【『ゴジラじゃない方展』】西川伸司ゴジラ画集

平成特撮の幕開けといえば『ゴジラvsビオランテ』なにせ平成元年に公開だからである。作品価値がどうこうではない、平成の初年度に劇場公開した、ただその一点だけで述べている(笑)。

まじめな話し、元号の変更に合わせて作品が作られるわけではない。まったくの偶然からである。その「たまたま」が平成という初年に当たった。
昭和末期はすっかり廃れていた、とまで言わないが、細々といった感じの特撮だった。それがゴジラに始まり、ガメラ・ウルトラマン、そして仮面ライダーと興盛に至るわけである。
現在は仮面ライダーが牽引してくれている格好だが、ならばこそである。計ったかのようにゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公開も「令和元年」施行の初月である。今回の製作はアメリカであることを鑑みれば、まさしく運命のような偶然である。
やはり『ゴジラ』は何かを持っている。しかも他に三大怪獣も登場だ。ここで書いている人の好みに合わせたような怪獣が多数出てくる。
今度の元号においても特撮作品が勢い途切れることなく続いて欲しい。心底からそう思う。

しかし振り返ってみると、ずっと途切れずやってきている『スーパー戦隊』シリーズって凄いなぁと改めて思います。

以下、ネタバレが含まれます。独自解釈も酷いかもしれません。どうか平にご容赦のほどをよろしくお願いします。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【ご案内】ゴジラじゃない方展

ここ紹介する展示会はゴジラ キング・オブ・モンスターズ』をほぼ1ヶ月前、ゴールデンウィークを、延いては「令和」を控えた時期に行われる。

リンクは貼ったけど、消えるが前提なので、想い出になるよう少々中身を記しておきます。

ゴジラと戦い、敗れてきた歴代の怪獣たち。脇役から脱することができないが、愛らしさがある憎めない怪獣たちが今日は主役の展覧会。
みんな知っている怪獣はもちろんのこと、バラゴンやヘドラなどファンでないと認知されていないような怪獣まで幅広く紹介。
フィギュアやスーツの展示、戦いの記録など今回初出しの怪獣立像も登場!
また、すべての展示怪獣のキャプションは三池敏夫監督による解説付き、そして西川伸司氏が生で壁に作画するパフォーマンス「ライブアート」も開催予定。
描くのはもちろん「ゴジラじゃない方」
また5月31日(金)から世界同時上映の映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のプロモーション資料の展示も予定。

開催期間は4月27日(土)~5月6日(月・祝振)まで。場所は西武渋谷モヴィーダ館7階の特設会場。
入場料は一般900円(小学生以下無料)で、入場者特典として先着5,000名までにトレーディングカード1枚が付く模様。
特典付き入場券もあるようで、こちらは1,200円。5,000名合計10,000枚限定の選べる描き下ろしポストカード2枚付きと来ている。

えー、開催期間が短くないっすか?本当にゴールデンウィークだけなのです。大型連休中だからこそ忙しい人(自分も含む)には悲報です(笑)。

けれどもテーマが「ゴジラの相手」に絞るとは、よく考えついたものです。面白いことを考える人はいるものです。これだからマニアなんて言わない、ヲタ気質の素晴らしさだと言わせていただきます。

さてここでゴジラスタッフとして多々のデザインを手がけてきた西川伸司が何やらパフォーマンスをしてくれるようです。ウルトラマン・ニュージェネレーションにも関わっています。『SS SS.GRIDMAN』怪獣デザインも手がけていれば、現在においてもなお活発な活動をしています。

ならば、ということで今回は西川伸司の画集においてゴジラに絞って紹介してみたいと思います。

【資料的価値あります】西川伸司ゴジラ画集

ゴジラを描かせたら、とまず思い浮かぶは生頼 範義(おおらい のりよし)平成ゴジラのポスターを多数、川北ゴジラ「vsシリーズ」に至っては全て担当した方なので世代的には直撃です。イラストというより画家といった感じの作風でした。

西川伸司はもろ映画スタッフという位置付けです。映画製作用からスタッフ・ジャンバーまで、現場のために描いてきたイラストレーターです。当時を知る思い出話しが多いのも、この画集の特徴です。

そして個人的に西川伸司が好きなのは、どこかしこに「遊び」を持つ感覚があること。いや単に、デフォルメなどといったセンスが好きなだけかもしれません。絵心のない自分が「画」について述べるなどおこがましい限りだと自戒するのです。

VSビオランテ

西川伸司が怪獣デザインに関わったきっかけが『遠い海から来たCOO』だそうです。懐かしいと思いつつ観ていません。
その後に川北監督がデザインを探していた時期に、ちょうどぶつかったようです。初対面は『ガンヘッド』という個人的に話し出すと長くなる作品(笑)だったそうです。そして『VSビオランテ』で声がかかり、第一歩を踏み出したようです。ただイメージ画を持っていった時にはもう撮影が始まっているという、無茶さがたまらないです。

でも昭和仮面ライダーといい、トンデモない無茶苦茶した現場話しほど楽しいものはありません。

VSキングギドラ

歴史ある作品を製作するうえで何が難しいといえば、ファンの声を聞きすぎないようにすることだと思います。もし平成仮面ライダーが昭和ライダーのテイストを強く押し出していたら成功しなかったでしょう。キングギドラをメカにして、しかも人類側に立たせてしまう。元来のイメージを覆す試みが顕著な作品でした。
このくらいから西川伸司はチームの一員という気が持てたそうです。作品が続くことは新たなスタッフを加えられるという点で大事です。

VSモスラ

幼虫が二匹出てくるのだから(『モスラ対ゴジラ』)モスラが二匹飛んでいるところが観たい!というのは長年の夢でした。だからもう一匹が『バトラ』という別形態ながら、二匹が飛んでいることには感動です。CGではない、操演のみで二匹が飛ぶ作品はこれのみです。もう二度とアナクロ技術によるこんなシーンが見られることはないでしょう。
シン・ゴジラ』が抜かすまで、平成期におけるゴジラとしては最高の動員数でした。しかしスタッフとしては悔いが残る作品であったことは当時のキネマ旬報など読むとわかります。西川伸司も同様な想いを抱いていたような感じです。

VSメカゴジラ

シリーズ4作目ということで現場に安定感が増してきたそうです。しかしながら西川伸司は本編班の担当といった位置付けになったそうです。でもそのおかげで、この頃のウラ話しなど漫画にして発表できたのでしょう。この絵描きさんは、ホントいろいろ出来る方なのです。

VSスペースゴジラ

アメリカ版『ゴジラ』の製作遅れから、急遽立ち上げられた作品です。VSメカゴジラのスタッフはそのまま『ヤマトタケル』の撮影をしていたので、混乱もあったでしょう。
今回のデザインの中心は別の方になったようです。けれども川北監督の完全な好みに応えるべく「リトル」を描いた模様です。西川伸司ほど川北監督に振り回されたデザイナーはいないのではないか、と思われます(笑)。

余談ですが、ゴジラの子供の立ち位置では『ミニラ』というものがおります。
個人的にはキャラクター性としては否定していません。むしろ昔と違って必要だったかもと考えているくらいです。しかしながら、どうしても受け入れが難しい。理由は、ただひとつ「ぶさいくだから」女性の容姿にはさほど気にしない男ですが、怪獣においては厳しいのである。(笑)

VSデストロイア

この頃になると、デザインワークスが共同作業のようになったそうです。他人の描いたものの色付けを西川伸司がするという、今から考えるととんでもない贅沢です。それだけこの頃のゴジラは大規模で活気があったのでしょう。

ミレニアム

西川伸司はミレニアムシリーズにおいて『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』以外は全参加です。プロデューサーや新しい監督に請われる形で入ってきたので、かなり意見が通ったみたいです。何より振り回す川北監督がいない(笑)。
これで観客動員が良かったら……なんでしょうね。事はうまく運ばないものです。

【最後の一押し】デフォルメばかりでなく

西川伸司ゴジラ画集』の紹介において、ゴジラに、しかもデフォルメにも絞った形になってしまいました。
念の為に申しますと、当時のデザイン画やきちんとしたイラストが中心です。デフォルメはむしろ少ないくらいです。

例えば、個人的な好みのイラストとしてはこんなのがあります・

いきなり、どかん!と表示させていただきました。個人的に最も好きな怪獣で、この描き方!やはり大したもんだ、西川伸司です。

もちろんこの画集はゴジラに限らず、他に携わった東宝作品及び川北監督が退職後に立ち上げたドリーム・プラネット・ジャパンにおいて関わった作品まで含まれています。

シン・ゴジラ』の大ヒットがまだ記憶に新しいとはいえ、やはり仮面ライダーやウルトラマンに較べ盛り上がり方が弱い気がします。完全な主観です、正しくないかもしれません。
映画として広く受け入れられている『ゴジラ』というコンテンツですが、『ゴジラ』というだけで飛びつく愛好者がより増えて欲しいと願っている次第です。