【コメディ演出とハード設定ギャップがいい『ウルトラマンR/B』】蒼い瞳の少女は灰色と名乗った

2019年3月24日

どう考えても、はまっている。いつもだろ!と知人ならツッコミを入れてくるところだが、今回は違う。いつも関連書籍は古本待ちなところがある。せこさと貧乏があるが、単純に古本巡りが好きなこともある。
探していたものが見つかる喜びは宝探しである。

だが発見する喜びを捨てて向かわざるを得ない時もある。今回のそれは『ウルトラマンR/B超全集』だった。特に「蒼い瞳の少女は灰色と名乗った」コーナーは心して読みたい。そして休日の昨日、読んだ。そしてここに至るわけである。

以下、ネタバレが含まれます。独自解釈も酷いかもしれません。どうか平にご容赦のほどをよろしくお願いします。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【個人的に】後に引く作品とは?

あくまでも個人的な感性の話しになるが、宮崎アニメは後を引かない。観てはいる(晩年のは観ていないものもある)、おもしろいと思っている。感動もしている。たまに見返す時だったある。

つまり何度も観ているし(『風立ちぬ』だけはまだ観ていない)、鑑賞中は楽しめている。宮崎アニメは(作品それぞれであるにしろ)よくできている。観終われば満足なのである。

う、満足してしまうのである。これは他のシリーズものにも顕著で、評判高かった作品ほど良かったで片付けてしまうパターンがある。

むしろ失敗だったという作品ほど変に考えてしまう傾向がある。終了後もあれこれ検討してしまうのである。これは作品の評価とは別である。だから作品に対する自分の目は確かではないのかもしれない(笑)。

あと、よく考えてしまう傾向として、これは特にテレビシリーズにおいて顕著なのだが、スタート・ダッシュに失敗した作品。最初がぐだぐだだったのが、後半になって盛り返しては最後は感動で締める。こうした作品は自分の中で残っていく。

ウルトラマンR/B』も当初はこのパターンかと思いきや、違いました。この作品は終わってから観返せば気づかされる、最も後に引くパターンでした。

 

【放映当初】どうかな?と思った

ホームドラマのコメディ路線を押し出してきたか。前2作のオーブとジードがハードな展開だったから、そろそろ別の路線を示し違っている。東映のシリーズが示すように、時には失敗でも打ち出さなければいけない時がある。『ウルトラマンR/B』はそれに当たる作品になるのかな、と。
まり、当初はダメでもともとぐらいに観ていたのである。
愛染くんはとても好きだが、このキャラクターがある程度の視聴者を引かせるんじゃないか。実際に『ウルトラマンR/B超全集』のプロデューサーのインタビューで、コメディ要素に対する意見が出ており、それを現場に伝えたそうです。明るいほのぼのした演出の向こうでは腹を据えてやっているスタッフがいたわけです。

おもしろいのは、コメディタッチはガンとして変えなかった製作陣ですが、妹たちの存在をどうしていくかはずいぶん悩まれたようです。

【誰が消える?】アサヒか、ツルちゃんか。

当初は13話で母(眞鍋か)が帰ってくる予定だった模様です。

13話といえば『秘密はイヤです!』総集編の一面と、アサヒの謎が出てくる回です。もし母親がここからの出演になると、ツルちゃんの役目を担うことになるようだったみたいです。

敵役に近い母というのはきつくないか、ということで、良かった良かったツルちゃんの誕生です(笑)。

ちなみに妹役の不要論も出ていたそうで(マジか)ツルちゃんが妹に収まるみたいな案もあったそうです。

妹がツルちゃん……悪くないかも。だがだがアサヒが消えるのはいかんよな〜、難しいところである。

ふたりの妹をどうしていくか、最後まで検討し続けたそう。スタッフの苦労の賜物であるキャラクターだったのです、アサヒツルちゃんは。

【ハードな設定】蒼い瞳の少女は灰色と名乗った

ツルちゃんには滅ぼされた星の復讐という設定案があったそうです。それからあれこれ検討の後に、先代ウルトラマン兄弟の残された妹に落ち着いたそうです。

良かった、絶対に兄たちの無念を晴らすほうが胸に迫ります。この理由がないとツルちゃんがツルちゃんでなくなりそうです。滅ぼされた星の復讐はもう散々使い古されております(別に使うなというわけではありません)。

そして『ウルトラマンR/B超全集』を我慢できずに購入する理由がなくなるところでした。

ウルトラマンR/B超全集』P64から抜粋

細かい名称は面倒もとい重要ではないと決めつけ省きます。

蒼い瞳の少女は灰色と名乗った』という先代ウルトラマン兄弟と妹であるツルちゃんの物語を読むと、なんとも悲惨な設定を与えるもんだ、と思いました。

戦場と化した惑星で早くに両親を亡くしたツルちゃん三兄妹。養ってくれた大人は身の上を美談で飾り立てて、実は孤児を裏の仕事へ差し向け懐を潤します。都合のいい正義を教え込みつつ、身バレがしない孤児を利用するための施設で育てられていたわけです。

当然ながらツルちゃんに不幸はやってきます。殺してはならなかった命を奪った自覚から苦しみます。安住の地も自らの善行のせいでいられなくなります。それでも三兄妹は力を合わせて苦難を乗り切っていきます。

青いウルトラマンが宇宙の白血球とされるルーゴサイトを暴走させ、地球で決戦を迎えるその日まで。

それから1300年間、一人でルーゴサイトを倒すための復讐心だけを頼りにツルちゃんはひたすら生きていく。

第16話『この瞬間が絆』において。
自分が本当の妹ではないと悩み出たアサヒを迎えに行ったカツミとイサミ。
俺たちの家族だ、とカツミの言葉に、笑顔のアサヒ。さぁ帰ろうと歩きだす兄たちの背を追う妹のアサヒ。
それを遠くから見ているツルちゃんのシーン。観返した時に、ここでどうしても泣けてしまってね〜。もう重症ですよ、自分(笑)。

【やっぱりさぁ】外伝を、まず(笑)望む

最後は、アサヒを甦らせないほうが物語の結末としてはいいだろう。けれども多少辻褄が合わなくても、ハッピーで終わらせたいということで、「夢飛行」が流れるなかアサヒが帰ってくるシーンになったようです。

うしてくれて、良かった!

ハッピーなアサヒがいなくなるなんて!ルーゴサイトを倒すことができたのは、結局は「妹の命」と引き換えだったなんてなったら、どうする!
コメディタッチを使ってのミスリードにも程があるぞ!せめてツルちゃんを戻せ、と叫んでいるところです。

それにしても『ウルトラマンR/B』まだ劇場公開中(2019年3月時点)とはいえ、冷める気配がないなぁ〜。またいきなり思い立ってブログするのか、どうなんだ自分!といったところです。

一番いいのは、まだ製作してくれるとありがたいんです。例えば『ウルトラマンR/B超全集』に載っていたこんなカットを見てしまうと夢みるのですよ。

ウルトラマンR/B超全集』P63から抜粋

先代の衣装をカツミとイサミに着せるなんて、観せてやろうかと言っているようなものです。

先代のウルトラマンR/B兄妹の物語を観たくないですか?

個人的には身悶えするくらい観たいです。円谷プロダクション、どうかよろしくお願いしたいものです。