ネタバレ感想【騎士竜戦隊リュウソウジャー】第16話 海に沈んだ希望

アナログ時代の特撮で泣き所といえば「火と水」具体的なシーンとして例えるならば、火災と波立つ水面は妥協しなければならなかったらしい。どうやっても本物の迫力まで再現できない、と特撮の神様を特集した番組で、そうした発言をしていたと流された。

特撮趣向のここで書いている人から言わせるとである。えっ、そうですか!あんまり感じないけどな!つーか、それ番組用に円谷監督の発言を切り取っただけじゃないの!と、特撮シーンに慣らされているせいか、マスコミの信用へと問題をすり替えたりする(笑)

でも現在のCGから始まる合成技術で出来上がった映像に、日本従来の特撮で本物と紛うところまではいかないことは悟らざるを得ない。やはり縮尺を詰めた作り物のなかでは火や水は言うことを聞かない。特に海面のシーンなどは、いくら大プールを以ってしても及ばない。

にも関わらず、本物の水をミニチュアセットのなかに張ってあるだけで、わくわくしてしまう。水飛沫が上がるだけで、やはりCGにはない特撮の魅力だと思ってしまう。

自分のなかに組み込まれてしまっている特撮DNAである。本物の水を使用し、海底は青黒く彩るライティング。無条件で嬉しくなってしまう。

だから特殊技術シーンだけでも大満足な今回なのでした。

以下、ネタバレ及び独自解釈による偏見(笑)が含まれますことをご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

海に沈んだ希望

前回に引き続き、脚本は荒川稔久&監督は坂本浩一のコンビだが、今回は特撮監督の佛田洋の名も加えたい。確かに毎回の見せ場を担当している特撮監督だが、今回は特に貢献度合いが普段より増しているように思われたからである。

冒頭

ガチレウスが横暴である。もっとも持ちたくない典型的な上司である。下に就くクレオンが気の毒なくらいである。いきなり撃たれて吹き飛ばされてしまう姿には、悪いヤツだと知りつつも涙を誘うかもしれない(笑)
スライムだから粉砕されても大丈夫だけど痛いんだぞ、といった感じのことをクレオンが独りこぼしている。ここで問題はガチレウスが撃ち吹き飛ばしても死なないと知っていたかどうかだ。知らなければ、虫けらのごとく部下を取り扱う酷薄極まるドルイドン幹部である。

オープニング前までの場面は、これだけ。今回はとても短い。これまで冒頭は長めに取ってきたリュウソウジャーだった。ブログをやるとこうした点を見過ごさずに済む。これからもがんばろう、と冒頭が短かった分だけ私的な想いを加えてみました(笑)

前半

リュウソウジャーで最も鉄板なパターンとなりつつある、始まりは龍井家。

すでに、オトちゃんがいます。おおはしゃぎの龍井親子であります。
「フライドチキン男って呼んでいいですか?」と言うオトちゃんに、龍井の父を演じる吹越満が「コケー!」とアドリブ返しだそうです。わかる人にはわかる脚本家の遊び心だそうです。現場に居合わせる者のうち、半数もわからなかったそうです。ちなみに、自分もわかりません。

しかし現在は素晴らしきネットの時代。あっさり解答を得ました。
どうやら吹越満は『有言実行三姉妹シュシュトリアン』でフライドチキン男として登場していたそう。そうか、シュシュトリアンは見ていなかったな。バイプレーヤーといえば聞こえがいいものの、単に苦労人という感じもする役者である。いろいろ演ってきていたのですね。『黒い太陽』以来注目していましたが、これからも応援していきます。

海のリュウソウ族は嗅覚が鋭いため、コウたちの居場所を突き止められたというオトちゃん。その部屋の外でドアノブに手をかけるカナロオトを追っかけてきた格好でこの場所へやってきます。もしかしてオトの居場所を探ることを理由に、コウたちを追っかけてきたのかな、とも思ったりします。

とりあえずオトを見つけたことで連れ帰ろうとするカナロですが、コウの呼びかけにためらいを見せます。
ここでオトが陸のリュウソウ族にずばり問い質します。なんで戦っているか、と。
それに対して、コウ・アスナ・メルトの3人は声を揃えて「世界平和のため」もう能天気にしか聞こえない、にこやかさで答えます。
けれどもここでオトは態度を崩さない。まだ不審を表明することで、事の重大さを教えてくるわけです。

そして打ち明けられる、ドルイドンを追いやった後のことである。好戦気質が抜けないリュウソウ族が、今度は支配を企んで仲間同士で戦った。これは歴史として学んだことではなく、カナロオトにとってマスターと呼ぶべき騎士竜モサレックスが実際に目の当たりした事実である。

凄い設定をしてきたものである。これではリュウソウ族というだけで味方かどうかわからない。下手をすれば、ドルイドンより厄介な「敵」に成り得る。
どうか、この設定を活かして欲しい。うまく扱えば、この作品はとんでもないものへ化ける可能性がある。

深刻な雰囲気になる場であったが、ここはアスナの出番である。ここで唸っていてもしょうがないから外へ出ようと提案してくる。手にはきちんとフライドチキンを持っているところが抜かりなしである。

外出は女子がお買い物で、男子は待ちである。楽しそうな妹の姿を見ながら兄は目の前にいる陸のリュウソウ族への信頼を深めていく。
もっとも妹は「安くてエコかどうかしか気にしない」兄を飛び越して、メルトに向くことで穏やかにはいられない様子である。

そこへ襲撃してくるガチレウス。迎え撃つなかで、カナロはより信頼を深めていく。モサレックスを説得しようとするまでになる。けれどもやはり受け入れられない。それもまた理解できるカナロに、真剣に向き合う3人。「必ず自身の気持ちを伝えるの、忘れないで」と普段から想像できないアスナのアドバイスである。この一件でカナロが惚れたとしても驚かないほど良いことを言う。

そこへバンバ・トワの兄弟が飛び込んでくる。龍井家は今やリュウソウ族にとって気兼ねなく入っていける場所になっています。

トドメを刺しにいったバンバ・トワの前に現れたクレオンが教えてくる。ガチレウスは一度受けた攻撃をインプットしつつ自己防衛機能によって強化していく。復活したら、倒すべき手段はまだ知られていない攻撃しかない。モサレックスしかいないのだが、それはとても無理そうだった。

後半

それでも見過ごせるはずもない。復活したガチレウスに向かっていくリュウソウジャーの五人。キシリュウオーファイブナイツで挑むものの、すでに戦っているため苦戦である。それでも善戦はするものの、海底へ引きずりこまれる。大ピンチへ追い込まれる。

一方、カナロは噴水の真ん中に座ってモサレックスに交信する。水を通してという設定だから、もうずぶ濡れで訴える。コウたちを信じたいこと、それが間違いであったら自分で取り返すという決意を告げる。初めて感じた未来への希望だ、と。

すごくいい海中戦を見せてもらいつつも、キシリュウオーは敗北寸前です。
だからこそここで現れる、モサレックス。そしてカナロによる竜装合体でキシリュウネプチューンへ。歌メロがくれば、燃えに燃える展開です。海面を突き破って、太陽を背にしてから再び海中へ!必殺技はこれくらい派手でなければいけません。トルネードストライクで、ガチレウスを撃破します。

戦い終えたリュウソウジャー「6人」を迎えるのは、オトちゃん。このオトちゃん、すごくルックスがいいというわけでもないのですが「いもうと」を演らせたら、これ以上はないくらいのハマりっぷり。良いキャストを得ました。

モサレックスと打ち解けるまでは時間がかかりそう。けれどカナロたちに「過去の恩讐だけを授けた。未来の希望を渡していなかった」と述べるくらいです。道が拓けたことは間違いありません。

ところで最後にオトちゃんがメルトに求婚してます。未来の子孫という、なにげにエグい告白です(笑)
もちろん兄は、子供が何言ってんだ!といった調子で反対のご様子です。
しかしオトは123歳。メルトは明言はないものの、209歳というコウとさほど歳は離れていないでしょう。80歳くらいの差という推測は立つわけですが・・・通常の人間には感覚がつかめません。それに問題は歳うんぬんよりも、まるきり子供にしか見えない姿形である。メルトはその辺りはものスゴく気にしそう、というか気にして欲しいです(笑)

【次週】囚われの猛者

今週は、とても良かった。
個人的に特撮シーンがお気に入りもあるし、ストーリーもまた良い。特にモサレックス「過去の恩讐だけを授けた。未来の希望を渡していなかった」これは胸に突き刺さる。これを忘れた大人が無責任なことをするのだろう、個々においても、社会においても。そこらに転がっている講釈よりも、よっぽど為になる番組である。

だから、ぜひみんなで観ましょうって、ここを読んでいる人はみんな観ていますな。

さぁ、来週はワイズルーがお帰りである。クレオンには良かったね、と言いたい。なにせ敵に同情したくなるでは気合が失せるものだからである。

そして、どうやらモサレックスが陸の騎士竜と合体の模様。相手はどう考えても、そもさん!のディメボルケーノだよなぁ〜。いいのか、あれで?(笑)。でもディメボルケーノも勝手に封印され寂しい想いをしていました。気が合いそうといえば、合いそう。気質はずいぶん違いますが。

バンバにも何か動きがあるみたいだし、楽しみだ。

そしてカナロを演じている兵頭功海が演技力を上げていくさまを確認できることも、特撮ヒーロー番組が持つ特有の楽しみである。