではなくブレイクであるテツの方と結婚である。まったく話題に事欠かない作品であった。

マッドギャランの声はオリジナルのまま春田純一。東映ヒーローなじみの俳優でありますが、声優をやって欲しいくらいカッコ良すぎです。書かずにいられない出演でした。