【えすのサカエ】ビッグオーダー

連載もしくは放送当時はさほど評価できなかったが、後になったら印象が変わる。ここで書いている人は、しょっちゅうである。つまり見る目がない!そう断言できます。胸を張って言えます(笑)。

なので「今一度」読んだり、観たりをするように心がけています。このブログの主旨を自ら守っているつもりです。今回は当時と現在では、だいぶ印象が変わったという作品をブログにします。

以下、ネタバレです、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【未来日記の呪縛?】ビッグオーダー

作者は、えすの サカエ。ここで取り上げる『ビッグオーダー』の前作は『未来日記』です。知名度抜群の大ヒットです。

未来日記』は、それぞれ特徴を持つ未来を見通す日記所有者の間で繰り広げられるサバイバル・ゲームです。当時は「仮面ライダー龍騎系か」と思ったものです。少し時期が後にずれたならば「Fate系か」と思ったことでしょう。
最後はただの生き残りだけですまない展開。それでも唯一残った者が手にする願い。けれどもハッピーエンドというより、切なくなる。

仮面ライダー龍騎といい、Fate(特にstay nightUBW)に、そして『未来日記』。どれも感動の諸作である。サバイバルの果てに待ち受ける物語は個人的にも好むところである。

未来日記』は掛け値なしにおもしろい。ここは間違いない。

感動的に閉じた『未来日記』の後に、待ち構えていた次作が『ビッグオーダー』である。
今度は、登場人物それぞれに特殊能力を与えられ戦いを繰り広げていくという、勝ち抜き戦の様相を見せている。早々に現れたヒロインも『未来日記』のヒロインを彷彿される感じの姿である。作風も前作を継ぐ形と説明されている。

ビッグオーダー』の問題は作品の出来どうこう以前に、前作との比較というフィルターがかかってしまったところか。大ヒットを受けた後続作品の辛さを背負う典型的な例だ。そしてたいていそのパターンにおいて前作を越えることは滅多にない。

【アニメ化がかえって】足を引っ張った?

ビッグオーダー』は、角川エース・コミックにて2011年11月号 から2016年10月号まで連載されました。単行本は、全10巻。売り上げは80万部は優に越えているようです。
5年にも渡る連載期間、売り上げとしても普通に考えればヒットでしょう。しかしながら巻数は違えど『未来日記』は、この5倍を売り上げています。通常に見れば問題ないはずが、前作と比較すれば失敗感がつきまといます。

しかしながら普通に人気がある『ビッグオーダー』。前作による知名度もあります。当然ながらアニメ化の話しが持ち上がります。

2015年10月発売の8巻に、PVにしては凝っているOVAが付属する形で発売されます。その後の2016年4月からテレビ放映されます。
全10話です。ワンクールに満たない本数です。アニメ化の話しが出た時点で、作者は原作を終わらせる気がなかった模様です。なので、エンディングは違います。はしょられている感じはします。

もしかして原作と同時に追っていなければ、アニメなりによく出来ていたのかもしれません。けれど『ビッグオーダー』の読者には物足りなくてしょうがなかったと思われます。この作品が今ひとつ盛り上がりきれなかった要因の一つに数えられるのではないでしょうか。

【最初が最後につながる】ビッグオーダー

少々辛口が続いてしまった『ビッグオーダー』ですが、おもしろいと思います。ここにきて、いきなり言い出します(笑)。

何と取ってもまずこの作品のおもしろさと言えば「どんでん返し」。

主人公に関わる人物たちが味方と思えば敵になり、また味方になったり。状況によって立場を変えてくるキャラが1人や2人ではない、ゴマンといる。だから、登場人物を信じてはいけない。読むほうも、どういう事態であるか把握していないと追っつけない。

そしてストーリー自体にも仕掛けられている。
プロローグとされた「20ページ」のなかに核心となる謎がすでに埋め込まれている。途中で判断はつくものの、真実に回収されるのはエピローグに入る直前のページである。本編の最終ページへつながっていく。

作品全般における伏線の緻密さは、前作を上回るかもしれない。ただそれが却って展開を縛りすぎていた側面があったかもしれない。
今回も多数のキャラが出てくるが、踏み込みきれなかったキャラが多かった。魅力的に見えただけに背景と化してしまうキャラが残念でした。前作ではそれこそ一人一人が深く掘り下げられ、無駄と思えるキャラがいなかっただけにその思いは強い。

ただ出発が長崎県の天草から始まり、東京へ向かっていく、いわゆるロードムービー風なのは個人的に好むところです。無論ロードムービー風と言っても、旅する雰囲気はなく、徐々に目的地へ向かう展開を指しています。いつか到着する、そして到着後はどうなるのか?そうしたストーリー運びが好みなのです。
アニメは当然ながら東京までは行かない。奈良で終わっている。ここもまた非常に残念だった点です。

主人公が東京に辿り着けば、今度は世界規模の話しへなり、最終局面を迎えます。

【ビックオーダーだって】やっぱりヒロイン

ビッグオーダー』の肝は「どんでん返し」なので、ネタばらしができません。実は・・・の部分が感動を誘うのです。

ただストーリー重視を声高に主張してばかりでは、ギスギスするばかりです。
実際、ヒロインはかわいいです。しかも前作よりかなり裸が多めです。男子ならば喜ぶべき場面がもたらされています(笑)。

ヒロインと書きましたが、正確には3人のヒロインたちです。

主人公が一目惚れするほどかわいいヒロイン。けれどもやっぱり事情ありで、主人公を殺すことを目的として刀を振り回します。もちろん、主人公のことを好きになります。

2人目は、主人公に惚れているヒロイン。すごいことに想像妊娠までしてしまうほどです。健気で一途なタイプです。

3人目は、事情が複雑です。この作品の鍵となる、主人公の妹です。血は繋がっていません。世界に発生した問題も、この兄妹がお互いを思いやるゆえに発生したことです。

恋愛事情に関しては、ネタばらしします。
決着は付きません(笑)主人公が一目で好きだと思ったヒロインと、外れない占いによれば主人公と結ばれると出たヒロイン。お互いが、負けないと張り合っています。ただこの二人のヒロインが知らないところで、主人公は義妹のヒロインへ、男女という純粋な意味でないにしろ「愛している」と口にしているくらいです。
実は血の繋がっていない兄と妹の深い絆に、他の二人がどう絡んでいくか。ラブコメとしての番外編が書かれたら、かなり面白そうな気がします。しかし描かれはしないでしょう、残念ですがそこは諦めています(笑)。

少し時間を置いて読んでみたら、自分の中で連載当時より評価が上がった『ビッグオーダー』でした。