【『FICTION』梶浦由記】『FictionJunction』へ繋がるファースト・ライヴの思い出

梶浦由記の今後はずっと順調にいくものだと思っていました。デビューの『See-Saw』では酸苦を味わったものの、それから音楽制作者として活動を始めれば頭角を現します。数多くの劇伴ばかりでなく、ボーカル及びボーカルユニットの輩出、See-Sawも一時期とはいえ復活もありました。
あとはこれからも続けられる活動を追っていくだけ・・・と思いきや、人生はどこで何が待ち構えているか分かりません。ここで書いている人にとっても、他人事ではありません(笑)

まったくいい年齢になってから、女性などで具体的な年齢は記しませんが(笑)功績から顧みても事務所において良い位置に就いてもいいくらいです。この年齢にして(繰り返しますが書きませんw)、独立です。大変に違いないのです。

しかしながら、これが却って良い方向へ進むかもしれません。以前より自由なゲスト参加を見れば、より手腕を発揮できるようになっているように思えます。かつてのメンバーの大部分もそのまま参加しています。

あとは完全に軌道に乗るまで応援しよう、という気持ちで書く思い出話しです。

【『FictionJunction』以前】梶浦由紀

デビューに、アニメとゲーム

梶浦由記は帰国子女で、当時は入社したい会社として上位に必ず加わっていたNTT(当時は日本電信電話)に就職。いい旦那を見つけて、といった風潮はまだ残っている時代でした。
しかしながら安寧ではなく、高校時代から続けていたアマチュアバンドでプロ・デビューします。1993年に『See-Saw』にて、ボーカルはもちろん石川千晶です。

この『See-Saw』売れなかったと思います。壊滅的なほどに。後に再発で聴きましたが、当時に知ったとしても手を出さなかったと思います。1995年に活動を休止する、というより休止せざる得なかったのでしょう。仕事の依頼もなく、プロジェクトも組まれなければどうにもなりませんから。

ただこれを機に梶浦由記は、ある映画作品で作詞作曲を始めれば、それからはアニメ『EAT-MAN』に、ゲーム『ダブルキャスト』の音楽を手がけます。ぼちぼちといった活動ぶりです。
ここで個人的な思い出を。アニメはよく観ていましたし、ましてや原作もハマった『EAT-MAN』ですから触れる機会があったことは当然といえば当然です。が、ゲームはほとんどやらないのです。まったくというわけではありませんが、年に1本でもやればいいほうです。そんな自分が『ダブルキャスト』はやりました。それはもう熱心に。やはり縁というものはあるのだな、と「たまたま」を美しく仕立て上げる自分であります。

ひええ〜、『EAT-MAN』のサウンドトラックが再発だなんて、びっくり!ウソだろ状態です。これも独立のおかげなのか?

快進撃は『ノワール』から

2001年の春アニメに観てみる気になった作品の中に『ノワール』があった。凄腕の暗殺稼業を営む女性と記憶がなく謎めいた美少女におけるバディスタイルのガンアクションです。作品としては、もうちょい捻りが欲しかったなと思いつつ、それなりに良かったという感じです。

強烈に残ったのは作品の内容より、とにもかくにも流れてきた音楽です。『salva nos』に、まさしくガンっとやられ、『indio』が耳から離れることがない。

ここから梶浦由記サウンドが世に出たと思っています。

曲単位で購入する現状を嘆く声が多く聞かれます。一理はあると思いますが、否定するほどでもないと思っています。自分はとりあえずCDです。CDでハードに落とし、選曲です。アルバム一枚丸ごと手を出すものの、聴くのは結局は曲単位なのです。況してや、サウンドトラックとなると、その傾向は強いです。

滅多に丸ごとで聴くことはないサウンドトラックですが『ノワール ― オリジナル・サウンドトラック サウンドトラックⅠ』は現在でも例外的な存在なのです。因みに『』は選曲することを正直に告白いたします(笑)。

そして『FICTION』

ついに梶浦由記の名義でアルバムが出るという。しかもボーカルに『Emily Bindiger』参加するそうではないか。『Cowboy Bebop』で耳にして以来、まだ聴いてみたいと思っておりました。

2003年8月に『FICTION』が発売されます。

リ・テイクを中心としたアルバムです。ひとつのアルバムとしての統一感を重視した一枚です。劇伴として作品に合わせるではなく、製作者本人の意向が反映されたアルバムです。ある意味、渋すぎるかなぁ〜と思わないでもありません。

とても良い作品です。まるまる聴くアルバムです。でも一方で『貝田由里子』がボーカルと取った楽曲に関してはオリジナルの方が良いと思いました。

同じくらいの時期に『See-Saw』のボーカルである石川千晶がソロ・アルバムを出します。この当時は『石川知亜紀』と名乗っていました。
それぞれがソロ活動のような感じになってきました。See-Sawのライブが開催されそうな気配はありません。石川知亜紀は当時のブログで、プロとして続けるか悩んでいるみたいなことを書いていたくらいです。

望みは貝田由里子のボーカルを生で聴きたいと思いましたが、これこそ無理なような気がしてなりませんでした。

【『FictionJunction』につながった】起点の初ライブ

梶浦由記がライブをやるという。しかも「日本語封印」という暴挙とまでは言わないが、やりたい放題みたいな主旨である。アルバム『FICTION』を発売してから5年経っている。今頃である。ボーカルは4人を揃えている。そして、そこには『YURIKO KAIDA』の名があるではないか!
いきましょう、行くしかありません。

2008年4月5日「SHIBUYA O-WEST」にて。EASTのほうではないので、小さいハコです。ライブハウス感満載のステージにホールです。そして忘れられないライブになりました。

セットリスト

1. the world
2. key of the twilight
——MC
3. vanity
4. liminality
5. in the land of twilight, under the moon
——MC
6. I talk to the rain
7. godsibb
——MC
8. fake wings
9. 媛星
10.目覚め
——MC
11. canta per me
12. salva nos
13. zodiacal sign
——MC
14. a song of storm and fire

Encore
15. open your heart
16. tsubasa

このセットリストですが、ライブ直後に梶浦由記自身がアップしてくれたものです。だから間違いはないと思います。というか、さすがに日本語封印ライブにおいて、自分の力でセトリを挙げるなんて不可能です(笑)。

ライブの思い出

なんだかステージに立った皆さん、特に歌姫ズと呼ばれる4人が同じような黒い衣装でとても地味に思えました。これは曲調に合わせた演出だったのでしょうか。それとも単なる予算の都合だったのかは分かりません。
梶浦由記自身も言ってますが、サウンドは「寒風系」ですから派手よりは雰囲気に合ってはいます(笑)。

けれども、パッとした見てくれは「KEIKO」が目立っていました。かわいい顔立ちながら、声質は低音というギャップです。
それにしても、みんな声がいい。英語歌詞ゆえ、ちょい発音が覚束ないところがあり、まだ荒削りな部分はあるけれど、ボーカルとしての力量はまちがいありません。

それに何といっても「YURIKO KAIDA」ライブ終盤における『salva nos』に至っては、自分自身どうなっていたか覚えていません(笑)聴いたよ、ついに聴けたよ!でも『lullaby』なんでやらねーんだよ!そうは簡単に問屋が卸さないものです。

アンコール最後の『tsubasa』において「KAORI」のメインボーカルの強さは圧巻でした。

いいライブでした。ありがたいことに、このメンバーでまたやるという。

それから間もない同年7月31日。今度は「SHIBUYA O-EAST」です。収容キャパが600人から、約1300人と大幅アップです。しかも、このライブは映像ソフト化されます。
歌姫ズとされた4人は衣装が打って変わって華やかです。曲目リストも充実しているように見受けられます。公演内容としては、こちらの方が良さそうです(笑)。

でも、あれはあれで、もう二度と見ることは出来ない初々しさでした。あんな小さいキャパで、というのも今後において有り得そうもない。何より今でもはっきり憶え起こす場面が多々あるくらいです。無論、だいぶ抜け落ちてはいます(笑)。

【応援しよう】梶浦由記

事務所のごたごたは大変だったでしょう。
梶浦由記はクリエイターです。本来なら、創作をサポートする体制が取られるべきでした。所属していた前事務所における女性シンガーは、梶浦由記がいたからこそ表舞台へ出ていけたと思います。
Kalafina(カラフィナ)においては事務所だけでは体裁さえ繕えなかったのではないでしょうか。あれだけ長期間に渡って人気を博したグループです。音楽的レベルはともかく、抜けたメンバーを埋め、代わりのソングライターを連れてくる。人気グループにおいて、取り敢えず行われる策です。が、ボーカルの1人をソロとしてデビューされることしか出来ませんでした。

それだけ梶浦由記が凄かったという証明なのかもしれません。