【原作コミックと映画のネタバレ感想】高台家の人々

「見ちゃった」映画というのがある。まったく観る気がなかったが、友人に誘われてというパターンが一番に多いが、付き合いが馴染んでくればである。だんだんお互いの腹のうちが読めてくることから、勧めるものも落ち着いてくる。気を遣うようになるわけだが、これはこれで意外性を失ってつまらないと言えばつまらない。

近年すっかり親しい間柄が固定されれば、意外性は自ら求めるしかない。

一番はテレビにおけるノーカット放送か。もしくは興味がある、良かった映画に連なるキーワードで求めてみる。同系統の作品を立て続けに観ると、少しばかり製作の方式が見えてくるところがおもしろい。ただし作品自体が良かったかどうかは別の話しではある。

以下、ネタバレあります、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【高台家の人々】作品情報

高台家の人々』原作は『YOU』で連載されていたコミック。2012年から連載された、少女コミックに当たります。けれども作者は、あの森本 梢子(もりもと こずえこ)。『ごくせん』や『デカワンコ』を描いてきた、ちょい奇抜な発想がお得意な方です。全6巻という読みやすい長さでもあります。

映画化は、2016年6月に公開されました。
主演は、綾瀬 はるか(あやせ はるか)。大ヒットした前年の『海街diary』を受けて期待された主演作だった模様です。
監督は、土方 政人(ひじかた まさと)。大ベテランの演出家で、テレビディレクターとしては常に一線へ立っています。ただ映画は今回の『高台家の人々』を含め、2本のみです。そして所属するところは共同テレビジョン。そう、フジテレビ以外の演出はしたことがない監督です。
以上の前情報を仕入れての鑑賞であったら、偏見が入ってしまっていたでしょう。

ここで語られる感想は、原作を読んだうえで映画作品を観た経緯であることをご了解ください。

【高台家の人々】コミックと映画

【基本的前半は】変わらない

主人公は、平野木絵(ひらの きえ)。30歳になろうかという、大企業(だと思う)に勤めるOLです。かなりぶっとんだ、けれども愉快な妄想することが癖になっているとても地味な女性です。
ある日、ニューヨーク支社から「王子」見紛うばかりの高台 光正(こうだい みつまさ)が転勤してきます。相手の心が読めるテレパス能力を持っています。相手の裏が分かるゆえに、とても人間関係にはナーバスです。
妹の高台 茂子(こうだい しげこ)に、弟の高台 和正(こうだい かずまさ)も兄と同じ能力を有しており、悩みもまた動揺です。
三兄弟のテレパス能力は、イギリス人である祖母の高台アンから引き継いだものです。

外見はそれこそ地味な限りの木絵ですが、考えることはエンターティメント。とても楽しい方です。時には引きたくなるほど過剰なまでに飛躍します。
それを読んでしまった光正は当然ながら興味を持ちます。お付き合いに発展します。実家である高台家に招くほどです。

木絵は兄妹たちには好評です。しかし勘は鋭いがテレパスはない気の強い母の高台 由布子(こうだい ゆうこ)には結婚を反対されます。

【結婚に向けて】ヒロインの性格に差が

結婚するに当たり、光正のテレパス能力を木絵が知ります。

原作の木絵は、頭の中が覗かれるということでプロポーズに即答ができません。独り自宅で悩みます。悩む方法もまた、妄想なんですね。このヒロインの魅力です。
そして悩みが解決しないのは、自分中心に考えていたからという答えに到達します。木絵自身が光正の能力に向き合う。きちんと自分自身で解決します。要した期間も3日という、長いとするか、短いとするかはそれぞれの判断に委ねます(笑)
ついに結婚式シーンでお幸せに。若奥様時代へ向かっています

映画の木絵は、打ち明けられたテレパスについて当初は冷静です。それから段々と不安を募らせていきます。ついには脳内をシャットアウトします。光正に覗かれないようにします。妄想ができないという方向へ考えが傾いていきます。
結婚式の場において、本人自覚するまま「楽な方へ逃げた」会社も辞め、一人暮らししていた家も引き払い実家へ身を寄せます。そこへやってきた光正の母茂子と渡された祖母のアンからの手紙に励まされ、イギリスにいる光正の許へ向かいます。そこで、めでたしです。

【原作を踏まえず】映画として

原作コミックと比較すれば、たいてい映画のほうが評価は落ちます。「元」にはそうそう敵うもんじゃない、と思います。
ただそれでも映画が作られるのは、やはり映像化される魅力は抗しがたいものがあるからだと思います。例え失敗作であったとしても、それが却って原作の良さの再発見に繋がることもあります。

とはいえ、これはどうなのよ?と思うことはあります。

高台家の人々』の映画は原作を知っている者には受け入れ難い内容となっています。ヒロインの行動があまりに違うので、作品の良さが消えていると感じます。

では、原作を知らなかったら、どうなのか?
映画化に当たり、木絵を現実の女性へ寄せようとしたのでしょう。妄想というより空想癖のあるOLであり、考えが読まれるなど耐えられないのが普通と考えたのでしょう。演じる女優のイメージに合わせたこともあるでしょう。思い悩むほうが画になるといった配慮もあったかもしれません。

映画を受け入れられかどうかは、ヒロイン木絵に対する親近感に寄って決まる。そうした面もあります。
ただ厳しい言い方をすれば、ヒロインの役付け以前に映画としての面白さはどうなのか。『高台家の人々』はラブコメディです。コメディの部分が非常に大事な作品です。くすりと笑わせられるかが重要な要因となります。

残念ながら、映画にはコメディとして機能しているシーンがほとんどありません。妄想シーンが、もっとはっちゃけて欲しかったです。妄想シーンこそ原作を無視して笑わせるべくどうするか、オリジナリティーを出すべきでした。

【テレビ延長映画の問題】原作コミックは良いですよ

ここで書いている人が思いきって観た『映画 ひみつのアッコちゃん』とても豪華な配役に、設定自体は昔なじみながら魅力的です。現代に当てはめたらどうなるかと期待しつつ・・・というのは嘘で、映画好きの友人が褒めなかったのを承知で鑑賞しました。悪いは悪いなりで、またネタになるものという想いで観ましたが、たぶん取り上げることはないでしょう。

映画『高台家の人々』には綾瀬はるか繋がりで、そんな映画を思い出しました。

テレビ出身で良い監督はいます。しかしながらテレビに所属しながら撮る監督は、コケてもさほどダメージがないため作品に対する必死さが足りないように思えます。監督が年配であればあるほど、そうした傾向は顕著になるようです。

高台家の人々』いきなり映画を観てつまらないままヤメてしまいそうな人に、原作コミックは読んでみて、と言いたくなる作品なのです。