【『劇場版 ウルトラマンR/B セレクト! 絆のクリスタル』公開に向けて其の4は番外篇】『SSSS.GRIDMAN』

2019年3月11日

劇場版 ウルトラマンR/B セレクト! 絆のクリスタル』公開に向けて盛り上げようとシリーズ化した……わけではない。ただここまで至るまで円谷スタッフの苦労を偲びたいと思ったら、1回で収まらず複数回に渡った。
ならば、である。『SSSS.GRIDMAN』は外せないっしょ!といった今回である。

以下、ネタバレ及び独自解釈による偏見(笑)が含まれますことをご了承ください。製作者などの敬称も略とさせていただきます。

【前説】『電光超人グリッドマン』の執念

SSSS.GRIDMAN』を観た者ならば、元の番組があるなんて誰もが承知……と思ったら、友人のガ◯もとい子供が「あるんだぁ」とほざく。つーか、アニメ観てて何か考えたくならなかったのか、ちょっと不明な設定とかなかったか。まったく、中学生にもなってこれでは将来が思いやられる。
電光超人グリッドマン』ぐらい観ようとはしないのか!因みに、オレは観ていない(笑)

正確に言うと、あまりよく観ていなかった(現在なら全部観ていただろうなぁ)。それなりの記憶しか残っていない。造形とグリッドマンを担当した声優がカッコよかった印象がある。だから『SSSS.GRIDMAN』で同じく声の担当が緑川光だったのには少々興奮したものである。

1993年4月3日-1994年1月8日まで放映された特撮番組『電光超人グリッドマン』全39話。玩具の売上げもよく、視聴率も初回2.9%から最終回は9.5%(放映時間は土曜の17時半から18時)と好調としか言いようがない。

しかし大人の事情で(まったくもう、である。観てはいなかったが)本作の2年後を舞台にした続編企画である『電撃超人グリッドマンF(ファイター)』は頓挫する。新条アカネという少女を傀儡に魔界の帝王アレクシス・ケリヴが侵略を開始、響裕太というツツジ台高校の男子がグリッドマンと一体化して戦う話しがオジャンになってしまった。
SSSS.GRIDMAN』を視聴者ならばお気づきの通り、2018年から数えること20年前以上になる設定を活かしてきたわけである。どこでどう役に立つかわからないものだ。執念すら感じてしまう。

【やっぱり】脚本家は大事だ

テレビドラマはこけると、役者や演出家をかばうように脚本家が集中砲火をあびることがある。
画面表現が重要な特撮番組においては、対象年齢も低く設定されているせいか、脚本家に責を押し付けられる度合いはずいぶんマシな気はする。
では執筆環境で比較すればどうかといえば、酷いと断言する。
テレビドラマにおいてはキャストのイメージが優先で事務所からの圧力がしばしば。思うように書けたことがないと嘆く脚本家の話しはよく聞くところである。けれども脚本料はテレビドラマがダントツであり、映画などとは比較にならない単価らしい(一概には言えないが、新進の立場ではそうらしいよ)

比べて、特撮の脚本はである。外部からの圧力以前に、書いたものが「画」になるか、である。企画の段階で思うようにならない前提での執筆である。

ウルトラマンギンガ』は大変だっただろう。碌に組まれない予算のなかで、ウルトラマンや怪獣を魅せなければいけない。役者パートも舞台が限られている。ハードなドラマで評価を受けるより、まず玩具が売り出せるようにしなければいけない。
シリーズ構成であり、メイン脚本家だった長谷川圭一はエラい!と言ってあげたい。しかもまともな予算が付いたであろう『ウルトラマンギンガS』においてはスタッフ一新ときた。憂き目にあったとしか言いようがない。

しかし見る人は見ている!『SSSS.GRIDMAN』の企画である雨宮晢長谷川圭一を選んだのである。『ウルトラマンギンガ』において玩具展開が上手そうだと、ちょっとあまり嬉しくない理由が大きいようだが(笑)。何はともあれ、表現力は予算内と限られる特撮と違って、ほぼ期待に応えてくれるアニメである。展開といった部分ではかなり自由に想像を羽ばたかせて執筆できたのではないだろうか。

期待に応えてくれました、長谷川圭一、さすがです。

【革新的だなと思ったのは】世界の空気感

1998年アメリカ映画で『ダークシティ』というのがある。
主人公には記憶がない。何も問題のなく人々は過ごしているが、主人公は街のそのものに違和感を抱く。やがて異変に気づいたことから、さまざまな事態に巻き込まれていくうちに街の全貌を知る。街に外はなく、宇宙空間に浮かんでいた。かつて主人公が見た海なんて装置を使って一時的に構築したにすぎない。
これが大方の内容である。ハード・SFである。暗くて、スリラーである。

1984年『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』こちらも日常が崩れていくお話しです。主人公たちがいる街が宇宙を漂う亀の背中にあるという「実は」な世界設定である。コメディを基本とするアニメですが、監督はあの押井守なれば哲学的です。SF映画の傑作と評されるほどです。

では『SSSS.GRIDMAN』といえば?
主人公は記憶喪失です。日常は誰かの意図によって崩壊を隠されているだけです。異変は主人公とその周辺にしか気づけません。校外学習で出た街はそのために用意された場所でした。世界は街のみです。
設定はハードSFです。そこへ熱いヒーローものを乗せた傑作であるという言い方ができるかもしれません。

でも、心揺さぶられたのは青春している主人公3人の裕太・内海・六花、その同級生たち。それらを生み出した神の存在であるアカネが実は溶け込めていない。もどかしい高校生の心情が、世界観がどうより先に伝わってくる。まさしく平凡な日常が描かれていた。
から主人公たちがいる世界が「現実世界でなく実は電脳世界」という設定が驚愕というより、後になっても考えさせられるのである。

れになんと言ってでもある。
グリッドマンが裕太に宿れた理由。それは皆がアカネに好意を抱くなか、一人だけ六花が好き。もう悶えるばかりの、でも納得と感動を覚えた理由でした。

【これからは】アニメ化も、どう?

アニメ用のデザインがカッコ良かったグリッドマン。しかも完全合体は電光超人グリッドマンになるという、心憎いばかりです。
怪獣と戦うシーンのカット割りもゾクゾクしっぱなしです。地面からのあおりで、手前に建物、それに電線といった画作りだけでもたまりません。個人的には建物中から見るカット割りが好きなんで、高校へやってきたグリッドマンが横切っていく姿を、廊下の窓から捉える。もう、たまらんわ〜でした。

ここまで作ってくれるアニメ制作会社があるのである。
円谷プロもウルトラシリーズは難しいなどと言わず、どんどん行くべきだと個人的には思う。異論もあると思うが『ザ・ウルトラマン』という前例もすでに作ってしまっている。強引ながら、今さらと言ってみる(笑)。

雨宮慶太プロジェクトの『牙狼〈GARO〉』シリーズだって、アニメ化をしている。特撮製作よりリスク少なく利潤が潤うフォーマットである。あくまでも実写を製作するための資金源くらいでもいいから挑戦である。

、綺麗事を述べているが、単にまた『SSSS.GRIDMAN』の感動を味わいたい。ただそれだけであったりする。