【感想】 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER

平成仮面ライダーを振り返っていると観たくなる映画である。
年末公開した映画を、令和に合わせたようなソフト化である。早くもと言うべきか、個人的にはもっと早くであるけれど、観返せる状態になったのはありがたい。
この映画こそ、突然に観たくなるシーンがある典型的な例である。そのシーンばかり見返しております。

以下、ネタバレ及び独自解釈による偏見(笑)が含まれますことをご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER】作品情報

平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』は、2018年12月22日より公開された平成最後の仮面ライダー映画です。

「平成」という元号を冠された特撮作品は多々あります。ゴジラやガメラに、ウルトラマン。未だ製作もされていますが、大々的に「平成最後」と銘打ったのは仮面ライダーのみ。いかに途切れず製作し続けることが大変か。視聴できることを当然のように受け止めがちになってますが、スタッフ以下各々の努力に改めて感謝したいです。

脚本は、ジオウの下山健人。プロデューサーは当然の白倉伸一郎に10稿以上させられたと言うから、気の毒としか言いようがありません。相手が井上敏樹の時は、あまり言わないと聞いているけどプロデューサー、若いヤツには容赦がないのか(笑)でも今回は気合が入るのも分かります。
監督は、山口 恭平。今回が劇場作品が初だというところが意外でした。テレビではすっかりローテーション監督であります。だからこそ記念碑になる劇場作品を任せられたのでしょう。

そして忘れちゃいけない、電王パートの脚本監修小林靖子の参加である。このこだわりは、佐藤健に対する配慮も多分にあるのではないかと思っています。

佐藤健の出演を伏せるため、台本には載せず、撮休日に撮影するという、社内に対しても全く信用していない体制で臨んでいます。SNSなど昨今の事情が秘匿の難しさを感じさせます。

しかしその甲斐あって、歴代平成仮面ライダー単独映画としては興収の最高記録を樹立です。ただキャスト集めでは前年公開『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』のほうが苦労していたような気がしないでもない。でも、この作品も興行収入は良かったからいいか。

 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER】感想

難題なストーリー

平成仮面ライダーはテレビのなかでしか存在しない。ヒーローたちは虚構の存在でしかないというテーマに、タイムパラドックスを乗せるなんて難易度が高いストーリー要求です。

うまくいくかな、と思いましたが、そこは微妙でした。
タイムパラドックスに関しては仕方がない。あまり整合性を求めすぎると窮屈になります。辻褄合わせに走り過ぎて、肝心の話しが詰まらないでは本末転倒です。割り切るしかない。そう踏まえれば、ストーリーの傾け方としては良かったと思います。

虚構の存在が現実へ、といった方法としてはスクリーンから出てくる方法が最も説得力あるでしょうか。顕著な例としては、貞子もとい『リング』レンタルして夜中に観ていたらテレビ画面から出てくるという、とんでもないリアルな恐怖です。だからホラーはイヤです。どうして借りてしまったのか、今でも後悔してます。

そういうわけで、虚構は人々の想いを受けて具現化でいいです。これを書いている令和元年5月に『貞子』なる映画がやるそうで、どさくさの思い出話しです(笑)

モモタロスが「最初からクライマックス」という台詞は決まりますが、ストーリーにおいて盛り上がりばかりでは鑑賞後に残るものがありません。
その点において『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』は見どころへ持っていくことに重点を置く演出がうまくいってます。

電王とW

サプライズとして、佐藤健は大きかった。出演してくれただけでありがたいと思うべきでしょう。出演が知れ渡った後でも、劇場でざわつく観客はいました。観客動員にも少なからず影響したはずです。

ただ、ヲタとされる目線で言わせてもらえればです。ウラタロスが憑依したままのU良太郎だったのが残念です。良太郎で台詞を吐いて欲しかったです。しゃべりがウラタロスであり、声も被せなければならなかったのが、なんとももったいない!佐藤健が放映から10年以上も経っており、当時の面影を知るファンを裏切りたくないという意見が通った説があります。そんなの気にすんなよ!と言いたい、現在は現在で決まっている佐藤健ですから問題なしなのですが。

ただU良太郎の解除時に、モモタロスに「俺たちもお前を忘れるかよ」と声をかけるシーンは、ぐっときます。だから、また数年が経ちすっかり中年になっても変身ポーズを取ってくれたら嬉しい限りです。

今回の映画において、菅田 将暉にも出演依頼をかけていたことはプロデューサーが明言しています。残念なことにスケジュールが向こう3年は埋まっていたそうです。『W』が終了してもう10年近く経とうというのに、ますますの活躍。当分においてライダー出演は諦めるしかないです。売れなくて引退も困りますが、売れすぎて出演できずもまた問題なものです。

アナザーWがフィーチャーされていたり、ウォズが「地球の本棚」を開くなど『仮面ライダーW』出演を想定していた名残りが見えます。いや名残りというより、スタッフの未練だったかも、と邪推したりしています。

ビルドとアーカイブ

降りしきる雨の下で、ソウゴが迷いをぶつけます。所詮は自分たちはフィクションであり、存在自体が危うい限りである。挫けそうな気配を漂わせています。
対して、ぶつけられたほうである戦兎は自身の存在における不確かさに怯えることなく「俺たちがここにいる」ことの大事さを訴えます。ビルドという世界で自分の存在が何度も引っ繰り返された戦兎が口にするからこそ説得力があります。

雨に打たれながらソウゴ戦兎が語り合うシーン。『仮面ライダービルド』はこのためにあったのではないか、と思わせるほど屈指の名シーンです。

だから人々の想いに応えて、次々に登場する平成仮面ライダーたちには熱くなります。何度も見返している場面です。

そして何より良かったのは、登場した仮面ライダーたちがオリジナルの声だったこと。
電王は当たり前(笑)ながら、アギト・龍騎・ディケイド・ゴーストが声当てで出演してくれたばかりでなく、他もアーカイブされた音声使用はとても良かった。声だけでも一緒だとぜんぜん違います。全員揃っているのだな、と思えます。

ラスボスを倒す決めはキックにしたところもまた良いこだわりです。自分のためにやってくれたのかなと思ったほどです(笑)

観返しています

集大成としての「見どころ」を、これ以上にないくらい上手く突いた作品でした。

オールスター映画は雑になりがちですが、ゲスト出演者における兄弟のエピソードに、ビルドジオウそれぞれの主人公に絞りアイデンティティを問う形で虚構という平成ライダーの存在を消化せしめたことが成功の大きな要因だと思います。
おかげでクライマックスへ向けて平成仮面ライダーの揃い踏みが胸熱になりました。しばらく観返しの日々は続きそうです。