【OVAだ、アニメだ】冥王計画ゼオライマー

「OVA」の表現が現代では通用するのでしょうか?「オリジナル・アニメーション・ビデオ」の通称です。「ビデオ」これがもう消滅気味です。消えてもおかしくない言葉です。

すっかり郷愁を誘う時代に発売された作品です。「OVA」時代の代表作品に数えられるかもしれないです。

以下、ネタバレあります、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【冥王計画ゼオライマー】作品概要

冥王計画ゼオライマー』読み方は「プロジェクトゼオライマー」です。「めいおうけいかくゼオライマー」ではないようです(笑)。

原作は『ちみもりお』のコミックです。アダルト作品です。

アニメ化においてはアダルト描写はほぼ除いております。ほぼ、というのは、多少それっぽい描写はあります。親子で観れる作品ではありません。

監督は、平野俊弘。OVA時代の代表的監督と言っていいと思います。
OVAですから、30分を収めた1巻づつの全4巻です。全4話です。発売期間は1988年11月から1990年2月です。昭和から平成にかけた作品とも言えます。なかなか時間をかけ製作されています。
なので、ロボット戦は見応え充分です。

ビデオで各巻発売だったので、後のソフト形態に合わせて発売されています。各30分の全4巻ですから、120分(正確には112分)ですから、DVDなら1枚に収めて再発されています(ビデオでも1巻にまとめられますけどw)。それからリマスタリングされてブルーレイ化までされて発売されています。

息長く愛されているロボット・アニメです。

各巻リスト&ロボット名

PROJECT Iー決別ー
PROJECT IIー疑惑ー
PROJECT IIIー覚醒ー
PROJECT IVー終焉ー

八卦の称号を与えられたロボットのうち、主人公が乗る1体対残り7体が戦う構図です。
設計者はマサキルラーンの二人に分かれております。ここを押さえておくと最後においてルラーンの無念がよく分かります。

【マサキ設計】
◉天のゼオライマー◉月のローズセラヴィー◉山のバーストン◉雷のオムザック
【ルラーン設計】
◉風のランスター◉火のブライスト◉水のガロウィン◉地のディノディロス

ストーリーの核

主人公は、秋津マサト。平々凡々と穏やかな生活を送っていたところを拉致されます。酷い目に合わせてハングリー精神を養わせ(笑)お前は試験官ベイビーだ、ゼオライマーのパイロット以外に存在意義はない。日本政府秘密機関ラスト・ガーディアンに、謎の美少女でありゼオライマーのアシスト・パイロットとされる氷室 美久(ひむろ みく)に囲い込まれます。

そして敵組織である「鉄甲龍(ハウドラゴン)が送りこんでくる、八卦ロボと戦っていきます。

ゼオライマーに乗り込んだマサトに異変が起きます。突然に残忍な顔を見せます。別人格が潜んでいたのです。それが木原 マサキという「鉄甲龍」を裏切ってゼオライマーを奪い逃走した天才科学者の人格です。結局は身を寄せた日本政府秘密機関のエージェント沖 功(おき いさお)に命を奪われます。
しかしながら抹殺されることを予見していたマサキは、己れの記憶と人格を宿した依り代となるのは、マサトだけではない、鉄甲龍の長である幽羅帝(ゆうらてい)までが用意された存在なのです。

全てが木原マサキに収斂される巧妙な仕組みになっていたのです。ただ計算外だったのが、自分の複製である秋津マサトが自分自身をしっかり築いてしまっていたこと。乗っ取れたはずが、逆に吸収される形になってしまいます。

魅惑のロボット戦

ゼオライマーの魅力といえば、スーパーロボットが見せる圧倒的な存在感。あおりのカットで巨大感を見せつける一方、絶対に軍隊などでは敵わない絶対的な強さを示してくる。八卦ロボ同士でなければ勝負にならない世界観。ロボットは通常兵器ではなく世界の脅威になる設定がたまらないです。

【第1戦目】風のランスター
パイロットは耐爬(たいは)。風というだけあって、飛行を得意とするタイプのロボットです。鉄甲龍の長である幽羅帝とは恋人同士です。今更ながらですが、幽羅帝は女性であります。LGBTが浸透してきている現在は明記するべきです。長と結ばれるためにも、功績を上げなければいけません。愛のため負けられない、と叫びつつ・・・です。

【第2戦目】火のブライスト、水のガロウィン
パイロットは、火がアエン、水がタウ。双子の姉妹です。ふたりの連携攻撃が肝です。しかしながら妹であるタウの姉であるアエンに対するコンプレックスが強いです。結局は連携が取れません。それでもアエンの献身的な行動によりタウも想いを理解したところで・・・です。

【第3戦目】月のローズセラヴィー
パイロットは仮面の男、(りつ)。実務能力も高く、マサキが仕組んだことを調べ上げております。裏事情に通じているわけです。しかしながら、女性のような容貌がコンプレックスだそうです。いろいろ調べ分かっていながら、どうしてそこを乗り越えなかったと歯がゆいやつです。結局はマサトの人格を乗っ取ったマサキに思慕の念が湧きつつ・・・です。

【第4戦目】雷のオムザック、山のバーストン、地のディノディロス
パイロットは、雷が塞臥(さいが)、山が祗鎗(ぎそう)、地がロクフェル。一斉に出撃となります。さっさと複数で出撃すればいい、とするには、それぞれに功名心があります。今回の3機も思惑あって同時に出撃しています。きちんと事情を与えているところが、この作品がよく出来ている点です。
塞臥へはロクフェルが、ロクフェルへは祗鎗が、相手のために犠牲になるほど想いを寄せています。この3人のやり取りがマサキからマサトへの人格回帰のきっかけをもたらします。

最後の出撃

冥王計画ゼオライマー』のナレーターは政宗 一成(まさむね いっせい)。宇宙刑事シリーズや仮面ライダーBLACKなど、当時のヒーローもののナレーターなら、この人!でした。冒頭を飾るナレーションに、特撮好きである平野監督のこだわりを感じたものです。

そして音楽は川村 栄二(かわむら えいじ)。アレンジャーとしては数切れないほど作品を携わっておりますが、劇伴としては特別な数をこなしているわけではありません。けれども個人的には大のお気に入りでして、この『冥王計画ゼオライマー』と本多俊之の『ガンヘッド』のサントラはドライブで今でもよくかけます。

川村栄二の音楽がラストシーンに華を添えます。

マサキの仕組んだカラクリだと全てを知ったマサト幽羅帝。ならば決着をつけよう、となります。

ゼオライマーへの搭乗へ向かうマサトに、付いていくという美久。日本政府秘密機関ラスト・ガーディアンの面々は敬礼で見送る。朝焼けのなか、出撃していくゼオライマーが向かう先は鉄甲龍の本拠。そこで待つ幽羅帝と対峙するマサト美久を乗せたゼオライマー
ラストへ至る場面を、静から動へ転じる緊張感ある、そして耳に残る旋律で表現されてこそ幕切れが劇的になりました。

そしてエンディング・ソングがこれまでの威勢いい曲から、このラストだけバラードになる。音楽がもたらしてくれるのは感動しかありません。

【何度でも観られる】冥王計画ゼオライマー

作画はもちろん、ロボット同士の戦闘シーンは現在でも見応えがあります。やはりアクションシーンに魅せられると何度も繰り返し観ることとなります。もっとも「メイオウ攻撃」で出せば勝ててしまうゼオライマーです。反則といいたいくらいの必殺技でした(笑)。

もう少し細かいエピソードを差し込めれば、キャラクター像に深みが与えられた点は否めません。これは時間の関係で、ストーリーの主要部分を追うのみに終わってしまったようです。
けれども後から繰り返し観る者、それはカッコいい場面ばかりを追う視聴者にとっては逆に急く展開は却って都合が良かったりするのです。