【ネタバレありの感想】那州 雪絵『魔法使いの娘ニ非ズ』

「魔法使い」に「の」を加えると、検索結果として「嫁」がくる。ヤマザキコレ著作の『魔法使いの嫁』ここで書いている人もアニメは観ておりました。当時にこれ(ブログのことです)を始めていたら、きっと取り上げていたと思います。

しかし取り上げる題材は『まほよめ』ではなく、「魔法使いの」ときたら「娘」に続き「ニ非ズ」を加えたコミックです。前述の作品に較べ、アニメ化されているわけでないため知名度はかなり落ちますが、シリーズ通して15年もの長期に渡った作品です。根強い支持を受け続けた『魔法使いの娘』を踏まえて『魔法使いの娘ニ非ズ』についてのブログです。

以下、ネタバレです、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【作品情報と】魔法使いの娘

原作コミックの著者は、那州 雪絵(なす ゆきえ)。代表作といえば『ここはグリーン・ウッド』読んでいなくても、名前だけは知っていました。ヲタを自認するならば目を通すべきなのでしょうが、気の弱いもので(笑)少女漫画なんて読めないよ、といった年頃でした。『からかい上手の高木さん』で「100%片想い」という少女マンガが好きなため弄ばされてしまう西方の気持ちはよく分かります。

まず『魔法使いの娘』としての連載は、2002年7月から2009年12月まで。年月はかかっていますが不定期連載だったため、単行本にして全8巻という、さほど多い巻数ではありません。
そして続編として『魔法使いの娘ニ非ズ』が、2010年4月から2017年2月まで。全7巻といった具合です。

ハイペースの執筆ではありませんでしたが、年に一冊ペースは守られていたようですね。いくら売れても、せめてこれくらいのペースは守って欲しい!と那州雪絵以外の、敢えて名指しはしませんが何人かの漫画家へ訴えたい。

すっかり脱線しましたが、不定期ながらも順当に連載された根強い人気を誇った作品です。

【魔法使いの娘】シリーズの違い

魔法使いの娘』ときて『魔法使いの娘ニ非ズ』。
主人公は、鈴の木初音(すずのき はつね)という女性。その初音とコンビをなる男性が、篠崎兵吾(しのざき ひょうご)。そして「魔法使い」と謳われるほど能力の高い陰陽師であり、初音の養父である鈴の木無山(すずのき むざん)
他にも多数いる他キャラクターもシリーズ通しで登場します。

時系列に一貫したストーリーになっています。

で、ここで書いている人の趣向から述べされていただければ『魔法使いの娘ニ非ズ』をおススメしたいわけであります。

魔法使いの娘』と『魔法使いの娘ニ非ズ』登場人物も世界設定も同一としながら、描かれる装いが異なっているからです。

魔法使いの娘

主人公初音の初登場は女子高生からでした。養父無山の面倒をみながら、陰陽師を継ぐように促される日々です。
初音は普通の人生を歩んでいきたい。高校卒業後は家事手伝いをしながら、様々な事件や人々に出会いで少しづつ陰陽術を身につけざる得なくなっていく。

けれども次第に明らかになっていく初音自身の状況。実は無山の束縛する意向で知らずうちに家事手伝いという立場に収まったこと。制限されていた記憶を取り戻せば、養父こそが実父を殺害した張本人であることが判明します。無山という養父と、どう決着を付けていくかがクライマックスになります。

魔法使いの娘』まさしくヒロインを中心に事件が回る物語なのです。

魔法使いの娘ニ非ズ

前シリーズで無山を養父とした関係が崩れたため『〜ニ非ズ』となった今シリーズ。能力はまだ低いながらも初音兵吾を相棒にして、陰陽師の仕事に就きます。

初音は事件の解決に向けて乗り出す体裁になります。基本は事件へ首を突っ込んでいく形なので、当初から登場することは「まれ」です。キャラクターの成長を見守る側面は消え、事件そのものを主とするエピソードが大半になります。

そして事件解決とは言い難い結末を迎えるものが多くなります。けれどもそれこそが魅力であり、印象深いものにしてくれます。

また別に初音がコンビを組んでいる兵吾との関係性が興味深いです。
前シリーズ『魔法使いの娘』で、最初は初音を殺そうとした兵吾です。それを負い目にしている兵吾は姿を消そうと考えましたが、初音に懇願されて一緒にいることになったのが前作のラストです。

『魔法使いの娘ニ非ズ』において、初音兵吾がどう進展していくかが描かれるのではなく、読者へ意味有り気に報される形です。セリフの端々や場面状況によって、読者に推測させます。ここは心憎いばかりの作者の上手さです。そしてラストできちんと提示してくれ、しっかり安心できます。

【悩ましい】おすすめ

正直に申しますと、ここで書いている人は『魔法使いの娘』における初音の言動は苦手でした。歯に衣も着せないというより、世間知らずがわめき立てているだけな印象を受けていたからです。けれども、初音の言動は養父の力によって促されたゆえと判明します。

続編『魔法使いの娘ニ非ズ』においては初音の言動に苦手を感じるシーンはありませんでした。個人的に好みとしている諸星大二郎につながるような世界観に、愛読書となったほどです。

本棚に並べるのは『魔法使いの娘ニ非ズ』でいいかな、と思ったりしています。けれどもベースとなる『魔法使いの娘』を時には読み返さないと、登場人物の深みが理解できないところです。悩ましい限り、と言いたいところですが、ケチなこと言わず両方所持すればいいだけの問題でしたね(笑)