TVアニメ【殺戮の天使】最終回を自分勝手に考察する

2020年7月12日

ホラーは怖いから嫌いである。でも、だからといって全く観ないわけではない。『ブレアウィッチ』や貞子もとい『リング』など思い出深い。けれどもブログに取り上げたりはしないでしょう。なんでわざわざ怖い想いを呼び起こす真似なんぞ、しなければならないんだ!

『殺戮の天使』もホラー色ゆえに・・・ではない面で時間がかかりました。後述しますが、ホラーより怖い資本社会の掟とでも申しましょうか。最終回まで観きるまで時間を要しました。

今回はこれまでの部分も前置きしますが、不要ならば飛ばしてやってください。最終回の余韻に浸ることが、主旨です。

以下、ネタバレあります、独自解釈による偏見でもあります(←ここ大事)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【最終エピソード前までの】作品概要

殺戮の天使(さつりくのてんし)の原作者は、星屑KRNKRN(真田まこと)。探索型ホラーゲームだったのですね、ずっと小説が原作だと思っていたので知った時は驚きました。

そしてテレビアニメ化が2018年7月から9月までのワンクール12話で放送です。ここが問題でした。
殺戮の天使』は全16話です。観ている途中から、これはセカンドシーズンへ突入かと予感しておりました。だがまさかの「続きはアマゾンプライムで」第12話の放送終了後にテロップが流れてきました。
当時はかなり腹が立ったものです。いいところでお終いにして有料チャンネルへ誘導など、許してはいかん!これが成功して、他でも常態化されたら目も当てられない。

それからは、もう全くの無視です。続きは気になるけど、これを認めるわけにはいかない!
息巻いておりましたが、ある時に知った実は原作がゲームであった事実。出版会社が初めから付いていたわけではないのですね。当然ながら、メディア展開戦略などは弱かっただろう。そこへ現時点において映像制作の費用を最も気前よく出してくれるとしたら配信会社である。

現場が「続きは有料で」なんて体制を喜ぶはずがない。むしろ嫌だっただろうが、それこそ大人の事情である。予算確保のためには仕方がなかったのだろう。

残りの話数も13〜16ときた。あと4話である。続きを映画で観たと思えばいい。

そうやって自分を納得させました。テレビ放送終了時の誓いを覆すためには、葛藤は不可欠なのです(笑)

【観たことがない人用】これまでの話し

レイチェル(通称はレイ)という美少女が目を覚まします。どうも記憶を失っていて、なぜここにいるか分からない。状況としては地下室にいるようなので上階を目指してみる。

さまようレイチェルの前に、顔を包帯で覆う死神のような鎌を持ったアイザック(通称はザック)が現れる。青年というよりはまだ少年っぽい雰囲気を漂わす異様な出で立ちをしたこの男は殺人鬼。幸せそうな奴らを怯えた顔に変えて殺すことこそ快感としている。だから絶望しきった目を変えないレイチェルは殺さず、脱出までの相棒とする。脱出の暁には、殺すという約束をしてである。

行く手を阻むように現れる地下の住人たち。2人は排除したものの、しぶといのはレイチェルの主治医だという白衣の青年ダニエル(通称はダニー)倒しても、なお追いかけてくる。

そして謎の神父であるグレイレイチェルへ問いかけるばかりで、何を目的としているか判明しない。

「お願い、殺して」「出られたら、お前を殺してやるよ」いびつとも言える約束で決死行のレイチェルザック。さまざまな困難を乗り越えて上を目指すが、ダニーの策略によって、記憶喪失だったレイチェルの過去が暴かれようとしている。

【13〜16話】最終話後を想像する

ザックにレイ、ダニーとグレイ神父

ザックは「嘘が嫌いで、つかれるのも嫌い。道具扱いされたり、命令されることは極めて嫌い」な男である。純粋すぎるくらい真っ直ぐな性格である。掛け違いはあるものの尊厳を何より重んじている。もし幼少期に母連れの男に火を付けられなければ、同じ孤児の死体処理を命じられるような施設に入れられていなければ、気持ちのいい人物になっていた可能性は高い。
小説を読むと、平穏な暮らしも営めるかが分かる。ただただ不運に見舞われ続けてきた挙句に殺人鬼へ落ちていったわけである。

そして地上波放送の続きで、ついに明らかになったレイチェルの過去。父はアル中で、母は精神疾患?と思しき壊れ具合である。互いがお前のせいで人生が狂ったと罵り合い、レイチェルには生まれてこなければといった調子である。それでも両親に話しを聞いて欲しいといった態度を見せるところがせつない。
この頃から、死んだものを縫い合わせる行動を取り出したようである。
ある日、父が母をメッタ刺しているところへ出くわします。父は刺した刃物を手にしたままレイチェルを追いかけてきます。その父を射殺してから、両親を縫合します。

精神的カウンセリングが必要になったレイチェルのもとへやってきたのが、ダニーです。本来なら治療を施すべきですが、レイチェルの絶望しきった空虚な瞳を愛します。自殺した母の面影をそこに見ています。少女趣味ではなく、過度なマザコンゆえにレイを追い回す。
だからレイザックと行動を共にすることで、空虚だったはずの瞳に色が宿り始めるのが許せない。自分が求めていた姿から遠ざかっていくなら存在を消すべく、銃口を向け続ける。

結局、グレイ神父は何がしたかったのか。監禁する地下室の用意など、お膳立てをした張本人だろう。ダニーとは協力関係にあったと思われる。連れてきたレイチェルへ散々問いかけてきた。当初は否定的だった少女の存在が、やがて涙を流してザックへ訴えるようになった姿に気持ちを動かされる。
絶体絶命のレイザックを救うべく、ダニーを矢で射つ。ザックレイチェルが虫の息でも希望を捨てずに上へ上がれと促す。地下室に殺人鬼を連れてくるというヒトとして有るまじき行為を仕出かしながら、最後は神父としての行動へ移ったグレイ。謎めいた人物でしたが、人間に対する疑問で懊悩していたには違いない。
けれどもレイ、そしてザックにある答えを見つけられたようです。

最後はあくまでポジ妄想です

地下は爆破され、炎に巻かれて崩れ落ちていきます。
ザックが重症のレイチェルを抱えてビルから出れば、多くの人だかりです。警官が取り囲んでいます。ザックレイチェルを一刻でも早く病院へ連れていってもらうために、おとなしく連行されます。

近くで留まっていた二羽の白い鳩が夜明けに向かって飛んでいく。もの悲しくも象徴的なシーンが挟まれます。

レイチェルは、どうやら精神病棟に入れられているようです。鉄条網が張られた囲いに窓に施された鉄格子。外部からの侵入に備えるというよりも、入居した者を出さない造りへなっています。両親殺害の容疑者としても注視されていることでしょう。
しかも担当が、ヤブといって言い女性のカウンセラーです。心情を全く見抜けないままであれば、レイチェルはどんどん病んでいく。

ザックの死刑が決まったことを告げられた晩。本当はずっと眠れなかったレイチェルがベッドに入れば「今夜も眠れないはずが、もう目を閉じるしかなくなった」との独白が被ります。名を口にしなくなった分だけ、レイチェルザックが心配で夜も眠れなかった。けれども死刑と聞いて目を閉じるしかにないという絶望感が胸に迫ります。

その時、窓を破壊してザックが現れます。どこから手に入れたか大鎌を担いで、服には血が滲んでいる箇所があります。病棟が入る建物には警察が押し寄せてきているようです。

レイチェルの瞳からは涙がこぼれ落ちます。

レイ「まだ私のこと殺したいって思ってくれてる?」
ザック「俺だぞ、俺が、俺の欲しいもん逃がすわけないだろ」
レイとザックは部屋の窓から外へ飛ぶ。
レイ「ねえザック?私を殺して」
ザック「だったら泣いてねえで笑えよ」

「殺戮の天使」第16話ラストシーンから

ここにおける会話で、レイチェルのセリフ部分で「殺」を「愛」に置き換えても不自然ではありません。むしろ歪んだ生い立ちを思えば、これが告白として自然かもしれません。

エンディング後に、レイチェルがいた部屋に割れたガラス破片とナイフが床に落ちています。ザックにもらった大事なナイフです。精神病棟なので所持は不可ごとですが、必死でなんとか手元へ置くことをやってのけたのでしょう。
けれどもザック本人が来たことで、もう必要はない。窓枠の血はザックが無傷でないことを知らせているものの、レイチェルならば縫合が得意。死に目なら、地下における脱出行のほうが、ぜんぜん状況は酷かった。

俺が殺すとは、他には殺させない。つまりザックレイチェルを守る意味であり、笑顔を求めている。

今もまだ二人は逃避行を続けている。

ここで書いている者は、ハッピーな方向で解釈しております。
かなりこじつけであることを重々承知のうえで、小説版でレイザックの2人は行方不明のまま終わっている点から、わずかな望みをかけた二次創作です。

脱出行を経てザックのほうこそ、レイを失ってからの今後など考え難いだろうと考えます。罪を背負った二人が人間としての心を養うべきはこれからである、と思いたいです。

『殺戮の天使』は、ザックレイの幸せを願わずにはいられない、そんな最後でありました。