【アニメ・小説・コミック化】ゴールデン・タイム

おもしろいだけでは、つまらない。そう考えるようになったのは、いつくらいからだろう。誰もが認める大傑作より、賛否両論に分かれる作品のほうを楽しんでいる気がする今日この頃です。

良かった〜で終わるより、いろいろ言いたいじゃん!という感じです。

今回はよく出来たとは言えませんが、それでも楽しめた作品を取りあげました。

以下、ネタバレです、独自解釈による偏見もあります(笑)どうか、ご了承のほどを。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【『ゴールデンタイム』の舞台は】珍しいリアルな大学

ゴールデンタイム』はライトノベルを原作とし、様々なメディア展開がされました作品です。

原作は竹宮 ゆゆこ(たけみや ゆゆこ)ゴールデンタイム』は、あの名作『とらドラ!』の次作に当たります。刊行は2010年9月から2014年3月まで。巻数は本編8巻に番外編等3巻の全11巻からなります。

アニメ化されており、放映は2013年10月から2014年3月です。

ここで分かる通り、原作小説とアニメの終了時期が同じくしています。メディアミックスによる戦略であることは間違いありません。下手をすれば、作者は後からアニメ化に合わせて結末づけるように言われていたかもしれません。
ただ前作の『とらドラ!』においては原作小説の締めの弱さは指摘されており、アニメは結末の持って行き方を変えています。長期シリーズの落とし方は冴えない作家なのかもしれません。

それでも全体においては魅力溢れる作品を作りあげる作家です。
特にキャラクター心情の描き方が細やかです。突飛そうなキャラに見えながら、地に足がついた性格をしています。人を描くのが上手な作家だと思われます。
なので、大きな事件よりも何気ない日常の出来事について交わされる場面が良いです。

そして『ゴールデンタイム』の魅力は、何と言っても大学生活を舞台としていること。ライトノベルに限らず、大学生活あるある感を織り込んだ作品はそうないと思われます。大学を過ごした者には少し懐かしい気分にさせる作品はあるようでなかなかお目にかかれないように思われます。
だから手放せない作品になったのかもしれません。

【ゴールデンタイム】こんな話し

初登場はインパクト

けっこうリアルな大学生活が売りな作品と申せ、そこは物語。最初のインパクトは大事です。

主人公の男子は多田 万里ただ ばんり、以下「万里」は大学に行くまで、よく道が分からず、うろうろしている。そこで同じように道に迷う柳澤 光央やなぎさわ みつお、以下「ヤナっさん」)と出会う。誰も知らない所でふと会った人と友達になる。さっそく大学であるあるパターンです。趣味や嗜好以前に、ともかく人生初めてといっていいくらい全く見知らぬ人ばかりの中で生まれる友情は大学入学時における特徴な気がします。

エスカレーター式で上がってきた連中はそれで固まるんだわ、けれども時間が経つと解体していたっけ。個人的な思い出を披露させていただきました(笑)

しかしながら、これは私小説ではありません。ドラマティックにきます。
ヒロイン加賀 香子かが こうこ、以下「加賀さん)が現れたと思いきや、手にしたバラの花束でヤナっさんを殴ります。ヤナっさん加賀さんが思い描いてきたシナリオのなかで生涯を添い遂げる人物として指定を受けています。
けれどもヤナっさんはそのシナリオに従う気はありません。黙ってこの大学を選んだくらいです。
加賀さんがそれくらいで諦めるわけがありません。追いかけてやってきました。追い回してきます。完全なストーカー行為です。

だけどそんな加賀さんも大学では一人ぼっちのご様子。それに万里は、きゅんっとなるみたいです。なにそれとかまけます。そうしたなかでサークル勧誘を受けます。親しげに、けれども怪しい。
どこの大学にもあると思います。新興宗教へ繋がるサークルは。ここで展開されるように合宿などの参加は経験していませんが、ともかく連絡先について教えるようしつこかったことを憶えています。興味ないと言っても追ってきますよ。自分は大丈夫などと高を括らず、全く相手にしないようにしましょう。

万里たちは新興宗教サークル勧誘のどたばたを何とか潜り抜けます。

大学生なら恋愛しよう

加賀さんは懸命にヤナっさんにまとわりつきますが、一度切れた糸は元に結べません。
万里は当然ながら(笑)そんな加賀さんを好きになってしまいます。

しかしながら万里は高校の卒業式の少し後に、近所の橋から落下してそれ以前の記憶を失っている過去があります。これから入るサークル「日本祭事文化研究会」通称「おまけん」のリンダ先輩(林田 奈々 はやしだ なな)は記憶を失う以前の好きだった人のようです。そしてリンダ先輩も万里のことを好きだった。
ちょっと複雑な恋愛模様になりますが、万里加賀さんはめでたくカップルに落ち着きます。

ヤナっさんも恋愛を頑張りますが、こちらはなかなかうまくいかないご様子です。
新入生同士で行った呑み会のシーン。隣りで呑んでいた見知らぬ先輩に引き込まれたこと、あったなぁ〜。今ほどうるさくなかったにしろ、浪人して入って成年に達している新入生には気兼ねがないのです。

過去に苦しめられるけれど

記憶を失う前の万里がストーリーをかき回します。
過去の万里はリンダと仲良くしたい。加賀さんとくっ付いたことはおもしろくない。万里として還ろうとしていけば、現在において築かれている万里の関係が不安定になっていきます。加賀さんを始めてとし、そして現在の万里も不安に苛まれていきます。

そんな中でも海へ行ったり、「おまけん」というサークル活動があり、他にもいろいろ恋愛があったりとまさしく大学生活を過ごしています。

それでも万里が過去の記憶を取り戻した時は、記憶を失ってから現在までの万里が消えてしまいます。両親がいる実家へ帰ってしまいます。
それでも実家までやってきた加賀さんのおかげで記憶の一部が還った万里は以前の関係を取り戻すのです。


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【大学生活という青春】二次元くん

ゴールデンタイム』は青春ラブコメという観点から考えれば、そう酷い結末でもありません。少し説得力が弱いだけだと思います。何より大学生活を送っていく姿を上手に捉えています。

竹宮ゆゆこは人の心情を追ううまさがあると思います。だからライトノベルは『ゴールデンタイム』を最後にして一般文芸へ移っていくのも分かります。

この『ゴールデンタイム』実は個人的には小説の番外編である『ゴールデンタイム外伝:二次元くんスペシャル』を推したいのです。ヲタの気質をばっさりくることに、笑って済ませられることができるなどの条件付きではありますが(笑)