【ネタバレ感想】牙狼 -紅蓮ノ月-劇場版 『薄墨桜-GARO-』

牙狼〈GARO〉』シリーズは1作目からリアルタイムで観ています。いえ、これは正確な言い方ではありません。映画は逃します。確信的な時もありますが、本当に気づかず逃す場合もあります。

牙狼〈GARO〉』このシリーズは、いきなり続編をやるイメージがあります。1作目のテレビシリーズ自体、続いて出たスペシャル版以降は、ぱったり。それから4年後にいきなり映画公開ときた時は驚いたなぁ〜。

不意を突いての新作を公開するのが得意な『牙狼〈GARO〉』シリーズ。2018年といえば、道外流牙を主人公としたシリーズの集大成といえる『牙狼〈GARO〉 神ノ牙-KAMINOKIBA-』公開でお終いと思っておりました。実はやっていたのですね、きちんとサイトでチェックはしておこうと反省です。

以下、ネタバレ及び独自解釈による偏見(笑)が含まれますことをご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

牙狼 -紅蓮ノ月-】から劇場版へ

劇場版『薄墨桜 -GARO-』は、2018年10月に公開された牙狼のアニメ映画です。

元となるのは『牙狼 -紅蓮ノ月-(ガロ ぐれんノつき)』2015年10月から2016年4月まで、全24話のテレビシリーズになります。監督は若林 厚史。シリーズ構成は平成仮面ライダーでもお馴染みの會川昇井上敏樹でした。

それから約2年半ぶりの新作となります。久々です。

今回の『薄墨桜 -GARO-』においては監督が西村聡に、脚本は小林靖子とメインスタッフが交代しています。これが良かったのかな、と個人的には思っています。

メインキャラクターデザインが、桂正和なのは嬉しいところです。特に今回のキービジュアルは内容はひとまず置いても観たくなるほど秀逸でした。

そして内容自体も久々で細々とした部分は曖昧であるに違いなかったのですが、問題なしでした。これまでを知らずとも観られる一本の映画になっております。
もしかして入門編として、良いかもしれません。ただ時系列には最後っぽいですが(笑)

薄墨桜 -GARO-】キャスト

2019年時点において、GAROシリーズのアニメは3作品が製作されています。
中世ヨーロッパを彷彿させる第1作『牙狼〈GARO〉-炎の刻印-』。
近未来アメリカを舞台にした第3作『牙狼〈GARO〉-VANISHING LINE-』。

そして『薄墨桜 -GARO-』に繋がる第2作『牙狼 -紅蓮ノ月-』は「平安の世」を活躍の場とします。アニメシリーズ中、唯一「和」の世界となります。主人公が纏うは「鎧」そのアンバランスさが、他シリーズと異なる雰囲気を醸し出しています。

アニメシリーズ3作を通して出演している、お馴染みの声優がいます。
朴 璐美(ぱく ろみ)浪川 大輔(なみかわ だいすけ)堀内 賢雄(ほりうち けんゆう)
各作品において役所は違えど、名演をしています。
薄墨桜 -GARO-』において、浪川大輔のヒーローぶりは相変わらずです。朴璐美の気が強いヒロインはお得意とするところです。舞台挨拶においてアドリブを入れていたというところから、愉快な絶妙の会話シーンにおける貢献は大きかったと思われます。堀内賢雄においては、監督絶賛の怪演であります。

この作品における主人公を演じるは、中山 麻聖(なかやま ませい)。実写の『牙狼〈GARO〉 -魔戒ノ花-』の主演でもあります。『薄墨桜 -GARO-』の劇場公開時は新作『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』の撮影をしていたのではないか、と推測されます。

主人公の従者である少年は、矢島晶子。問答無用の素晴らしき声優さんです。個人的には、『THE ビッグオー』のドロシーや『キャシャーンSins』のルナなど、抑えた美少女役はたまらないです。

中山麻聖が演じる主人公に、朴璐美矢島晶子が演じるキャラクターが加わったトリオの会話が悪かろうはずがありません。監督も、この3役における絡みを重要視したということです。テレビにおいて見たかったシーンが劇場で展開されていたところも嬉しいところです。

今作品において登場の妖しくも美しい敵を演じるは、田中敦子。影のある美女を演じさせたら、右に出る者は榊原良子ぐらいではないか。牙狼シリーズのアニメはいい声優に惜しみはありません。

すっかり声優ヲタ話しになってしまいましたが、それだけ演技がいいぞ!と訴えたかったわけです。

【ネタバレな】見どころ

桜がいいです。バトルシーンは目も眩むばかりです。作画が素晴らしいのです。
舞台は、平安の世。邪を秘めた桜が儚くも美しく描かれています。クライマックスは、まるで特撮映画を見せられているような古都を蹂躙する巨大な怪物。ただ映像を堪能するだけでも良い出来になっています。

けれども内容もそこは牙狼であり、小林脚本。
主人公は中山が演じる魔戒騎士という、怪物である火羅(ホラー)を倒す役目を担っている。凄まじい戦闘力を有しているゆえに、人間の理には干渉しない。
それに魔戒騎士を助ける、が演じる魔戒法師が疑問を呈します。いくら倒しても、怪物を生み出す元となる悪しき人間を放置していては意味がないのでは、と。

堀内が演じる藤原道長という人物がいます。世の栄華を極める権謀策略家であります。己れの権力を守るためならば、徹底的な殺略を巡らします。罠に嵌めて怨みをいくら買おうが涼しい顔。まさしく怪物なんぞより、なおタチが悪いバケモノに等しい。今回の都へ甚大な被害をもたらした事件の元凶と言っていい。けれども人間である。

田中が演じる美しき魔戒法師。弟と共にこの物語りの怪物となるが、元を辿れば藤原道長の非情なる行ないによって生じたこと。むしろ関係のない人々を巻き込んで動揺を見せるくらいである。

勧善懲悪で収まらない内容になっています。ストーリー展開が無難なく進むため見落としそうになりますが、牙狼が最も深く抱える問題。敵を倒すものの、それを生む根本的な原因である人間には踏み込めない。予防ができないから悲劇は繰り返される。その点に切り込んでいた今回の劇場作品でした。

ただ上映時間が82分というタイトな長さなせいか、もう少し主人公と敵である美しき魔戒法師の間のやりとりを掘り下げられていたならば、とは思います。ゲスな言い方をすれば、もうちょいラブ(笑)が欲しかったという感じです。

ただ個人的に、アニメ版『牙狼』のなかでは一番に好きな作品であります。
だから、どうせならというノリでアニメ3作目である『牙狼〈GARO〉-VANISHING LINE-』の劇場版も製作してしまわないのか、と希望しております。今度は上映を知らなかったなんてことはないよう、しっかりチェックしたいです。