【もう一つの平成仮面ライダー】『仮面ライダーSPIRITS』第2巻

平成最後の月に『仮面ライダージオウ』にて『仮面ライダーアギト』を持ってくるなど憎い演出である。アギトの名を聞けば、必ず思い出すのは『仮面ライダーSPIRITS』の初単行本化されたことである。もう、そんな昔になるんだぁ〜。
そんな思い出に浸るシリーズの第2回、と思ったら筆者の怠慢があったわけで、2巻の紹介ですが第3回目です。

以下、ネタバレ及び独自解釈による偏見(笑)が含まれますことをご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

因みに以前のものはこちらになります。

【裏番組のアギトは】氷川くん、がんばれ

テレビ放送されていた平成仮面ライダーはアギト。2001年1月28日から放送しています。
仮面ライダーSPIRITS第2巻に収められたエピソードが連載されていたのは春から秋にかかろうかという時期です。
この頃のアギトではG3の開発や所有権を求めての、ごたごたした話しが好きでした。G3はまさしく人間の仮面ライダー。アギトの本当の主役は氷川くんだったのでは、と思っているくらいである。

時を一緒に、とするには苦しいが『仮面ライダーSPIRITS』第2巻のほうも、唯一の人間の仮面ライダーから始まります。

結城 丈二編】右腕の記憶

ライダーマンだけ「中の人」という表現がどうもしっくりいかない。もろ人間であるから、やはり演者そのもので見てしまう。実際に空手初段で変身後もカットに応じて演じていたそうです。
演じたのは山口豪久。ライダーばかりでなくウルトラマンも含め、主役級の俳優が亡くなった最初の人でした。1986年に41歳で亡くなっています。
ライダーマンは仮面ライダー4号として主役になる予定もあったそうです。『仮面ライダーX』においてはサポート役として準レギュラーになる予定でしたが、『電人ザボーガー』の出演で見送り。なかなか巡り合わせがうまくいかなかった。
けれども、ライダーマン。大人になればなるほど、その存在感の大きさを認識し直します。

結城だからこそ家族

ここにきてテレビ放送を補うエピソードできます。

これ以上の被害は与えてはならないとプルトン爆弾と共に飛んでいったライダーマンこと結城丈二。設定としてはデストロン壊滅の3日後に当たるそうです。流れ着いたのは、タヒチ。記憶を失っています。
そんな結城を追って、デストロン・ハンターのアンリエッタ・パーキン(以後はアンリで)と、姿がよりバケモノじみたヨロイ元帥です。
自分が何者か思い出せない結城ではヨロイ元帥の相手になりません。とにかく一か八かで、アンリと一緒に海へ難を逃れます。

漂着した沖で気を失っている結城たちを介抱するのは、両親のいない現地人の幼い女の子であるヒナウ結城を「パパ」とアンリを「ママ」と呼ぶかわいい娘です。ずっと身寄りなく孤独だった結城にこのシチュエーションを与えるとは憎い限りです。
このヒナウ。どこにも行って欲しくない想いから、ライダーマンのヘルメットを隠しています。

償うために生き返った

穏やかな日々はいつまでも続きません。
破ったのはアンリでした。ヒナウが寝込んだところで、結城へ銃を向けます。デストロンの科学者として大勢の人を殺してきたことを告げます。バケモノみたいな腕こそ罪人の証しだと糾弾します。アンリもまたデストロンによって家族を失っていました。

結城は思い出せない。思い出せないが、ライダーマンとして戦った記憶が身体に宿っているのでしょう。

また・・・・罪を償うために生き返ったんだな

仮面ライダーSPIRITS第2巻 P29

動揺しながらもアンリ結城に何度死んでも許さないと涙ながらに訴えます。

知的冷静な美人捜査官のアンリエッタ・パーキン。この後もずっと活躍するばかりでなく、ヒロインの顔を見せてくれるキャラクターになります。

俺は・・・・ライダーマンだ

その頃、ヨロイ元帥が村を襲撃しています。虐殺です。

駆けつけた結城は記憶が戻らないながら向かっていきます。当然ながら大ピンチに陥ります。
ためらうもののヒナウはさすがに黙ってはいられず、アンリへライダーマンのヘルメットを託します。

結城へヘルメットを渡しかけたアンリの身体をヨロイ元帥の尖ったハサミが貫きます。
そんな瀕死の状態のなかでアンリ結城へヘルメットを被せます。「あんたがデストロンを裏切って償いを始めた時の……もうひとつの……名前」と言いながら。
その一方で、ヨロイ元帥は「思イダシタカ、結城丈二イイイイイィ」

「いや違うな」と答える結城丈二は

血を吐き、壊れながらも向かっていく仮面ライダー

ヒナウの想いも受けて向かっていくライダーマン。パワーアーム装着がカッコ良すぎである。
しかしながら外殻の硬度が増したヨロイ元帥にパワーアームは歯が立ちません。ドリルアームで挑みますが、苦戦です。何度も跳ね飛ばされます。

平成仮面ライダーにおいては、仮面が壊れる表現は見られますが、まだこの当時はそうした発想すらありませんでした。だからアギトのG3といい、ライダーマンのマスク破損カットは新しい解釈を与えてくれた時期です。なかなか衝撃的でした。

ドリルアームの一点集中攻撃、そしてマシンガンアーム。ライダーマンらしい作戦勝ちで、ヨロイ元帥を倒します。

これで寂しいですが、ヒナウとはお別れです。

それでも時が経ち、V3こと風見に呼び出されて現在のエジプトに来た結城はかつてヒナウから教わった言葉「アイタ・ペアペア(気にしない)」を口にするのです。

【神敬介編】機鎧の海

仮面ライダーXの「中の人」である速水亮は、序盤のヒロインであり水城涼子・霧子の双子を演じた女優(美山尚子)と結婚しています。それがどうしたといわれれば、それだけですが(笑)知ったのがずっと後で、ヒーローを演じた主役とヒロインが結婚!なんか物凄くロマンを感じたわけです。

【前編】滝もアンリも

ニューヨークにいるの元へ、アンリが訪れます。このシチュエーションだけで、おおっとなります。スペインの海難事故における調査依頼です。

空といえばスカイ・ライダーだが、海といえば神敬介こと仮面ライダーXグレコ爺さんのもとで調査中というわけですが、訪れたアンリに父親の影を見ていないかと問い質させます。そんなわけないといった感じの敬介は不満です。グレコ爺さんへ親切心を装ってとり入りなんて気にいらないというわけです。

もちろん、そんなわけはないのですが。

グレコ爺さん、街に来たダンサーのロッサが怪しいと踏んでいます。息子の嫁と同じダンサーで同じ名前というところが気に入らない。そしてその目星は正しい。

銀のドクロが形作った闘牛がアンリを襲います。それを救うは、仮面ライダーXのライドル一閃です。しかしながら形が崩れただけで、敵はどこかへ消えていきます。

【後編】オヤジ

事の発端は、グレコ爺さんが銀のドクロを引き上げたことだった。不運とした言いようがない。このせいで街にはこびる疫病が息子夫婦のせいにされ失う憂き目に遭うことになる。
だからグレコ爺さんロッサと称すバラロイドが姿を現しても、自分のせいを変えない。代わりに命をやるから終わりにしてくれと言う。

「オヤジ・・・」この名を口にするXライダーこと神敬介にとって、どれだけの想いがあるか。命尽きる寸前に、甦らせるためとはいえ改造人間にしてしまうことを詫びる父の神博士。オヤジ、と呼ぶのは生前の神博士以来かもしれない。

グレコ爺さんには、息子の生まれ変わりだとXライダーは言う。そしてロッサを止めるためにきた、と。

銀のドクロはキングダークへ姿になる。巨人の大首領である。
ここでグレコ爺さんと滝が活躍する。打ち込んだ銛が、敵に惜しいと言わせるほど正確に打ち込む。あと少し届かないだけだ。
だが、このチャンスをXライダーは逃さない。


倒されていくバラロイドが断末魔に「選ばれし民」の言葉を吐く。新たな敵への予兆が高まっていきます。

【山本大介編】密林の破壊神

昭和ライダーにおいて『仮面ライダーアマゾン』は特に好きでした。番組当初は喋れなかったので必殺技である「大切断」の声もありません。噛みつく、引っ掻く、切断する。なんてカッコいい。だがこれを映像として極めていくと『仮面ライダーアマゾン』になるのですね。本当はコワい世界でした(笑)。
当時、アマゾンにくっつくマサヒコは生意気で邪魔だと思っていましたが、子供の存在は大事です。ところでマサヒコの姉ちゃん、りつ子はかわいらしい方でしたがヒロインなのかどうかと言われれば何とも言えない立ち位置でした。

【前編】またも生意気な……だがものが違う

ギアナ高地にある秘境「デビルズテーブル」へガイドを頼まれたアマゾン。依頼者はとても生意気な少年、だけど遺伝工学に携わる超天才のビクトルです。このふたりのやりとりは心温まるばかりです。

けれども外で繰り広げられる攻防は凄惨極めます。血だらけ焼き尽くされといった具合です。そうなんです、アマゾンの戦い方は他のライダーより直接的で無残な光景を展開するのです。
アマゾンの人柄と戦い方のギャップこそが魅力なのです。そう思うことにします(笑)
でもそう考えると「アマゾンズ」有料配信用の番組として目のつけどころが冴えていましたね。

敵幹部もここで姿を現します。後のZXに繋がる村雨姉弟を乗せたセスナの行方不明についても触れられます。

一気に敵が姿を現してきました。「デビルズテーブル」へ向かうアマゾンを排して、ビクトルのみを連れてきては「お前も・・・・選ばれし民」と告げます。

【後編】スーパー大切断

「デビルテーブル」で待っていた敵幹部の背後にひしめく「ラスト・バタリオン」と呼ばれる怪物たち。それを従わせられる能力をビクトルは持っています。
そんなビクトルに仲間になるようと敵は言ってきますが、逆にラスト・バタリオンたちに襲わせます。しかし敵のサラマンダーたった一体相手だけに為す術がありません。
アマゾンとの関わり合いのなかで「トモダチ」の存在に打たれているビクトルは、ラストバタリオンが倒されることに動揺します。殺させないよう降参します。

意に従うような装置に閉じ込められるビクトル。それを見たのはアマゾンですから、無茶します。囚われの装置に飛び込んで回路を引きちぎりにかかります。
爆発する装置から離れたサラマンダーへ容赦無く大切断をかまします。

その時、デビルテーブルに潜んでいた敵の本拠地が浮かび上がってきます。

敵幹部の一人がサラマンダーを再生させます。
そして向かってくるサラマンダーに、アマゾンは腕を切る、肩に噛みつく、顔を引っ掻くとエグい攻撃の連続です。しかしそのたびにサラマンダーは再生します。

けれども繰り返しすぎたせいか、サラマンダーの再生は暴走します。巨大な怪物へ変化します。

ならばアマゾンは、ガガの腕輪をギギの腕輪へ力を与えます。

「スーパー大切断」これです、こういうのを見たかったのです。首が飛ぶくらいでは物足りません。現在なら表現できるでしょうが、当時は掛け声ばかりが目立っておりました。

アマゾンとの関わりの中ですっかり子供の部分を取り戻せたビクトル。また会うこともあるだろう、と思いましたが、とても重要な役割です。ラスト・バタリオンまで活躍しますから、この『仮面ライダーSPIRITS』は無駄キャラがおりません。

今回、読み返してつくづくそう思いました。


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